浜松でアート&カルチャーに触れるならココ!
「鴨江アートセンター」で楽しめること3つ
創造都市を市政に掲げ、アートに、カルチャーに、アツい姿勢をみせる浜松! まちなかには地域の文化や歴史を活かした活動が行われているスポットがたくさんあります。
たとえば、2013年11月に誕生した「浜松市鴨江アートセンター」。訪れてみると、外には立派な石の装飾、中は鉄筋コンクリートの造りでひんやりとしています。そして正面入り口には、鴨江“別館”?
うーん、深い歴史がありそうな・・・ということで、鴨江アートセンターを管理運営している、一般社団法人浜松創造都市協議会の青木さん、澤柳さんにお話を伺ってみました。
創造都市:グローバリゼーションと知識情報経済化が急速に進展した21世紀初頭にふさわしい都市のあり方の一つであり、文化芸術と産業経済との創造性に富んだ都市のこと。
出典:創造都市ネットワーク日本「創造都市とは」
鴨江アートセンターってなんだろう?
青木さん | じつは元警察署なのです。 |
なんと鴨江アートセンターは、1928年に当時の浜松警察署として建設された、築88年のおじいちゃんでした。1971年に警察署としての役目を終え、その後は浜松市社会福祉会館や音楽団体の練習場として役割を変えつつ、2005年ごろから浜松のアートシーンのなかで利用されるようになったとか。
2008年には老朽化による解体が決まっていたものの、市民の熱い声により方向転換。市長は「市民が気軽に使える芸術施設」として耐震補強を施し、保存・再利用する方針を決めます。ちなみに正面入り口の“別館”は、市役所の別館だった時代の名称だそうです。
青木さん | 大空襲も地震も乗り越えて、浜松市民と歩んできました。 |
そう、浜松は1944年から約2年間、地方都市では最多の爆撃を受け、焼け野原となった過去があります。さらには同年に昭和東南海地震でも被災。まさに激動の時代を生き抜いた建築物として、市民にとても大事にされてきたのでしょう。
いまではそんな建築目当てでの来訪者も多く、鴨江アートセンターについてまとめられた小冊子「BEKKAN(事務室にて有料で配布中)」を片手にじっくりと見学することもできます。
スタッフさんのいる事務室。貸し借りの受付はここで。私はとくに用事もないのにお話ししに行ってしまいます。
澤柳さん | アート、カルチャー・・・そうだねぇ。分類的にはそこかもしれません。 |
ここではアートを土台としつつもゆるーいくくりで、さまざまなイベントが行われています。これまでにはワークショップやトークイベント、アートプロデューサーをはじめとした人材育成講座、写真などの作品展示、インスタレーションカフェなどが開催されてきました。
これらイベントの種類は大きく分けて、「鴨江アートセンター主催のイベント」と「利用者さんが鴨江の部屋を借りておこなうイベント」のふたつ。つまり、貸館として、誰でもこのセンターを使うことができるのです! なかにはクリスマスパーティーや、MVの撮影に使われる方もいらっしゃるとか。
またイベントのほか、支援事業としてアーティストインレジデンス(芸術家への制作場所の提供)にも取り組んでいます。
鴨江アートセンターで楽しめること3つ
青木さん | いろいろなひとが訪れるきっかけを、散りばめなくちゃいけない。 |
せっかく市民と寄り添って残ってきた場所なのでもっともっといろんな人に使ってもらいたい!と話すおふたり。アートと名はつきますが、ワークショップやインスタレーションカフェなど、あらゆる方向に扉が開かれているのです。そこで行ってみたいけどなぁという人のために、3つの楽しみ方をご紹介します!
①きょうはなに? ワークショップやライブに参加!
