あの有名俳優も通った「Cafe Blanc(カフェブラン)」
沼津で営む素敵な珈琲と紅茶の家
筆者、じつは「カフェ情報ならお任せ!」といえるほどカフェ好きでして、ほかの取材など仕事の関係でも行く機会が多いです。
普段、カフェで原稿を書くこともあって、カフェに行かない日はないというくらい。コーヒーも紅茶も、甘いものも大好きです。そんなわたくし行きつけの素敵な喫茶をご紹介します。
沼津で営む「Cafe Blanc(カフェブラン)」さん。沼津港から車で5分ほどの場所にあります。樹木に囲まれた一軒家カフェは、開店28年。漆喰壁の染みがよい具合に、その歳月が物語っています。
ブナやカエデの樹が囲むカフェブラン
カフェブランは常連さんの多い店という印象がありますが、マスターによれば、関東方面の県外客もよく訪れるそう。
「沼津港で魚を食べたあと、お口直しにコーヒーだけ飲みにくる。そのあと、東名高速に乗ってお帰りになるパターンが多いかな」とマスター。
沼津港から東名沼津インターへ向かう途中にある、納得の好アクセス。加えて、ある俳優さんの行きつけだったという噂を知り、ココをめがけて遠方から訪れる人もいるのだとか。
その俳優さんとは、『釣りバカ日誌』で知られる故・三國連太郎さん。三國連太郎さんは静岡県松崎町の生まれで、晩年は沼津大使を務めていました。
ひとりで来店するとカウンターに座り、マスターのコーヒーを飲んでいたそうです。そのコーヒーはいまも「三國ブレンド」として、三國さんが好んだカップで提供されています。
かけがえのない時間を提供する
写真(上)はマスターの加藤誠さん。その手前にあるカラフルな器にご注目ください。ウェッジウッドの「ジャスパーダンシングアワー」。三國ブレンド(650円)は、いまでは生産されていない、この愛らしいカップで楽しめます。
カウンター奥に写っている器たちも、リチャード・ジノリをはじめ、美しく貴重なものばかり。
「僕は会話が得意なほうではない。でもほら、器を眺めるのが好きな人もいるでしょ。だからカウンター席を設けた」。加藤さんの店づくりに対する一番のこだわりが、このひと言に垣間見えます。
それは「かけがえのないひととき」を提供すること。一杯を最後までおいしく味わうための細かい工夫であったり、美しい器であったり、居心地のよさであったり、あるいはこんな演出であったり。
グラスポットで、6~8種の生フルーツを贅沢に合わせたフルーツティー。ポットはキャンドル台の上に置かれ、最後の一杯まで冷めることなく、おいしくいただけます。
眺めているだけで、優雅な気分にさせてくれる演出。思い思いに過ごせるカフェでのひとときを、果実の香りとともに、かけがえのない時間へといざなう一品です。
手作り菓子も絶品で、写真はかぼちゃのタルト(450円)。生クリームとかぼちゃ、カラメルが口のなかですぅっ、と溶け合う、そのハーモニーがたまりません。
加藤さんが作るお菓子はどれも、最後まで「無理なく」食べられます。ひと口目のインパクトよりも、次に来店したらまた食べたいと思う、そんな余韻が残るのです。
「ウチには流行ものというか、目新しいものはとくにないよ。ケーキもみんな素朴なものだし」と話す加藤さんですが、その言葉は自虐というよりも、むしろ逆。
開店からメニューをほとんど変えずに営んできたというカフェブラン。それは一品一品が支持を得てきた証であり、店主の自信であると感じました。
丁寧にドリップするコーヒーと紅茶、手作り菓子。ほかにはベイクドホットサンドやアレンジコーヒーなどなど。フルーツティーは1〜3人用まで対応しています。
木漏れ日に染まる窓際席、器が並ぶカウンター席のどちらもオススメ。かけがえのないひとときをぜひ、カフェ・ブランで。