鴨江アートセンターで半年に一度の大展覧会!
日本画家と写真家に聞いた制作への想い
先日ご紹介した、浜松市のアート・カルチャーに触れられる施設「浜松市鴨江アートセンター(以下、鴨江)」。
じつは2016年9月17日(土)より、レジデンスアーティストによる成果発表の展覧会「アーティスト・イン・レジデンス※ 2016前期展」が始まっています!
この期間中、各アーティストの部屋などでは個展をはじめとしたイベントが盛りだくさん。そこで取材時に在廊していた参加アーティストさんに、これまでの制作についてや個展の見どころなどのお話を、たっぷりと伺ってきました!
※アーティスト・イン・レジデンス:芸術家に制作場所の提供をする事業のこと。鴨江では前期と後期に分けて各4か月ずつ提供しています。
202号室「natsukiiin」さん
202号室 日本画家のnatsukiiinさん
――「作品を通して誰かの人生に溶け込んでみたい。絵で人生を変えてみたいよ」
そう語るのは202号室にアトリエを持つ、浜松市出身の日本画家「natsukiiin」さん。2015年に筑波大学芸術専門学群美術専攻日本画コースを卒業し、そのあと浜松に帰郷しました。先日の取材でこの展覧会を教えてくださった方でもあります。
あんどう |
これまではどういったところで制作されてきたんですか? |
natsukiiin |
大学時代はほとんどずっとアトリエ。アパートを借りていたけど、ほんと寝るために帰ってるだけだったな。 |
あんどう |
いまは毎日鴨江に来て、絵を描かれているんですよね。 |
natsukiiin |
そう! 大学ではほぼ毎日朝から21時まで描いてたし、鴨江に来てからもそのルーティーンは変わっていないかな。 |
あんどう |
大学で描いていたころと、鴨江に入ってからを比べてどうですか? |
natsukiiin |
そうだねー。いろんな年齢や立場、経験も異なる人と出会えるのはここならでは。学生ではなく、アーティストとして見られているんだ!という自覚が芽生えた気がするなぁ。 |
あんどう |
先日のお話しで、在学時代に鴨江でレジデンスをやっていると知って帰ってきた!とおっしゃっていましたよね。 |
natsukiiin |
そうそう。筑波にいるときに知り合った人も当時、この鴨江に出入りしていて。身の回りの人や出来事の点を繋げたら一気に線になってつながった。アーティストとして頑張っていくことは決めていたから、鴨江に帰っちゃおう!と思って・・・。 |
あんどう |
なるほど! やっぱり浜松には知り合いもいるし・・・。 |
natsukiiin |
そうそう。あ、でも、四年間を経てから友達とかと話すと、お互い成長したりいろんなことを経験したりしていて、なんだかまた違う世界になっているなぁ。 |
あんどう |
あーわかります。私も地元に帰ると、アートとかデザインとかそういう話をしない環境があって。逆に新鮮というか、面白いですよね。 |
natsukiiin |
うんうん。やっぱり鴨江ってほんといろんな人が出入りしていて面白い。レジデンスでなくても、鴨江に帰ってきてたかもなぁ。
最近、自分はこんなアーティストになるんだっていう軸がなんとなく固まってきていて、ぴったりな場所だって思える。いま私の作品を見てもらいたい人が来てくれるし。 |
あんどう |
わー! いま私も自分の軸とかそういうの結構考えちゃう時期で・・・。natsukiiinさんの考えるこれからってどんな感じですか? |
natsukiiin |
うーん。やっぱり、自分のやりたいことをやるっていうことかなぁ。売れる絵を描かなくちゃ!というのはアーティストとして食べていくために必要な意識だ、っていうのは理解しているけれど、自分はそうじゃないなぁって。
売買されるためだけの絵よりも、いろんな人に見てもらって、誰かの日常にあるような絵を描いていきたいなぁ。評価する人にちゃんと評価してもらえるのかなぁ、っていう臆病な気持ちもいまは少しあるけど、いつかそういう人の心にも絶対響く作品を作っていくぞ!っていう。 |
