第1回静岡難読地名コンテスト
書けるけど読めない町in静岡市安倍川以西

  • posted.2017/06/22
  • 安藤悟
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第1回静岡難読地名コンテスト 書けるけど読めない町in静岡市安倍川以西

読めるけど書けない地名といえば、新潟。カーシュマレイハントウ、新潟。

編集部の安藤です。新潟を指して、「読めるけど書けない」というラーメンズのネタがありました。

さて、静岡には「書けるけど読めない」という地名も少なくありません。今日は、静岡市安倍川以西を対象に書けるけど読めない、いわゆる難読地名をコンテスト形式で紹介します

難読地名とは?

まず、難読地名についてご説明しましょう。簡単にいえば、地元以外の人が読めない地名を指します。

難読地名が話題に上がる理由は、交通機関の発達による他地域との交流増加やマスメディアの普及が影響しているといいます。つまり、他地域の人が難読地名を指し、「読めない場所がある!」と言い始めたからでしょうか。

たとえば、全国の難読地名を見ると以下のようなケースがあります。

  1. 重蘭窮(ちぷらんけうし:北海道)や匝瑳(そうさ:千葉県)など、漢字自体が難しい
  2. 木葉下町(あぼっけちょう:茨城県)や熊野(いや:和歌山県)など、読みが難しい
  3. 富山(とやま・とみやま)や埼玉(さいたま・さきたま)など、ほかの読みがある

だいたい、義務教育では習わない漢字、通常の音訓と異なったり変化したりする使い方、漢字の表記と無関係な読み、一般的な言葉と異なる読みが難読地名のパターンです。

地元に住んでいない人にとって、難読地名は読めないほうが自然でしょう。

静岡難読地名コンテストのルール

前置きが長くなりましたが、取り上げる難読地名のルールは以下のようにしました。

  • 静岡市内(安倍川以西)であること
  • 書けるけど読めない漢字を用いていること(義務教育で習う程度)
  • その土地のうんちくを話せるひとネタを用意すること

個人的に、難読地名は読めるだけでは意味がないと思います。せっかくならその土地の由来や名産など、難読地名と合わせて紹介できるひとネタを用意しておきたいものです。

さて、第1回静岡難読地名コンテストでは以下の4候補をノミネート。

  • 富沢
  • 産女
  • 丸子
  • 用宗

※掲載順序は緯度順

100人を対象にアンケートを実施しましたが正答率はどれくらいになるのでしょうか? 難読度、漢字を習う年齢、誤読例と併せて発表します。

※難読度の選定方法および誤読例:クラウドソーシングサイト「Lancers」上で得た100人のアンケート回答をもとに集計(実施期間:2017年6月18日~6月19日)

第4位:産女(静岡市葵区)

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  • 難読度:★★☆☆☆(正答率:57%)
  • 漢字を習う年齢:産・・・小学4年生、女・・・小学1年生
  • 誤読例:さんにょ、さんじょ、さんめ、うま、さおとめ、さんば、うぶさめ

第4位に選ばれた難読地名は産女(うぶめ)。漢字がシンプルだからか、ほかの難読地名と比べても多くの誤読が寄せられました。

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地元のランドマーク的な存在といえば、安産祈願で知られる「産女子安観音(産女山・正信院)」。安産祈願のお寺になった理由は、戦国時代の駿河の大名で今川氏真の家来、牧野喜藤兵衛清乗が関係しています。

駿河国を武田氏が攻めたとき、清乗は臨月の妻とともに藁科の山中へ逃げ延びようとしました。その途中、妻が産気づいてしまいます。しかし、難産ゆえに子供とともに亡くなってしまいました。

清乗は手厚く葬ったものの妻と子どもは成仏できなかったらしく、いまの正信院に祠を建てて祀ったそうです。すると、この村からは難産に苦しむ人がいなくなったといいます。

ちなみに、このあたりに「牧野」姓が目立つのは清乗の縁かもしれません

第3位:用宗(静岡市駿河区)

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  • 難読度:★★★☆☆(正答率:35%)
  • 漢字を習う年齢:用・・・小学2年生、宗・・・小学6年生
  • 誤読例:ようそう、ようむね、ようそ

難読地名、第3位は用宗(もちむね)。mitecoでは何度か登場しているため、すでに読める方も多いのではないでしょうか?

