夢が詰まったコミュニティ・カフェ「jimicen」
浜松市蜆塚に生まれた地域の居場所

  • posted.2016/09/23
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夢が詰まったコミュニティ・カフェ「jimicen」 浜松市蜆塚に生まれた地域の居場所

2016年4月、浜松市中区蜆塚(しじみづか)中学校前にオープンした「jimicen(ジミセン)」。

長らく使われていなかった空き店舗を、約8か月もかけてリノベーションし、コミュニティ・カフェという“地域の居場所”が生まれました。

jimicenって?

jimicen写真提供:jimicen 共同経営者の3名。増田さん(左)、大村さん、(左2番目)、金澤さん(右)。

jimicenは、蜆塚センターの略称で、コミュニティ・カフェという地域の居場所を兼ね備えたカフェです。あるときは、地域で暮らす元気なお年寄りの方々が気軽に立ち寄れる場所であったり、あるときは、家族やさまざまなコミュニティの仲間たちによる交流の場であったり……。

もちろん、ごはんを食べたりお茶をしたりもできて、子どもからお年寄りまで、誰もがふらりと立ち寄ってホッとできる場所を目指しています。そして新しいつながりによる化学反応が生まれていくことを自分たちも楽しみつつ、関係性を築いていくことを理想としているそうです。

構想のきっかけは、2014年11月静岡文化芸術大学で開催された、地域で楽しく仕事をする地産地“商”会議「Re+エコノミーのシンポジウム」。浜松市中区在住の増田力也さん、金澤眞生子さん、大村智子さんの共同経営で運営されており、3人の夢を実現する場所でもあるといいます。

jimicenの日常と夢

jimicenは、地域の居場所であり、共同経営者3名の夢の実現の場所。共同経営者の金澤さんと大村さんに、jimicenの日常と夢について聞いてみました。

金澤さん金澤さん 常連客さんがほかのお客さんの注文を受けたり、洗い物をして帰ったりすることがあって。来たときよりちょっと綺麗になっている日もあるんです。

 

まるで小人さんがささっと仕事をしてくれたみたい!と思うような、さりげない思いやりを感じる出来事がありました

また“ギフトエコノミーという贈り合い経済を伝えていきたい、と大村さんは話します。

大村

大村さん

現代は、物が溢れる世の中。でも、なにか不足感や孤独感を感じている人も多い気がします。捨てる物がある一方で、また新たに物を買う……というような。

 

誰かのいらないものが誰かの必要なものであるかもしれない、ということを実践すれば、気付くものや不足感の解消につながるのではないかと思っています。

ギフトエコノミーで運営していくことで、地域や近場でまかなえていることに気付くことができるといいですね。物や思いやりが巡り、相乗効果を生み出そうという前向きな想いを感じられる、共同経営者3名の夢がjimicenの魅力にあることが伺えます。

ギフトエコノミーで生まれるメニュー

jimicen内装

jimicenが提供するカフェメニューは通常4〜5種。ランチタイムなどの時間をとくに設けておらず、完売でない限り、朝食として、夕食として、晩酌としてなど、さまざまな形で食事を楽しむことができます。

ちなみにメニューは、浜松周辺の知り合いの農家が作った野菜や、家庭菜園で採れすぎた旬の野菜などの「いただきもの」で作られているそうです。無駄のない物の巡りがまさに「ギフトエコノミー(贈り合い経済)」の形ですね。

あじの開き

私が訪れたときは、「あじの開き定食(600円)」をいただきました。塩だけで味付けした無添加のあじの開き。素朴な素材の味わいを引き立たせた調理方法が、心にも身体にも嬉しいです。

ほかにもjimicenでは、近所のパン屋、八百屋、肉屋、酒屋などから仕入れた、家庭的な“お母さんのごはん”を楽しむことができます。

お店で買ったものはたったこれだけ!

jimicen内装写真提供:jimicen

ギフトエコノミー(贈り合い経済)の精神は、お店の至るところで見ることができます。たとえば、店で購入して手に入れたものは、食器棚とトースター、コーヒーカップ&ソーサーのみ!

それ以外の小上がりの座敷に使われている畳や床、キッチン用品やカウンターなどは、いただきものでまかなわれているといいます。

こうしてお店を見渡してみるだけでギフトエコノミーを実感することができ、「いただきものでお店を作ることができるのか!」と驚きを隠せません。譲ってくれた人も不要だった物が生まれ変わり、実際に使われている様子を見ることができるので、とても嬉しく思うはずです。

jimicen物販お店で使っている食材やオススメ商品の販売コーナー。

jimicenお知らせコーナー地域の情報やイベントのお知らせコーナー。

jimicenでは「上映会」も開催

jimicen写真提供:jimicen

じつはjimicenは、UNITED PEOPLEが配給する映画の市民上映会の開催を担う「シネモシアター」の一員でもあります。全国に点在する上映会場のひとつとして、毎月1本を目安に上映会を開催中です。

ランチ付きなど食事も楽しむことができる場合もあり、気になる映画をきっかけに足を運んでみるのもオススメ。今後は、「これからは地域で教室などを始めたい人たちの、チャレンジの場としても提供していきたい」とのことです。

――私たちの夢だけでなく、あなたの夢の最初の一歩に

この言葉をテーマにjimicenは、お客さん同士の交流から生まれる新しいコミュニティにも出会える地域の居場所として、ますます注目のスポットとなりそうです。

あなたの居場所、ここにもあります

jimicen(ジミセン)

住所:〒432-8018 静岡市浜松市中区蜆塚3-8-32
営業時間:11:00〜18:00(前後することもあります)
定休日:土、日、月曜日(要確認)
電話番号:053-453-4540
アクセス:浜松市中区蜆塚中学校正門前
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Writerオオイシマオ

1991年神奈川県横浜市生まれ、静岡県掛川市育ち。一冊のノートとの出会いをきっかけに、19歳でフェアトレード雑貨店を起業。現在はカフェという切り口からフェアトレードやコミュニティトレードに取り組む。2016年3月には一児の母となり育児奮闘中。新米ママライターとしても地域や暮らしを見つめ伝えていく。

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