あんどう |
なるほど! そしたら鴨江での制作はぴったりでしたね! |
natsukiiin |
そうなのそうなの。会期中もオープンアトリエ方式で、いま描いているこの絵をずっと描き続けようかなぁと・・・。描いている工程ってめちゃくちゃ面白いと思うんだよね。
完成させようと思うと、そのときとってもいい感じな色の重なりとかを、消していかなくちゃいけなくなったりして・・・。出来上がりだけじゃなくて、そのプロセスも見せたいな。 |
あんどう |
確かに! だっていまnatsukiiinさん、綺麗な色彩の上に、白い絵の具を重ねている・・・。あぁ隠れちゃうって思うけど、次に見える色合いもまたいい。 |
natsukiiin |
じっくり絵を見るってこともそうそうないよね。いつか人が芸術に触れたりする日常の背景に、自分がなっていたいっていう気持ちがあるから、本当にいろんな人にいろんな角度から見てもらいたい。
あと自分のラッキーな特技として、喋りながらでも描ける!ってのがあって。だからぜひ見に来てくれたら話しかけて欲しいな! |
OPEN ATELIER #202
【場所】鴨江アートセンター202号室
【開催期間】9月17日(土)~25日(日) 10:00~21:00
⇒natsukiiin個展 OPEN ATELIER #202
205号室「小林久人」さん
205号室 写真家の小林久人さん
――「浜松で、写真家って名乗ってる人、あんまりいないよね?」
205号室は写真家の「小林久人」さん。レジデンスに入る前月には京都で個展、期間中には六甲山国際写真祭にて招待作家として展示など、いろいろな場所で作品発表をして、アクティブに活動されています。
あんどう |
本日はよろしくお願いします! |
小林 |
どうも〜お願いします。 |
あんどう |
じつは私、小林さんから写真をいただいたことがあって・・・。 |
そう、私は今年の6月ごろに一度知り合いのイベントで鴨江に来た(が、超マイナーな音楽機器について語る会だったので、わ、ワカンねぇ・・・と外をフラフラしていた)際に、この部屋に立ち寄ったことがありました。
そのときは壁一面に小林さんの作品が飾られていて、なんと「好きに持っていっていいよ」とのことで、一目惚れした1枚をいただいていたのです。
小林 |
え! そうなんですか・・・。いつだろう・・・。 |
あんどう |
あ! これです浜名湖の、桟橋跡の(小林さんが写っている写真の作品)! |
小林 |
ああ! そしたら6月だね〜。いまはまだ展示替えをしているところで、これも残っているんですよ・・・。 |
壁一面に写真が貼ってあり、部屋の隅には小林さんの写真集がたくさん並んでいた当時のことを思い出しました。
小林 |
僕、レジデンスに入ったのは写真集を作るためで。今回の展示は、たまたま壁が空いているな!と思って始めるんです。 |
あんどう |
あ、そうなんですね! それまではずっとご自宅で制作されていたんですか? |
小林 |
そうそう。写真集を作るのには場所が広い方がよくて。ここは時間を有効に使える場所として考えています。それから写真集はすべてハンドメイドで作っているんだけど――。 |
dummybook展
【場所】鴨江アートセンター205号室
【開催期間】9月17日(土)~25日(日) 10:00~21:00
【同時開催】写真展 鴨江アートセンターの人々(9月16日~30日)
このあと小林さんの写真集を見せていただき、ものすごく濃い制作秘話へ。・・・まだまだ小林さんのお話しは続きますが、本日はここまでです。
9/17(土)~9/25(日)まで続く「アーティスト・イン・レジデンス2016前期展」。明日は小林さんのお話しの続きに加えて、もうひとりのレジデンスアーティストさんのお話しをお届けします!
⇒「アーティスト・イン・レジデンス2016前期展」後編はこちら!
鴨江アートセンター
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