秋口からギターポップ好きのあなたまで
月刊ソネレコ【#7】
静岡県に生きる「音楽が友達」という人にきっかけを。いつのまにか秋ですね。「月刊ソネレコ」です!
浜松市の中心街でひっそりと佇む、いまや絶滅危惧種のリアルレコードショップ「sone records(ソーンレコーズ)」。
sone records(通称:ソネレコ)
静岡県浜松市の田町で営業するリアルレコ屋。国内外のインディー全般を中心に取り扱う。9月中旬から体調を崩していた店主はもう復活しています。
Twitter:@sone_records
店主のクワケンさんに、秋は「音楽の秋」だと言い張る吉松が月ごとのテーマを提示し、そのテーマに沿って数枚ピックアップしてもらうこの連載。
音楽のまちとして知られる浜松から、国内外のインディーをメインに毎月発信しています!
「月刊ソネレコ」9月のテーマ発表
ソネレコの店主クワケンさん。
吉松 |
9月のテーマは「秋口」です。言葉のとおり、秋になったばかりのいまに合うような1枚を! |
クワケン |
秋だよねえ。わかりました! |
吉松 |
リクエストもギリギリひとつ届いていまして。でも、いままでみたいな日常を踏まえたものではなくて、「ギターポップが好きなんですが、もっと幅を広げられる1枚が知りたい」みたいな内容でした。 |
クワケン |
まじか。答えられるかな。了解っす。 |
月刊ソネレコ【#7】
- 新入荷(2枚)
- 秋口(1枚)
- ギターポップ好きなあなたの1枚(1枚+α)
春から始まった月刊ソネレコも、夏を経て秋を迎えました。いつも季節に寄り添うインディーミュージックをピックアップいただいていますが、秋はどんな音楽が飛び出すのか――。計4枚+αのインディーミュージックをどうぞ! ※+αはリクエストコーナーにて。
新入荷「Luby Sparks / Thursday」
クワケン |
新入荷はまずルビースパークス。00年の終わりごろから10年代のいまに至るまで、洋楽インディーのいいところが詰まってる。スーパーカーの初期とか90年代初期の邦楽のエッセンスもあるね。 |
「Luby Sparks / Thursday(税込540円)」。月刊ソネレコ【#1】にも登場した東京発、現役大学生ノイジーポップバンド「Luby Sparks」。2017年9月20日、ついにデビューCDをリリースしました!
リード曲の『Thursday』ほか、過去にカセット収録されたDemoも含めた全3曲入り。男女ツインボーカルのメロディが儚くもポップな胸キュンサウンドです。
♪Luby Sparks – Thursday
吉松 |
最高っすね! 初期ぺインズ※を思い出させるようなキラキラ感。 |
クワケン |
そんな感じもするね。もう本当にいいバンドだなと。こういうギターポップとかノイジーポップが好きな人なら間違いない。 |
吉松 |
(リード曲以外も流れる)これもめっちゃいいじゃないですか。 |
クワケン |
そうなんだよ。全部いいんだよ! なんだよお前らっていう(笑)今年の冬にはアルバムも出すらしくて、やっぱり期待しちゃうね。 |
※The Pains of Being Pure at Heart(ザ・ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハート):2007年結成、ニューヨーク発の4人組インディーポップバンド。デビューアルバムのセルフタイトル作は、いまやシューゲイザーの名盤として評価を集める傑作。
新入荷「Lali Puna / Two Windows」
クワケン |
2枚目は「ラリプナ」。ドイツのエレクトロニカ×ロック寄りのレーベル「モールミュージック」の看板バンドでさ。7年ぶりのリリースなんだよ。メロディはポップだけどセンチメンタル、ボーカルはアンニュイな感じで。聴いてて気持ちいいね。 |
「Lali Puna / Two Windows(税込2,905円)」。ドイツのエレクトリックポップバンド「Lali Puna」7年ぶりのニューアルバム。
4人編成から3人編成になって初の1枚ですが、従来の歌ものエレクトロニカ路線を維持しつつも、よりエレクトロに寄ったサウンドに進化。2017年9月10日リリース、LP+DLコード付きです。
♪Lali Puna –Deep Dream
クワケン |
メンバーが変わってからはじめてのアルバムだけど、昔のラリプナのよさも損なわれることなく。 |
吉松 |
『Faking the Books』(2004年リリースのアルバム)とかいまでも聴きますけど、たしかに全く損なわれてないですね。 |
クワケン |
ね。俺個人的にもそうだし、昔からのうちのお客さんも高まっててさ。めちゃくちゃいいよね。 |
吉松 |
でも全体的に物悲しい感じもしますね。 |
クワケン |
秋っぽいね。新入荷ながらも秋っぽい。この時期にもいいんじゃないでしょうか。 |
秋口「IDA / Will You Find Me」
クワケン |
秋口はアイダ。THE歌心。USインディーの良心。2000年発売のヴァイナルリイシューなんだけど、沁みる名曲がもう詰まりに詰まってる。・・・秋口どころの騒ぎじゃないくらい、どっぷり秋だけどさ。 |
「IDA / Will You Find Me(税込2,689円)」。アメリカはニューヨークを拠点に活動するインディーロックバンド「IDA」が2000年に発売した1枚。
やわらかく美しい男女ボーカルに、身体にすっと馴染む心地よいバンドサウンド。クワケンさんいわくスローコアの名盤、そして永遠の名盤。LP+DLコード付き。
♪IDA – Shotgun
吉松 |
