第3回静岡難読地名コンテスト
書けるけど読めない町in沼津市西伊豆
読めそうだけど書けない漢字の植物、薔薇(バラ)と檸檬(レモン)。
編集部の安藤です。今回は静岡県沼津市を舞台に、第3回難読地名コンテスト沼津市西伊豆編をお届けします。
・・・レモンって植物のくくりでいいのでしょうか?
第3回静岡難読地名コンテストのルール
難読地名とは、地元以外の人からは読めない地名のこと。まずは、第3回静岡難読地名コンテストのルール説明を行います。
- 沼津市(西伊豆)であること
- 書けるけど読めない漢字を用いていること(義務教育で習う程度)
- その土地のうんちくを話せるひとネタを用意すること
繰り返しますが、難読地名は読めるだけでは意味がないのが私の持論です。
さて、第3回静岡難読地名コンテストにノミネートされたのは以下の3つ!
- 久連
- 木負
- 戸田
※掲載順序は緯度順
前回同様、全国に住む100人を対象に難読地名の読み方についてアンケート※を行いました。みなさんの正答率から順位、難読度、漢字を習う年齢、誤読例を発表します。
今回、なんとすべての地名が正答率10%を下回りました! 果たしてどこが難読率1位に輝くのでしょうか?
※難読度の選定方法および誤読例:クラウドソーシングサイト「Lancers」上で得た100人のアンケート回答をもとに集計(実施期間:2017年8月24日)
第3位:木負(旧・西浦村)
- 難読度:★★★★★(正答率:9%)
- 漢字を習う年齢:木・・・小学1年生、負・・・小学3年生
- 誤読例:きおい、きふ、きぶ、きめ、けふ、もくま、もっぷ、もふ
難読地名第3位は木負(きしょう)! 正答率は9%で、「負」という言葉もインパクト抜群です。
正式な住所は西浦木負(にしうらきしょう)と言います。かつては西浦村にある村のひとつでしたが、1955年から沼津市に編入されたため現在の名称になりました。
釣りや潮干狩りのほか、木負では秋になるとみかん狩りが楽しめます。ラブライブのラッピングバスに乗り、みかん狩りに参加できるツアーも開催。
海をバックに記念撮影もできるため、ラブライバーからも好評だったとか。さすが沼津。
第2位:久連(旧・西浦村)
- 難読度:★★★★★(正答率:1%)
- 漢字を習う年齢:久・・・小学5年生、連・・・小学4年生
- 誤読例:きゅうれん、くつら、くれ、ぐれ、ぐれん、ひさつれ
難読地名第2位は久連(くずら)。なんと正答率はわずか1%でした!
こちらも正式な住所は西浦久連。木負と同じタイミングで沼津市に編入されました。
社叢※が沼津市指定天然記念物に選ばれた久連神社はこの崖の上です。いまにも崩れそうですが、もしかして、「崩れ(くずれ)」が転じて「くずら」になったのでしょうか。
※社叢:しゃそう。神社の森。久連神社社叢が沼津市の指定天然記念物に選ばれた理由は、暖地における植物相がわかること、特別珍しい植物はないが自然生態をよくとどめた樹林であることから。
むき出しの木の根っこを見ると、神社を作るために崖を切り拓いたのではないかと想像させます。
ところで、久連の有名人である渡瀬寅次郎氏をご存じでしょうか? 知らない人も多いはず。じつは、私も知りませんでした。
では、「Boys Be ambitious(少年よ大志を抱け)」で知られるクラーク博士ならご存じでしょう。クラーク博士は、札幌農学校で農学教育とキリスト教について講師をしていた人物です。
ここ西浦の地で西浦農場を興した渡瀬寅次郎氏は、クラーク博士の弟子のひとり。富士山を望める試験農場でクラーク博士の想いを受け継ぎ、外来品種や在来種の農作物の改良に取り組んでいたそうです。
先ほど木負でみかん狩りができるとお伝えしましたが、これは渡瀬氏がみかん栽培の技術に大きな役割を果たしたからだといわれています。ちなみに、渡瀬氏は「二十世紀梨」の命名者でもあります。
正答率1%が難読地名第2位。となると、第3回目にして難読地名第1位は正答率0%では・・・?
