沼津でクラフトビールを飲むなら「リパブリュー」
最高のペアリングを楽しめるブリューパブ誕生!
ライターの鈴木裕郷です。
突然なんですけど、暑い日に飲みたいものといったらなにを思い浮かべますか?
そう! ビールですよね!!
段々と夏も近づき、ビールをおいしく飲める季節になってきました。せっかくなら、家では飲めないような、おいしいビールが飲めるお店がないか、と探してみたら・・・。
沼津にクラフトビールのお店「リパブリュー」がオープンしたとの情報を入手。しかも、お店を経営しているのは20代の方で僕と同年代のようです。
これは気になる、ということで、実際に行ってきました。
沼津「リパブリュー」のあらまし
沼津駅から徒歩1分という好立地。今年の4月にオープンしたばかりの「リパブリュー」という名前のブリューパブです。ブリューパブとはレストラン付きの醸造所のこと。
店内のカウンター。柵や椅子はアメリカからの取り寄せ。
店内はアメリカの雰囲気を取り入れ、インダストリアルデザインでまとめています。
これはオーナー兼醸造家の畑翔麻さん(以下、畑さん)がアメリカを訪れたとき、平日でも仕事終わりにブリューパブで1杯飲むなど、日本にはないビールの楽しみ方に惹かれたから。
新しいビールがどんどん生まれて進化もする、そんな様子を日本でも広めたいという気持ちで、ブリューパブ形式をはじめとしたアメリカの再現にこだわっているんです。
オーナー兼醸造家の畑さん。
でも畑さんはもともとワインを作りたかったとか。高校時代、アルバイト先の店長がソムリエで醸造のプロセスなどに詳しく、話を聞いているうちに興味が出てきて独学で勉強するほどでした。
ビールにハマったのは高校卒業後、醸造発酵科のある専門学校に進学してから。ビールの作り方を学んでいくうちにその多様性に魅力を感じ、ビールの道へと進みます。
就職は酪農王国オラッチェ※で、4年半ビール醸造の経験を積み、アメリカでの出会いにつながります。
※酪農王国オラッチェ:函南町丹南にある牧場。動物との触れ合いや収穫体験などを楽しめる
リパブリューを出身ではない沼津で開いた理由
沼津市でオープンしたリパブリューですが、畑さんは地元出身の若者というわけではなく、もともと神奈川から来た移住者。
ふらっと寄るようなブリューパブを開くのにあたって、地元でお店を開くことは考えなかったのでしょうか? お話を聞いてみました。
畑 | 最初は地元の川崎や神奈川で考えていたんですけど、沼津に決めた理由があって。各都道府県には、酵母の保菌・培養をしてくれる技術支援センターが必ず1か所はあるんですけど、沼津は無料で機器を貸し出してくれるんです。 |
鈴木 | 無料のところっていうのは全国的にも珍しいんですか? |
畑 | 全国的にも珍しくて、静岡でも沼津だけです。ビールの酵母菌は一般的なブリュワリー(醸造所)でも3~4種類ぐらいですけど、いろんな種類を持っていたほうがそれぞれのビールに合ったものを使えます。
だから、多くの酵母菌があるほうが有利なんです。でも、そのぶんコストはかかります。その点、沼津だと無料なのでとても助かっていますね。 |
鈴木 | 環境が整っていたのが沼津ということですね。 |
畑 | そうですね。川崎や神奈川と比べると物価も安くて、お店の場所も広く取れるし、技術支援センターも近かったのが決め手になりました。それで、実際開くとなったときに、「ブリューパブなら食べ物も必要だ」と。 でも、僕は料理は作れないので・・・。というわけで、高校からの同級生の小峯を誘って、共同経営の形になりました。 |
鈴木 | 高校の同級生!? もしよかったら誘った経緯とか聞いてもいいですか? |
畑 | 大丈夫ですよ。いま呼んできますね。 |
ここからは共同経営者であり、料理を担当している小峯さんも参加していただきます。
右側がオーナー兼シェフの小峯さん。
鈴木 | 突然すみません。よろしくお願いします。 |
小峯 | いえいえ。よろしくお願いします。 |
鈴木 | ふたりはいつか一緒にお店をやろうと思っていたんですか? |
畑 | いや、全然思ってなかったですね(笑)でも、お互いに独立するという夢があったのは知っていて。
さっきも少し触れましたが僕は、ビールの醸造については自信があったんですけど、飲食店の経営や料理の経験が足りていないと思っていたんです。でもビールと料理のペアリングは欠かせなくて。
彼は、高校卒業後に調理系の学校に進んで、調理の経験や経営の勉強もしていたので、彼の力を借りようと誘いました。 |
鈴木 | 最初に誘われたときはびっくりしませんでした? |
小峯 | そうですね。会社設立の半年前に話があって・・・。それまで東京で働いていたんですが、気付いたらお店を開いてました(笑)だから引っ越したのもオープン直前でした。 |
鈴木 | 東京から沼津へ移ってみてどうでしたか? |
小峯 | 沼津は人と人とのつながりが強い感じがします。 |
畑 | 僕もそれは思いますね。都内だとすれ違う相手に対して無関心な感じがするんですけど、静岡の人はもう1度すれ違うことを前提にしているような感じで、とても温かいです。 あとは、空気が綺麗。川崎に住んでいたときは気がつかなかったんですけど、沼津に住み始めて空気の違いを実感しました。 |