これはヤバい。沁みる。一気に秋にもってかれるような。すごくいいです。 |
クワケン |
すごくいいですよ。ただただ歌ですよ。ちょっと人恋しい季節にはいいよね。 |
吉松 |
これ、夏には聴けませんね。さすがです。 |
クワケン |
夏に聴いてたら「なんかつらいことでもあったの?」って言っちゃう(笑) |
2017年11月11日(土)にソネレコでDJイベントがあります。もしよければぜひ。
クワケン |
そろそろリクエストコーナーですか! |
吉松 |
そうですね。ガンガンいきましょう。読ませていただきます! |
ペンネーム:玉突きピンボール
僕はギターポップがめちゃくちゃ好きです。特にインディー系は毎日のように聴いています。
ただマンネリ化してきました。聴きすぎて。
一番好きなジャンルはギターポップな僕に、もっと幅が広がるきっかけになりそうな1枚を教えてください。
クワケン |
ノイズでしょ(笑) |
吉松 |
極端(笑) |
クワケン |
ウソだけど! ノイズもいいけどね。そうだなあ・・・ギターポップは広いしざっくりしてるから、どのバンドが好きなのか。それこそペインズだってギターポップだし、ティーンエイジ・ファンクラブ(Teenage Fanclub / スコットランドのバンド)もそうだし。 |
吉松 |
アズテック・カメラ(Aztec Camera / スコットランドのバンド)とかもそうですかね。 |
クワケン |
ネオアコじゃないかな。まあ、ギターポップか。オレンジ・ジュース(Orange Juice / スコットランドのバンド)もそうだよね。 |
吉松 |
難しいですね。「ギターポップ好きです!」って人は、軽めの音でメロディが立ってるバンドが好きそうなイメージですけど。 |
クワケン |
ああ、そういうことなのかね。それじゃあ――。 |
ギターポップ好きなあなたの1枚「Cloud Nothings / Life Without Sound」
クワケン |
クラウドナッシングスとかいいんじゃないですか。悩める青年のオルタナロックみたいな感じで、エモーショナルな音だけどメロディは立ってるし。このアルバムでいうと、以前みたいな爆裂ガレージポップでもないし、聴きやすいと思う。 |
「Cloud Nothings / Life Without Sound(税込2,905円)」。アメリカのインディーロックバンド「Cloud Nothings」4枚目のアルバム。切ない男くささに思わずグッとくる、ラウドでポップなグッドサウンド。2017年1月27日リリース、LP+DLコード付き。
♪Cloud Nothings – Modern Act
クワケン |
ウィーザー※っぽいよね。 |
吉松 |
あー! 言われてみれば。センチメンタルな男ロックみたいな。 |
クワケン |
きっとピンボールさんの幅も広がると思う。オルタナのインディーロックとかさ。ポップなばかりじゃなくて、エモーショナルなところにも手を出すきっかけになったらいいなと。・・・あとさ、もうひとつコレもいいんじゃないかな。 |
※Weezer(ウィーザー):アメリカ発、4人組オルタナティヴ・ロックバンド。90年~00年代にヒット曲を連発し、同年代を代表するバンドとして知られる。ビジュアルや曲調などから「泣き虫ロック」と評された時期がある。
「Pregnancy / Urgency(税込2,473円)」。オーストラリアはメルボルンのインディーポップバンド「Pregnancy」のデビューアルバム。
ポストパンク、USインディー、ニューウェイブの要素に、オージーらしさを加えた独自の世界観。いわゆる「ひねくれポップ」。2017年7月14日リリース、LP+DLコード付き。
♪Pregnancy – First Kiss
クワケン |
もしこれが気に入るならオーストラリアのインディーから、USインディー周辺まで掘り下げられそう。 |
吉松 |
オーストラリアのインディーが入口ってかなり通っぽいですね。 |
クワケン |
「とんでもねえとこから入ってきたな」ってなるだろうね(笑)まあ、ルビースパークスも男女ボーカルでフレグナンシーもそうなんだけど、こうまで違うかと。音楽って面白くていいですねって思ってくれたら(笑) |
どんなジャンルであっても、自分好みのバンドや曲は必ずひとつはあります。インディーロックはもちろん、敷居の高そうなノイズ、ジャズ、クラシックでもそう。
問題はそれに出会えるかどうか、持論です。玉突きピンボールさんの幅が少しでも広がっていれば、と祈りつつ・・・。
ということで、月刊ソネレコ【#7】はおしまいです。みなさんからのリクエストは引き続き募集中ですので、ふるってご応募いただきたい!
「ペンネーム(本名でも可)」「リクエストをする理由(シチュエーションなど)」を書き添えたうえ、吉松のTwitter(誰でもDMが送れるようになってます)か、ページ下部「miteco編集部へのメッセージ」にてお待ちしています。また来月、会いましょう!
ソネレコの音楽がmitecoまつり2017にも!
ここでお知らせです。今週末、9月30日(土)に開催するリアルイベント「mitecoまつり2017」。
なんと会場内に設けるオフィシャルブースにて、ソネレコのレコード&CD&カセットを取り扱わせてもらうことになりました! 嬉しい・・・。
月刊ソネレコで取り上げた音楽をはじめ、浜松の店舗に並ぶ音楽に触れられるチャンスです。ブースにずらっと並べる予定なので、興味のある方はぜひ立ち寄ってください! ちなみに視聴は難しいので、初見で購入する場合は、ジャケ買いになりそうなのはあしからず。
お楽しみに!