「静岡あるある」の面白さが4コマ漫画に!
先生に聞いた『ローカル女子の遠吠え』の裏話

  • posted.2019/01/16
  • 空芯菜
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「静岡あるある」の面白さが4コマ漫画に!  先生に聞いた『ローカル女子の遠吠え』の裏話

こんにちは! 空芯菜です。

ついに2019年になりましたね。今年もよろしくお願いします!

さてみなさん、漫画を読むのは好きですか?

私は大好きなんですが、最近読んだなかで、かなり気になった本があります。それは・・・

瀬戸口みづき先生の『ローカル女子の遠吠え』です!

『ローカル女子の遠吠え』は静岡県ネタが満載!

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ローカル女子の遠吠えとは・・・

主人公の有野りん子は、東京での生活に馴染めず地元の静岡県にUターン転職。静岡の暮らしを楽しむ旧友や、転職先で出会った地元愛あふれる人々と交流を深めていく。ローカルなネタについつい笑ってしまう、4コマコメディー漫画。

です。静岡ネタが満載で、県民なら共感できる内容ばかり。作者の瀬戸口みづき先生は、現在焼津市に住んでいるとのことで、インタビューを申し込んだところ、なんと快諾いただけました!

今回の取材は、焼津駅から徒歩5分のところにあるコアワーキング&カフェスペース「Homebase YAIZU」で待ち合わせ。

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Homebase YAIZUは仕事やちょっとした休憩にも使うことができます! 焼津に用事がある際は利用してみてください。

誕生のきっかけは編集担当のひと言から

image5この記事のために自画像を描いてくれました、ありがとうございます!

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空芯菜

(ほ・・・本物の瀬戸口みづき先生だ・・・!)本日はよろしくお願いします!まず、漫画家になったきっかけはなんですか?
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瀬戸口先生

美術系の大学に通っていて、じつはもともと絵本作家志望だったんです。
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空芯菜

え!? そうなんですか!
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瀬戸口先生

絵本のコンクールにも応募していました。最終選考まで残っていたんですけど、デビューにはならなかったんです。
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空芯菜

そうなんですね。はじめから漫画家を目指していたものだと勘違いしていました。
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瀬戸口先生

申し訳ないことに・・・。でも漫画家になってみたら楽しくて、絵本作家より漫画家のほうが向いていたなって。結果オーライです。

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空芯菜

『ローカル女子の遠吠え』を描くことになったきっかけはなんですか?
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瀬戸口先生

もともと前作を「まんがタイム」系列の4コマ誌「まんがオリジナル」という雑誌で連載していて、『ローカル女子の遠吠え』は2作目として「まんがタイムスペシャル」で連載をしているんです。
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空芯菜

そうなんですか。
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瀬戸口先生

前作が終了して、次の作品の内容をどうしようかって話のときに、編集担当者がアドバイスをくれました。「静岡は東京から近いのに全然文化が違うのが面白いから、それを漫画にしたらどうか」って。
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空芯菜

静岡って他県から見ると変わった県なんですかね・・・。
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瀬戸口先生

最初は「静岡ネタ」って限定しちゃうと、県民以外から見て面白いかどうか確信が持てなかったんですよ。全国的にはわからないネタが多いんじゃないかなと思って、3話ぐらいまで「静岡」って言葉も出していません。
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空芯菜

確かに最初のほうは「静岡」って書いてなかった記憶があります!
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瀬戸口先生

迷っていたら担当さんが「静岡ってはっきり出して、ローカルネタを押し出したほうがきっと面白い」って言ってくれました。それで4話目以降から、はっきり「静岡」って出すようになったんです。
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空芯菜