鴨江アートセンターでは年間を通して、なにかしらのイベントが開催されています。アーティストはもちろん、まちの人主催の企画が盛りだくさん。無料〜500円くらいで非日常な出来事や、暮らしのエッセンスに触れることができます。
②きてみただけ~ゆるりと過ごせるロビー
1Fと2Fに、どこか懐かしいテーブルと椅子が並んでいます。ここは無料で使えるフリースペース。おしゃべりしたり、勉強したり、お昼ごはんをたべたり、公共スペースでありながらも、ふわーと独特の空気が流れています。
また読み放題の本が収納されている本棚「Book for(写真左)」には、全国のアート・カルチャー本が集まっています。裏側には浜松周辺のさまざまなチラシも。なんか面白いお店ないかなー。イベントないかなー。と覗いてみるのもアリです!
じつはインタビューもこのロビーでしましたが、窓からよい陽が入るし居心地がいいです。「こんにちはー」といろんな人が訪れて、チラシボックスをのぞいたり休憩したりと、思いのままに過ごす様子に納得! ちなみにフリーWi-Fiを飛ばすのが次の目標だそうです。
③なにをしよう! 1時間160円~誰でも使える素敵な空間
自分も何かイベントをやってみたいなぁ。楽器の練習がしたいなぁ。カフェひらきたいなぁ。次のミーティングはどこでやろう。そんなときに鴨江アートセンターです。
ここには大小あわせて7つの部屋があり、1時間160円〜で借りることができます。たとえば次のような方々が、鴨江アートセンターを利用されています。
――「え! 絵を描けるところがある!と思って帰ってきました」
と語るのは、2016年度前期のレジデンスアーティストである日本画家のnatsukiiinさん。浜松学芸高校を卒業後、筑波大学に進学しました。
鴨江でアーティストインレジデンスをやっていることを知り、卒業後に地元・浜松に戻ってこられたそうです。階段をのぼったら部屋の扉が開いていて、女の子が絵を描いている。というなんともアート好きの心をくすぐるシチュエーションにどきどきします。
作品の前には岩絵の具がたくさん。使い方や種類のお話しもしてくださいました。
――「おもしろいところにはおもしろい人が集まる。ここに来たらいろんなつながりが生まれる」
と話すのは、201号室で自作のオーディオセットで音楽を聴く会を開いていた、峨駒(がく)さんの奥様・富美恵さん。自身も演劇活動をしていて、2016年度後期にはレジデンスアーティストとして鴨江アートセンターで制作するのだそうです。
本業は造園家の峨駒さん。竹や紙など身近な素材で作られたオーディオセットでは、古き良きレコードが演奏されました。
ずっと自宅で制作し演奏(正しくは再生なのでしょうか。)していたそうですが、いろんな人に聞いてほしい!ということで外での演奏を企画。自宅から徒歩数分の鴨江アートセンターで試しにやってみたら、音の響きがとてもいい!と今回の演奏会を実現されたそうです。
いざ、鴨江アートセンターへ!
鴨江アートセンターで配布している、静岡文化芸術大学・大学院卒のスタッフ・拝田さんデザインのかわいいチラシ。全国の文化施設にも配布しているようです。
私が「浜松駅から少し遠いんですよね」と青木さんに言ったら、「距離は問題ではない! おいで!」と言われました(汗)いや、私もそう思います。歩くの好きだし、すこーしまちなかから離れていたって、面白そうなことをやっているから行きます。
でも、駅から歩いて15分はかかりますし、自転車では途中にある大きな交差点を渡れず、地下道を通るしかありません。でもバスなら10分くらいです。
駅からのバスでしたら「鴨江アートセンター」というバス停で降りましょう!マイカーなら建物の裏に時間貸しがあります。
また鴨江アートセンターでは、TwitterやFacebookで最新のイベント情報を発信しています。写真付きで様子がとてもわかりやすいのでぜひチェック! サイト内にはイベントカレンダーもあるので、狙いを定めていくのもいいですね!
浜松はアートに満ちあふれている!
鴨江アートセンター
駐車場はないため、公共交通機関を利用してのアクセスがおすすめです。