「うおたか」浜松学生に大人気の絶品海鮮丼
たったのワンコインで鮮魚が食べられるワケ
こんにちは、編集部の山口です。
静岡県といえば、「うまいもんがたくさんある県」だと思うくらい、食べ物が豊富ですよね。温暖な気候で、くだものがたくさん採れるし、山菜やお米はもちろん、県内各地に名産品があります。
なかでも他県からも知られているのが、お魚。静岡県をぐるっと囲む駿河湾では、良質な魚が毎日のように水揚げされ、おいしいお魚がスーパーやお魚屋さんに立ち並びます。
でも近年は、若者の魚離れが叫ばれているとかで、消費量は減る一方みたい・・・。そんな状況に「待った!」をかける魚屋発の海鮮丼屋さんがあること、みなさんはご存じでしょうか?
それが、浜松の学生に大人気の「うおたか」。3年前に本店で海鮮丼を出し始めたのを皮切りに、浜松市内の大学近辺に2店舗を出店し、平日のランチタイム限定で海鮮丼を提供して、若者へおいしい魚を届けています。
そこで僕は静岡大学浜松キャンパス隣にある城北支店さんに、お店を開いたきっかけとこだわりについてお伺いしてきました。じつはココ、うおたかさんの原点なんです。
静岡のうまい魚が手軽に食べられる「うおたか」
コンテナを改装した店舗の周りにはテーブルと椅子が置かれています。
城北支店を尋ねてみると、お昼時を少し過ぎているにもかかわらず、お店の前にはお客さんがチラホラ! 若者たちがテーブルを囲み、海鮮丼を食べまくっています。
若者の魚離れなんて嘘みたい・・・。みんなうおたかに通っている方々でしょうか? 近くにいた学生さんと思しき男性3人組にお話しを伺ってみましょう。
左から柿内くん、長崎くん、都甲くんです。
山口 | お食事中にごめんなさい。みなさんは静大生(静岡大学の学生)さんですか? |
長崎 | そうですね。僕が院生2年で、ほかのふたりが4年生です。 |
山口 | 結構、ここには来るんですか? |
都甲 | だいたい、週3日くらいでは来てますね。 |
山口 | おお。ヘビーユーザー! どうして通うようになったんですか? |
柿内 | 僕たちはサークルが同じなんですが、うおたかができたころに先輩から「うおたかに行こうよ」って誘ってもらうようになって・・・。そのうち、「行けば誰かしらいるだろう」っていう気持ちで足を運ぶようになりましたね。 |
山口 | そうか。大学生の場合は登校する時間もバラバラだから、ちょっとした待ち合わせ場所、というかコミュニケーションを取る場所にもなっているんですね。うおたかさんの魅力はどのような部分でしょう? |
長崎 | それはもう、安くて手が届きやすいこと、近いこと、それと大将(店主のこと)も奥さんも優しくて・・・。要するに「いいお店」ってことですね(笑) |
山口 | うまくまとめられた(笑)多くの学生さんがそう思ってるからこその、このにぎわいですもんね。 |
柿内 | 本当にそう思います。すぐに売り切れちゃうんで。 |
店舗の2階部分はテラスになっていて、こちらでも海鮮丼が食べられます。
ワンコインで超絶うまい海鮮丼
さて、うおたかは何人もの大学生が通い詰めるほどのお店。
先輩の行きつけだからと後輩も・・・となるのは、大学のすぐ隣というだけでなく、海鮮丼の味もおいしいからに決まってる。
そもそも魚屋さんがやっているお店ですからうまくないわけない。というわけでいざ実食です。
僕が頼んだのは、「ぶりの醤油漬け丼」。ぜいたくにご飯の上へ盛り付けられたお刺身が食欲をそそりまくります。
・・・。
う、うんまい!!
しかもびっくりするのは味だけじゃない。なんと、これで500円。
もう一度言います。
500円。
つまりワンコインです。
そこら辺のファーストフードを食べたり、コンビニで昼食を購入したりするよりも、うおたかのほうが断然安いっておかしくないですか!? だって、これ鮮魚ですよ。鮮魚。
いくら海産物の豊富な静岡だからって、この価格で海鮮丼を提供しているお店はなかなか見たことがありません。
「ちょっと大丈夫なのか!?」と思ってしまうほどのボリュームと価格。もちろん味は普段生ものを食べない若者が食いつくほどのうまさ。
・・・となると気になるのは、どうして、こんなにも安い価格で提供できるのか。というか、うおたかさんほんとに大丈夫か?
お店の人に聞いてみましょう。
きっかけをくれたのは大学生だった!