そういうエピソードがあったんですね!
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瀬戸口先生

もし「静岡」って限定していなかったら、もっと早くネタ切れしていたと思うので結果的にはよかったですね。担当さんの力も大きいです。

※まんがタイム:芳文社が発行する4コマ誌。兄弟誌に「まんがホーム」「まんがタイムオリジナル」などがある。

ネタ探しのためなら遠くでも現地取材

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空芯菜

静岡県って横に広いじゃないですか。ネタってどういう風に探しているんですか?
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瀬戸口先生

実際に行っています。
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空芯菜

え!? 結構大変じゃないですか!
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瀬戸口先生

結構大変ですね(笑)調べられることは調べて描きますけど、どうしても背景の写真とか現地に行かないとわからないときは、東名高速道路を使って行きますよ。
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空芯菜

すごい・・・! 〆切に追われながらも・・・尊敬します!
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瀬戸口先生

友達とかと一緒に行くときは運転を交代しながら行きます。もし行かずに調べて適当に描いたとき、地元の人から「そうじゃない」と言われることのほうが怖いというか、ガッカリさせちゃうじゃないですか。

 

やっと地元が取り上げられたのに、これじゃないっていうのはご当地ものとして一番ダメかなと思うので。

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空芯菜

移動するのは大変ですが、忠実に描いてあったら地元の人にとっては嬉しいですよね。
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瀬戸口先生

この連載を始めてから、足を運んだことがない土地にもかなり行けているので、それはそれで楽しんではいますね。伊豆のネタを使うってなったときは、もう覚悟が必要です(笑)

聖地巡礼をしてくれるファンも

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空芯菜

漫画を読んでいて思ったことなんですが、出てくるキャラクターたちがその地域の特徴に合ってますよね!
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瀬戸口先生

本当ですか! ありがとうございます。そう言ってもらえると嬉しいです。
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空芯菜

1巻には浜松と、富士宮のキャラクターが出てきますよね。

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画像提供:芳文社

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瀬戸口先生

舞台が中部だったので、西部・東部も出そうとなって。
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空芯菜

浜松や富士宮の友人や知り合いがいますけど、確かにこんな感じでした。漫画のキャラクターにはモデルがいたりするんですか?
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瀬戸口先生

特定の人はいません。富士、富士宮の友人や浜松の知り合いは何人かいて、その人たちの性格とかエピソードをトータルでまとめた感じですね。
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空芯菜

モデルがいるのかと思ってました!
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瀬戸口先生

モデルがいると、ギャグを描くのに気を遣ってしまって描きにくくなるんですよ。ギャグにするときに、若干キャラクターをディスったりするので・・・。
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空芯菜

言われてみれば「ごめん・・・!」って気持ちになりますね(笑)ほかにも大変なことってありますか?
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瀬戸口先生

県自体が横に長いので「静岡あるある」のネタをひとつ出したときに、西部・東部から「いや、うちは違うよ」っていう意見が届くことは多々ありますね。

 

なのでネタを作るときに「中部はこう」とか「西部のこの文化」とか、県全体をひとくくりにせず一個一個を描くようにしています。

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空芯菜

結構気を遣って漫画を描いているんですね。
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瀬戸口先生

4巻に収録されているんですけど、静岡の校歌には「富士山」「富士の高嶺」など、「富士」の2文字がしょっちゅう入っているというネタがあって。

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画像提供:芳文社

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空芯菜

そういえば私が行っていた高校の校歌にも入っていた気がします!
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瀬戸口先生

私は小中学校が焼津で、高校は清水だったんですけど、小中高の校歌全部に「富士」って入ってて。
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空芯菜

みんな富士山が好きすぎますね(笑)
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瀬戸口先生

っていうネタを描いたら、伊豆の人から「うちの校歌には入ってない」と
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空芯菜

同じ静岡県でも違うのでしょうか・・・。
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瀬戸口先生

だろうなと思ったので、漫画の最後のコマには伊豆出身のキャラクターを登場させて。「うん?」ってピンと来ない顔をさせておいたので、保険はかけました。そういうことが多いのでわりと気を遣います。
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空芯菜

