大道芸ワールドカップin静岡2017直前!
実行委員会に聞いた新しいチャレンジ3つ
静岡市が大道芸一色に染まる4日間! いよいよ静岡の秋の風物詩「大道芸ワールドカップin静岡2017」が来週に迫りました。
大道芸ワールドカップin静岡2017は、11月2日(木)から4日間、静岡市街地を中心に国内外のアーティストがパフォーミングアーツ※を繰り広げるアートイベント。
入場料はプレミアムステージを除いてすべて無料で、パフォーマンスの価値を自分で判断してお金を支払う独自のシステム「投げ銭」によってアーティストへの気持ちを伝えます。
大道芸ワールドカップin静岡2016の様子。駿府城公園にて2016年チャンピオン「リウェイ」の演技中。
25周年の節目を迎えた去年は、なんと観客動員数205万人を記録。天候に恵まれた4日間で、県内外から大勢のお客さんがやってきました。
そして26年目の今年。「26年目の新たな一歩! 何かが変わり、始まる」という意味深なキャッチコピーのもと、いくつかの新たなチャレンジに取り組むそう!
※パフォーミングアーツ:身体表現によるパフォーマンスのこと。
大道芸ワールドカップ実行員会 チーフディレクター 市川貴之
というわけで新たなチャレンジに迫るべく、昨年度もお世話になった実行委員会のチーフディレクターを務める市川さんに会いにきました。
大道芸ワールドカップin静岡2017の新しいチャレンジ3つ
吉松 |
ご無沙汰してます。今年の大道芸は例年にも増して、チャレンジが満載みたいですね。 |
市川 |
そうですね。新しいことへのチャレンジはここ何年も続けていますが、今年の大きなトピックスをまとめるとこの3つです。 |
- 会場エリア拡大!プレミアムステージが「静岡市民文化会館」へ
- 日本のアーティストが競い合うジャパンカップ3年ぶりの開催!
- スマホ用の公式無料アプリ登場!
大道芸ワールドカップin静岡を知る人なら、びっくりするような変化ばかり・・・。一つひとつの概要とチャレンジの理由を教えてもらいます。
会場エリア拡大!プレミアムステージが「静岡市民文化会館」へ
市川 |
今年ならではといえば、まず有料ステージ「プレミアムステージ」を駿府城公園から静岡市民文化会館に移すことがありますね。
会館の外にはパフォーマンスポイントも設置するので、イベント全体の会場エリアも拡大します。※静岡市民文化会館は駿府城公園から徒歩3分前後。 |
吉松 |
これはびっくりです。でも、大規模なステージの移動は不安な面もあるのでは・・・。 |
市川 |
正直、プロデューサーも含めて「怖い」って言ってるんですよ。いままでのステージは1200人収容でしたが、1900人収容の箱になりますし、大道芸と謳っているなかで屋内の劇場を使用するので。まあ、みなさんが来てくださるかどうかの怖さなんですけど(笑) |
昨年度まではメイン会場「駿府城公園」にプレミアムステージがありました。写真は去年の様子です。
今年のプレミアムステージ会場となる静岡市民文化会館。会館外のスペースにはパフォーマンスポイントふたつに加え、キッズガーデン(子供向けのコンテンツ)とキッチンカー(飲食)が設置されます。
吉松 |
怖さはわかる気もしますが、そのなかでプレミアムステージをなぜ移動しようと? |
市川 |
ひとつは駿府城公園内の発掘工事ですね。いま天守台を発掘するために大規模な工事をされていますが、そのエリアがどんどん広がっていまして、今後の計画でいうとさらに・・・。 |
吉松 |
あー・・・。プレミアムステージのスペースが確保できないんですか。 |
市川 |
いまでもできはしますが窮屈ですし、これからを考えると無理なので。でも僕らも「追い出されたね」ではなくて、前向きに考えています。 |
吉松 |
というと? |
市川 |
大道芸ワールドカップに出演するアーティストには、わかりやすくいうとシルク・ドゥ・ソレイユなどのステージショーで活躍している方が多いんですよ。そういう意味では、劇場のほうが本来のモノをフルに発揮できるんじゃないかなと思っています。 |
プレミアムステージのワールドカップ部門に登場するインド「インクレディブル・マラカンブ」。インド男性の国技であるマラカンブをパフォーマンスとして魅せるアーティスト。
吉松 |
お客さん向けの朗報はほかにあります? |
市川 |
全席指定ですかね。いままでは自由席だったので、チケットを購入してもいい席を取るためには並ぶ必要があったんです。なかにはスタートの何時間も前から並ぶお客さんもいらっしゃって、ありがたい話ではありますけど、申し訳なかったんですよ。 |
吉松 |
プレミアムステージの周りでも、たくさんのアーティストがパフォーマンスをしているからですか。 |
市川 |
そうなんです。だから並ぶ時間をほかのパフォーマンスに使って、大道芸を存分に楽しんでほしいと思っています。 |
「ひとつ残念なのは」と話されたのは、いままで可能だった飲食についてです。ホール内での飲食はできません。ホールを出てすぐのホワイエでは飲食OKです!
なお、プレミアムステージの演目は「ワールドカップ」「ジャパンカップ」「ワールドショーケース」「プレミアムナイトショウ」「ファイナルステージ」の計5つ。チケット料金は演目によって異なりますので、公式HPを参照してください。
日本のアーティストが競い合うジャパンカップ3年ぶりの開催!