お話しを聞かせてくれたのは、この日、城北支店で海鮮丼を提供していたうおたかの大将(2代目)の奥さん。大将と店員さん、そして奥さんで複数の支店を開くという精力的な活動からは、このお店への熱意が感じられます。
山口 | こんにちは! たくさんの学生さんが集まる話題の海鮮丼屋さんということで取材しに来ましたが・・・。ほんとうにたくさんお客さんがいらっしゃっていますね! |
奥さん | いつもこれくらいかね(笑)だいたいお昼の1時(13時)を過ぎると出せるメニューも限られてきちゃうから、私たちも嬉しいです。 |
山口 | もはや浜松の大学生にとって、なくてはならない存在ですね。 |
奥さん | 静大と文芸大(静岡文化芸術大学)の学生さんには本当によくしてもらっていて・・・。なかには毎日来るような子もいるんですよ。 |
山口 | このおいしさと安さですから、大学生にとっては本当にありがたい存在だと思います。そんなうおたかさんですが、お魚屋さんですよね? どうして海鮮丼を提供しようと考えるようになったんでしょう。 |
奥さん | ウチは、冨塚(浜松市中区富塚町)に本店があるのだけれど・・・。 |
山口 | そこでお魚を売っているわけですよね? |
奥さん | そうそう。で、じつはもともと城北支店を開く前に、そこで海鮮丼を提供していたの。 |
山口 | ほうほう。それはどうしてですか? |
奥さん | お魚は生ものだから、新鮮なうちに食べてもらいたいというのが私たちの考えで。とくに若い子たち、学生さんに食べてほしいなって思っていました。でも一方で、若い方たちに「生ものって受け入れられるのかな」っていうのが不安だったんです。それで、物は試しだということで、「海鮮丼やってみる?」って大将と話して。 |
山口 | そこが、うおたかさんが海鮮丼を始められた原点なわけですね。こうして学校の前でやろうというのはなにがきっかけだったんですか? |
奥さん | 3年前になると思うのだけれど、静大の学生さんがね、「これ、学校の前でやってよ。絶対みんな来るよ」って(笑)ちょうど最近は若い子たちが魚を食べなくなってきているよね、なんていう話もあったもんだから、大将が「よし!」と。もうそれで決まったって感じかな。 |
魚のおいしさの普及に並々ならぬ決意のキャッチフレーズ。確かにこのおいしさを知らないのはもったいない!
こだわりぬいたワンコインでの提供
販売カウンターの前にはお味噌汁を提供するポットが。なんとこれ無料です。
山口 | うおたかさんの海鮮丼を先ほどいただいたとき、そりゃもう本当においしかったんですが、なにより値段にビックリしました。たとえば、静岡の漁港で海鮮丼を食べようと思ったら、だいたい1,000円くらいは必要で。ちょっと500円というのは見たことがないんです。正直にいって、これは大丈夫なんですか? |
奥さん | うーん。そこはこだわってやってますね。ウチは何度も足を運んでくれるお客さんも多いから、「できるだけ毎日メニューを変えること」は意識してやっていて。とはいえ、お魚は種類や部位によっても値段は変わってくるし、なにより時期や日によっても相場は変動するから・・・ねぇ。そこは頑張りどころ(笑) |
山口 | いや、もう僕もありがたいです。新鮮な魚がこの価格というのは、学生さんにも魅力的なはずです。 |
奥さん | そうだと本当にうれしいね。最初に話した通り「売り切りたい」というのもあったものだから、この価格というのはあるのだけれど。毎朝大将が市場から仕入れているものでメニューを決めているので、価格以上に「大将が食べさせたいものを作る!」っていう感じですね。 |
山口 | ・・・ん? 毎朝仕入れる、ということはそこから仕込みをしてお昼に提供するってことですか? |
奥さん | そうだよ? |
山口 | それ、めちゃめちゃ大変じゃないですか。捌いて味付けして・・・。 |
「売り切れご免」という仕組みにもじつは秘密が・・・。
奥さん | そうそう(笑)お魚によっては炙ったり、漬け込んだりもするから時間は結構ギリギリ・・・。だから毎日やってはいるけれど、いまは全部の店舗あわせて300食をつくるのが限界。売り切れちゃうのは嬉しい一方で、食べれない人が出ると「ごめんね」ってなっちゃう。 |
山口 | へぇー! (いや、300もつくって売るのってかなりすごいです・・・。) |
野望は全国制覇!? 並々ならぬ決意の大将
山口 | これまで本店のほか、城北支店に野口支店、そしてお隣の豊橋にも出店なさっていますよね。大学生はいろいろな県からやってきていますから、まさにスローガンである「日本人は魚だ」というのは広まってきているんじゃないですか? |
奥さん | そうねぇ。でも、お店はまだまだたくさん出したいよね!って野望は持っているのよ(笑) |
山口 | えええ。いまですら、かなり大変そうに思えるのに・・・。ちなみに、次はどこをお考えなんですか? |
奥さん | 次かはわからないけれど、「静岡大学の静岡キャンパス(静岡市駿河区)に出したいよね」って大将とは話していて。じつは、もう何度も場所は見に行っているの(笑) |
山口 | てことはかなり具体的じゃないですか! 静岡市民の僕としてはすごく嬉しいです。 |
奥さん | もちろん、さっき言ったみたいに朝仕入れてそこから作って運ぶわけだから、いろいろと問題は解決しなくちゃならないのだけれど・・・。でも、もっといえば「日本中の大学の隣に『うおたか』を出したい!」とも思っているのよ。 |
山口 | それは大きいですね・・・! やっぱりお魚のおいしさを広めたい、というのが動機ですか? |
奥さん | それももちろんなんだけれども。いまってSNSでその日のメニューを紹介しているのだけれど、そうするとウチに来てくれる子たちの地元の子、全国の学生さんがそれを見るわけね。
それで、「私たちのところにもきてくれよ!」っていう声をたくさんもらって・・・。実際に夏休みとか浜松にそういう友達が来たときに連れてきた子もいるのよ。だから、いつかは本当に実現したいな、って。 |
うまい海鮮丼を手軽に食べるなら「うおたか」へ!
終始楽しそうにお話しをしてくださった奥さん。はしばしから大将はもちろん、学生さんやお魚に対しての愛があふれていて、思わず「おふくろさん」と呼びたくなってしまうような温かさを持った方でした。
うおたかの海鮮丼は、その日仕入れた新鮮なお魚なのにワンコイン。その秘密は、大将と奥さんをはじめとしたお店の方々の愛情と「若者に魚を!」という決意からくるものでした。なかには、「こんなのもお刺身で食べられるの?」といったものもあります。提供される豊富なメニューは日替わりです。気になる方はTwitterを要チェック!
ただし、このお店はすぐに売り切れになりますから、時間はお早めに。
僕も将来、静岡市に出店してくれる日を待ちながら、また浜松にも足を運んで食べに行きます!