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用宗港で揚がる生しらすは地元の名産品。以前に開催した海鮮丼グランプリでも登場しましたね(写真右上が生しらす)。

ただし、釜揚げ派やちりめん派のしらす好きも多く、地元民のあいだでは人気が分かれるところです。

また用宗周辺にはかつて小さなお城があったことから、城山という小高い山や静岡市立城山中学校があります。

今回のノミネート難読地名では唯一JRの駅(用宗駅)があるので、正答率がそれなりに高いのかもしれません。完全にひいき目ですが。

第2位:丸子(静岡市駿河区)

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  • 難読度:★★★★★(正答率:7%)
  • 漢字を習う年齢:丸・・・小学2年生、子・・・小学1年生
  • 誤読例:まるこ、がんこ

続いての難読地名、第2位は丸子(まりこ)。「まるこ」と読んでしまう人が非常に多いようです。

東海道五十三次の宿場町「丸子宿(鞠子宿)」が栄えたこと、現在も国道1号線バイパスが走っていることから、静岡市民に限っていえば有名な難読地名でしょう。

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丸子の名産品は自然薯で作るとろろご飯。創業慶長元年(1596年)の丁子屋さんをはじめ、とろろ汁のお店が軒を連ねています。

丸子という地名は静岡県に限らず存在します。他県での読み方を見てみましょう。

  • 福島県福島市丸子(まりこ)
  • 東京都大田区下丸子(しもまるこ)
  • 神奈川県川崎市中原区新丸子町(しんまるこまち)ほか
  • 長野県小県群丸子町(まるこまち)※2006年に上田市と合併

静岡市の丸子に話を戻すと、店名に鞠子(まりこ)と当てるケースが見られました。こちらのほうが誤読は減りそうです。

第1位:富沢(静岡市葵区)

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  • 難読度:★★★★★(正答率:5%)
  • 漢字を習う年齢:富・・・小学5年生、沢・・・中学生
  • 誤読例:とみざわ、とみさわ、ふざわ

今回、第1位に輝いた難読地名は富沢。田舎だからか、電柱に地名を表す看板がありませんでした。

この地名、なんと「とんざわ」と読みます。

正答率はまさかというか、当然というか、わずか5%という結果です。じつは、静岡市駿河区出身の私も「とみざわ」と読んでいました。

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近年地元の名産となった「とんざわ餃子」は、静岡朝日テレビ「とびっきり!しずおか」でおなじみのTVキャスター、大沼さんが命名したそう。野菜中心ですが、ゴマやきなこも入っている餃子です。

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焼いて食べてみたところ、ゴマやきなこのおかげか香ばしい味わい。ぶつ切りのキャベツは歯ごたえがあってアクセントになっています。

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とんざわ餃子を作っているのは富沢の永野酒店さん。ご主人が自家製の餃子を作って売りはじめたそうです。

お店には永野酒店の娘さんが、元メジャーリーガー野茂英雄投手と2ショットで撮影した写真が飾られていました。たまたま駅で会っただけらしく、とくに野茂投手との縁はないそうです。

あなたの町の難読地名を教えてください!

第1回難読地名コンテストin静岡市安倍川以西は、静岡市葵区にある富沢(とんざわ)が、正答率わずか5%で堂々の第1位

ひっかけ問題という感じもしますが、難読地名ならではの結果かつご当地グルメも発見できて満足です。

あなたの町にも難読地名はありますか? 「これは読めないだろう!」という地名があれば、ぜひmiteco編集部までお知らせください!

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