文化の違いを改めて感じますね。ご当地ネタの漫画を描くのも大変そうです・・・。では逆に、漫画を描いていて嬉しかったことはありますか?
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瀬戸口先生

読者さんの感想がもらえることが一番嬉しいですね。同じ静岡県の人から「うちもそうです」っていう感想をもらったり、他県の方が「全然静岡のこと知らないけど興味が出ました」って言ってくれたり、嬉しいじゃないですか。

 

たとえば、漫画に出てきたスポットを巡って、旅行記をブログに書いた『ローカル女子の遠吠え』聖地巡礼を何人かはしてくれて。それはもう本当に嬉しかったですね。

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空芯菜

嬉しいですね! 漫画で地域貢献していますよね。
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瀬戸口先生

そこまで大袈裟かわからないですけど(笑)できていたらいいですね。

やってみたいのは次郎長と富士山登山ネタ

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空芯菜

最後にこれからやってみたい、描いてみたいネタとかありましたら教えてください!
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瀬戸口先生

次郎長ネタかな。まだ描いてないんです。
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空芯菜

そういえばまだないですね・・・!
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瀬戸口先生

調べてみると面白いし、いろいろなところに史跡もあったりして、楽しそうだなって思っているんですけど。あと、富士登山の回は一度はやりたいです。これだけネタにしているので。
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空芯菜

なかなか静岡県民は富士山に登らないですよね。
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瀬戸口先生

そうなんですよね。それも静岡あるあるとして、2巻のネタにしました。

※次郎長:幕末の侠客。静岡市清水区の発展に大きく貢献した。mitecoでも一度取り上げています。⇒清水次郎長はどうして清水のヒーローなの? さくやちゃんと歩く 清水区次郎長ツアー!

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画像提供:芳文社

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空芯菜

県外の方は結構登りますよね。
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瀬戸口先生

登りますね。私もじつは宝永山までしか登ったことがないんです。そのときは2合目までマイカーで行って、そこからシャトルバスだったんですけど、マイカーの駐車場がほとんど県外ナンバーでした(笑)
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空芯菜

そうですよね!
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瀬戸口先生

富士登山の会をやるためには私も登らなきゃなんですよね。編集担当者がたまに「そろそろどうですか? 富士山」って言ってくるんですけど「私はまだ登っていないし、今年ももう閉山しちゃったのでまた来年で」ってことで先延ばしになってます(笑)
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空芯菜

来年こそは富士登山ですね(笑)長時間インタビューに答えてくださり、ありがとうございました!

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インタビューできて嬉しかったので一緒に撮ってもらいました

行動力と好奇心があり、読者さんへの配慮も忘れない瀬戸口先生。ネットの情報や口コミだけではなく、遠い場所まで現地取材して描いているからこそ、静岡の魅力や面白さが詰まった漫画を描けるんだなと思いました。

これからどんな静岡ネタが漫画で描かれるのか楽しみです。

『ローカル女子の遠吠え』は現在、1~4巻まで好評発売中! 静岡限定発売と勘違いされることも多いそうですが、全国の書店で購入できます。ちなみに最新の4巻は、三島や伊豆などの東部中心ですよー!

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最後に、みなさんへ嬉しいお知らせです! 抽選で3名様に、瀬戸口みづき先生のサイン入り『ローカル女子の遠吠え』1巻をプレゼントします!

詳細はmitecoの公式Twitterをチェック!

※応募期間は2019年1月31日(木)まで

思わずうなずく静岡あるある

  • Hatena 10

Writer空芯菜

1992年生まれ。静岡県静岡市出身、在住。ライター、ブロガー、デザイナーなどをしています。趣味は美術館巡り、映画、音楽、散歩、人間観察。就活や働き方に興味があり就職に苦労した人や面白い働き方をした人に話を聞くのが好きです。自分を実験台にしながら働き方・生き方を模索中~!

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