こだわりが詰まったお店づくりとメニュー
鈴木 | カウンターのうえにあるメニューを見るとかなりの数がありそうなんですが・・・。ビールはどれくらい揃えているんですか? |
取材当日のビールメニュー。
畑 | 全部で20種類ですね。日本だけでなく、海外からも取り寄せています。2週間ぐらいで入れ替わっていくのも特徴です。 |
鈴木 | 20種類! ちなみに人気のビールはなんですか? |
畑 | お客さんのなかではIPA※というスタイルのビールが人気ですね。 |
※IPA:インディア・ペールのこと。苦みやホップの香りが特徴的。
畑さんセレクトの6種類を入れてもらいました。
一番右がIPAスタイルのBlazing World。グレープフルーツのような香りがあって飲みやすかったです。この6種類でも味や香りが全然違っていたのが印象的。お店には、20種類のクラフトビールがあるので自分好みのものが見つかると思います。
小峯 | 料理だとラムチョップが看板メニューです。これまでに食べたラムよりも「おいしい」って言ってもらえる自信がありますよ! |
ということで、お店自慢のラムチョップもいただくことに。
看板メニューのラムチョップ。
鈴木 | おいしい! ラムは特有の臭さがあるイメージでしたが、全然ないですね。そして柔らかい! いままでに食べたラムのなかで一番かも。 |
小峯 | ラムにはこだわっていて、リパブリューで使っているのは生後3~6ヶ月未満のニュージーランド産。ミルクしか口にしていない子羊なので臭みもまったくないんですよ。 |
そして、もちろんビール。畑さんがオープン時に気にしたのが、料理とのペアリングということですからこのラムチョップともかみ合っているはず・・・!
その場で生を入れてもらえるのがブリューパブ。
ラムチョップと一緒にいただいたのは、湘南ビールのIPAアメリカンスタイル。先ほど試飲させてもらったなかでもIPAが好みだったので、違う醸造所のものを選びました。
Blazing Worldもおいしかったんですけど、湘南ビールも負けてません。面白いのが同じIPAでも味が異なること。こうした楽しみ方ができるのもブリューパブならでは。
また、コースメニューでは料理に合うビールを出してくれるので、ビールに詳しくなくてもペアリングを楽しめますよ。
リパブリューオリジナルのビール醸造はこれから!
鈴木 | いまのところは、さまざまなところからクラフトビールを取り寄せているということでしたが、リパブリューさんでの醸造はいつごろから始まるんですか? |
畑 | 6月末に機械がお店に入って。夏ごろから始めます。 |
鈴木 | 醸造が始まると料理とのペアリングの幅も広がりそうです。リパブリュー発の沼津の地ビールができる日も近いですね。 |
畑 | そうですね。これからが本当に楽しみです。 |
ここに窯やタンクなどが入る予定だそう。
じつはお店を取材するときにこれだけは聞きたいという質問を決めていました。それは、こんなに若い年齢でお店を構えるという、チャレンジについてです。
鈴木 | 26歳で自分のお店を持つということに迷いはなかったですか? 僕は畑さんと同年代なんですけど、自分だったら失敗を考えて踏み出せないかもと思って。 |
畑 | 迷いはまったくなかったですね。年齢は数字にしか思えなくて、26年間生きてきたから50歳の人に敵わないということではないと思うんです。 たとえば、50歳の人が3年前からビール造りを勉強していたとしても、その人よりも絶対良いものを作れる、負けないという自信がありました。 なので、挑戦に対して怖い気持ちはなかったです。あと、不安という意味では飲食店の経営やビールと料理のペアリングについて、小峰の力を借りられたのは大きかったです。 |
小峯 | ビールと料理のペアリングはお客さんも面白いと言ってくれていて。これからも、いろんな楽しみ方を押し出していければと思ってます。
あと、畑はビールで賞を取れるという自信があるので、僕も大会で入賞してビールに見合った料理を出せるようになるのが目標ですね。 |
話を聞いて感じたのは、ふたりの関係性がすごくよいこと。お互いに補完しつつバランスが取れていて、なにより信頼していることが伝わってきました。
ビールや料理へのこだわりを知ると、言葉にも説得力があります。このふたりがお互いに切磋琢磨していくことで、ビールと料理のペアリングもどんどん進化していくんじゃないかな。
そしてビールのことを語っている畑さんの表情がいきいきとしていたのが印象的。これから始まるという醸造で、さらに可能性が広がっていく今後のリパブリューがとても楽しみになりました。
リパブリューは、平日は17~23時(月曜定休)、土日は13~23時の営業。僕の住んでいる静岡市からだと電車でも1時間ほどなので、個人的にも通おうと思っています。
ぜひ、みなさんもふたりの同世代がいどむ、本気のブリューパブに足を運んで、本物のクラフトビールと料理を味わってみませんか?