ジャパンカップ部門に出場するジャグラー兄弟「桔梗ブラザーズ」。ジャグリング世界大会で5度の入賞を誇る実力者。
市川 |
続いては3年ぶりに開催するジャパンカップです。近年は3年に1回の周期で開催しているコンペティションでして、オン部門※の日本アーティストのうち計12組が優勝を目指して競い合います。
3年経つと日本のアーティストも入れ替わりが起きるので、言ってみれば新旧の戦いが見られますね。 |
吉松 |
静岡で日本一のアーティストが決まるんですか! |
市川 |
ちなみにジャパンカップで優勝したアーティストは、翌日のワールドカップ部門に日本代表として出場していただくことになっています。 |
吉松 |
めちゃくちゃドラマティックじゃないですか。 |
市川 |
(笑)運営としても市民審査員がジャッジしているので、誰が選ばれるかわからなくて楽しみです。 |
吉松 |
市民審査員がジャッジ・・・? |
※オン部門:実行委員会が選んだ国内外のアーティストがパフォーマンスを行う部門。計45組が参加。
ジャパンカップ部門に出場するマジック界の鬼才「紙磨呂」。ストリートマジシャン世界大会2015では優勝を果たした。
市川 |
ワールドカップ部門もそうですが、アーティストを評価するのは静岡市民のみなさんです。公募制で20名、年齢の偏りがないよう老若男女で構成しています。
採点は投げ銭方式といいまして、「1,000円持っていたらいくら投げますか?」というテーマを設け、それぞれ1000点満点で付けてもらっています。 |
吉松 |
審査員は一般の方・・・なんですよね。 |
市川 |
そうです。出場するアーティストは幅広いジャンルになりますので、技術などを見るのではなく、単純に一般のみなさんが「楽しかったかどうか」で判断するべきでしょうと。 |
吉松 |
THE公平ですね。でも変な意味ではないんですが、一般の方の審査というのは? |
市川 |
まあ、静岡市民はもう25年も大道芸にふれているわけで、アーティストから見ても目が肥えているんです。
アーティストのなかには、「静岡では120%の力を発揮しないと満足してもらえない」「新ネタのお披露目は静岡と決めている。ここでウケなかったのはボツにする」とおっしゃる方もいるくらいなんですよ。 |
吉松 |
はー・・・そうですか! 大道芸が文化として根付いている証拠ですね。 |
スマホ用の公式無料アプリ登場!
呉服町通りに不定期で現れるイタリアの足長アーティスト「テアトロ・ペルカーゾ」。ゆったりと日本の暮らしを見て回るそうで・・・。
市川 |
そしてスマホ用の公式無料アプリです。すでにリリース済みで、いままでガイドブックでしか得られなかったアーティストや会場マップの情報などが無料で見られます。 |
吉松 |
めちゃくちゃ便利。でも去年、「無料イベントだからこそ情報はガイドブックにしか載せていない」と話されていましたけど、これはどういった意図なんでしょうか? |
市川 |
議論したあげくのトライアルですね。ガイドブックはイベント唯一の収入といってもいいものですし、この25年でひとつのビジネスモデルとして確立されたと思います。でもほかのメディアが増えてきたなかで、10年先を考えたときにこのままでいいのかと。 |
吉松 |
10年先・・・。まさにチャレンジですね。 |
公式アプリの画面。大道芸専用のフレーム付きで撮影できるカメラ機能も付いています。
市川 |
あとガイドブックを買ってくださる方は一部だと思うんです。たとえば、お買い物の帰り、たまたま静岡市に遊びに来たなど、そんなみなさんは550円の本を買うのに抵抗があるかもしれない。ガッツリではなくライトなお客さんにも、情報を届けたいという気持ちもあります。 |
吉松 |
なるほど。 |
市川 |
ちなみに天候によるパフォーマンスの変更なども、プッシュ通知でお知らせする予定ですよ。屋外ならではのリアルタイムな情報は便利なはずです。
またガイドブックにあるキーワードをアプリに入力すると、スケジュールも確認できるという連動機能もあるので、併せての利用もオススメします。 |
まだまだ進化する大道芸ワールドカップin静岡
新しいチャレンジにあふれた大道芸ワールドカップin静岡2017。
ほかにも「開催時間の延長(最終日17:00まで⇒最終日19:00スタートのパフォーマンスまで)」をはじめ、去年に布石を打っていた「ラウンドテーブルの続行(海外のイベント運営者とアーティストをつなげる場所の提供)」「フリンジ部門の続行(新しいアーティストの登竜門だったオフ部門を発展させた企画)」などの取り組みもあります。
最後に「そもそもいったいなぜ、ここまで仕上がったイベントで新しいチャレンジを進めるのか?」と市川さんに伺ったところ、実行委員会としての想いを話してくれました。
市川 |
運営の話になりますが、25年も続けていると、組織として完成されつつあるんです。このままいくのか、上を目指すのか、はたまた壊すのかという選択肢があるなかで、どうしても保守的になってしまう部分はあって。
でも20周年を越えたあたりから、あらためて「なんのためにやるのか」と実行委員会で確認した結果、「経済(まち)の活性化」「芸術文化の活性化」「市民意識の活性化」といった目指すべきところはまったく変わらないと。
そのためには組織として挑戦する気持ちを忘れてはならないですし、みなさんには期待感をいつまでも持っていただきたい。イベントを進化させるために、今年もみんなでチャレンジしていきたいと思います。 |
四半世紀も続け、すでに静岡市の文化をつくっているにも関わらず、まったくおごることなくブレない軸で突き進んでいます。
アーティストによるパフォーマンスはもちろん、イベントとしての取り組みにも期待大。進化する大道芸ワールドカップin静岡を今年もお見逃しなく!
画像提供:大道芸ワールドカップ実行委員会