第1位:戸田(旧・戸田村)
- 難読度:★★★★★(正答率:0.9%)
- 漢字を習う年齢:戸・・・小学2年生、田・・・小学1年生
- 誤読例:とだ、へた
難読地名第1位は戸田(へだ)。投票者のうち、「『とだ』または『へだ』」と答えた方が1名いるため総投票数が101票となり、「正答数1/総投票数101=0.9%」という奇跡の結果が出ました!
戸田地区はかつて戸田村として存在していましたが、2005年に沼津市と合併。現在は沼津市戸田地区です。
さて、久連から真城峠を通るルートで戸田へ向かうこと約30分。日本の棚田百選にも選ばれた北山の棚田が見えてきました。
いまから300年以上前、北山(富士宮市)に住んでいた人たちが戸田へ移住し、この地に棚田を築いたという言い伝えが残されています。
今回の難読地名、戸田地区が見えてきました。こうやって見ると、町全体から難読地名感が漂っているように感じませんか?
さらに山道を下っていきましょう。
棚田から1枚お届け。ちなみに、ここの住所は戸田新田。まさに新田の名にふさわしい風景ではないでしょうか。
戸田漁協直売所です。カツオやタカアシガニ、果ては戸田で話題の深海魚まで販売しています。
『おかみさんが作った戸田塩桜じぇら~と』を購入。戸田の塩はNPO法人戸田塩の会が丹精込めて作った貴重な天然塩で、農林水産大臣賞も受賞しているそうです。はじめて知った。
このアイス、戸田塩のほかに桜葉や桜花、水あめなどが入っています。たしかに桜もちのような風味と水あめの甘味がありながらも、塩気のおかげで引き締まった味わい。これが戸田塩効果でしょうか。
そしてぜひ立ち寄って欲しいのが戸田・出逢い岬。ここから見える御浜岬(伊豆のくちばし)はおすすめです。
海を囲むようにせり出す陸地はさながら鳥のくちばし。パノラマビューでお見せできないのが残念ですが、自然が作り出したアートの美しさへの感動は現地に行けば味わえます!
さらに、出逢い岬は富士山ビュースポットのひとつ。空気がよく澄んだ日なら、富士山の眺望はもっと美しいはずです! ビバ、難読地名!
※なお、県道17号線で沼津に戻る途中、いくつかの富士山ビュースポットが見つかります。ただし、「井田(いた)」「西浦江梨(にしうらえなし)」と、やや難読地名力は低めだったため当記事では割愛しました。
あなたの町の難読地名を教えてください!
第3回静岡難読地名コンテストin沼津市西伊豆は、戸田(へだ)が驚異の正答率0.9%で第1位に輝きました!
ウルトラCの回答のおかげで正答率0%はまだ現れていません。果たして「誰も読めない」最強の難読地名は現れるのでしょうか?
読者のみなさんから静岡の難読地名情報もいただき、現在は鋭意企画構想中。まだまだインターネットだけではわからない情報ばかりです。もしご存じの地名がありましたらmiteco編集部までお知らせください!
静岡初!?新提案・難読地名ドライブコース
最後に編集部の安藤から、難読地名ファンそしてmitecoフリークのみなさんへ、「難読地名ドライブコース」のご提案です。
今回ご紹介した木負・久連・戸田の道のりは、景色もよくて純粋にドライブを楽しめるルートでした。そこで、今秋は難読地名を訪ねるドライブコースを軸に、西伊豆を満喫してみませんか?
朝9時に木負でみかん狩りをしたら久連神社を参拝し、戸田で棚田を見たりジェラートを食べたりして過ごす。そして、富士山と駿河湾を見ながら沼津へ向かう・・・実際に取材はこんなルートでした。同乗者には、「今日行く地名、全部読めない!」という気持ちと、まだ誰にも知られていない伊豆ローカルを体験してもらえるはずです。
難読地名を訪ねたあとは、神秘の池がある大瀬崎に立ち寄り、内浦漁協直営のいけすやさんで遅めのランチ。
とどめに夕方からは内浦漁港で釣りをしながら夕焼けを待つ、mitecoフリークにピッタリな1日が待っています。難読地名に惹かれたあなた、ぜひ西伊豆のコースを体験してみてください!