静岡に次世代ライブハウスTOAST BRO誕生
型破りの「間借りシステム」と「3つのチャレンジ」
静岡で暮らす全ての人へ
毎週、金曜日の夜を音楽に。
TOAST BROという場所を始めます。
2019年4月5日よりスタートするTOAST BRO(トーストブロ)。
静岡市の繁華街、両替町に構えるライブバー「Freakyshow」の「毎週金曜日」を間借りして生まれる、新しいライブハウス、いや「場」です。この日はお店の屋号やスタッフ、レンタルシステムも、ガラッと入れ替わると言います。
旗を振るのは、先進的な取り組みで度々話題になるライブハウス「下北沢THREE」で働き、地元静岡県でDIYフェス「FEVER OF SHIZUOKA」を主宰するロッキー(THE WEMMER ,SYMBOL ,and more)。
ロッキーはFEVER OF SHIZUOKAで、焼津市のリゾートホテルを貸し切り、出演アーティストをすべてシークレットにしたり、静岡県内初の3会場での完全無料ライブサーキットを敢行したり、刺激的なチャレンジを続けてきました。
そんな彼がまた、TOAST BROという県内だけでなく全国的にも前例のない挑戦を企てています。
吉松 |
TOAST BROについていろいろ聞かせてください。 |
ロッキー |
はい、よろしくお願いします。 |
TOAST BRO「間借り」と「3つのチャレンジ」
TOAST BRO ロッキー
まず「Freakyshow」の「金曜日」を毎週、間借りすることについて。
吉松 |
ライブハウスの間借りって前例のない取り組みになると思うんですが、これはどこから発想を得たんですか? |
ロッキー |
いま働いている下北沢THREEでは、「スタンドかげん」っていう酒場が月曜から金曜のあいだ間借り営業をしているんですね。ひとつの場所をシェアしていると、それぞれの運営を客観的に見たうえで意見交換できたりするから、お互いにすごい刺激になっていて。これが原点ですね。 |
下北沢THREEで営業するスタンドかげん
吉松 |
別の形だけど事例があったんですね。Freakyshowに話を持ち掛けたときはどういう反応でした? |
ロッキー |
オーナーの小坂さんは「うん。面白そうだね。やってみよう!」と即答でした。間借り営業はまずお互いの信頼関係が築けているかが前提だと思うので、嬉しかったです。 |
Freakyshowオーナー小坂氏(右)とロッキー
ロッキーいわく、間借り運営はTOAST BROとFreakyshowの両者にメリットがあるとのこと。
TOAST BROとしては初期経費を抑えて運営を始められるし、Freakyshowは無理して金曜日を埋めることなく土日のイベントに集中できる。なによりライブハウスやライブバーでは、たくさんの人が出入りするほうが場に活気が出る。
足りない部分をお互いが埋め合って共存する、まさに次世代の取り組みだと思います。
そしてTOAST BROの「3つのチャレンジ」について。
TOAST BRO「3つのチャレンジ」 公式ホームページより
ライブハウスやクラブを知っている、足を運んだことのある人なら、このチャレンジはきっと新しく映るはず。
3つのチャレンジ:入場無料のフリーパーティー「TOAST PARTY」
各地のライブやクラブイベントでは一般的に、入場時に入場料とドリンク代を支払います。TOAST PARTYはこれが一切かかりません。
ライブもありつつ、飲みながら会話もできるDJの時間をメインにするとのことで、仲間との乾杯の続きにでも気軽に遊びに行けます。
開催されるのは基本的に、第4金曜日の深夜(23時目安)から明け方まで。夜は通常のイベントを開催し(ここは入場料などあり)、終了後そのままの流れでTOAST PARTYが始まります。
吉松 |
始めようと思ったのは、下北沢THEREEの「Block Party※」が影響してます? |
※Block Party:下北沢THREEが金曜の深夜に開催する入場完全無料のパーティー。全国的にも先進的な例として各種音楽メディアで話題になった。
ロッキー |
そうですね。僕が下北沢THREEで働き始めた2017年夏ごろのBlock Partyには、CAR10、JAPPERS、ミツメなど静岡ではチケット代を払わないと絶対に見られないアーティストが出演していました。
「こんなアーティストたちが入場完全無料で見られるんだ・・・おいおい、すごいところに来てしまったぞ」と、東京の密度の濃さにカルチャーショックを受けて。そんな金曜日にパーティーを待ちわびている人たちが作る空気感を、静岡へ絶対に持ち帰りたいって思いました。 |
吉松 |
FEVER OF SHIZUOKAのときも話していた「ライブハウスやクラブ(=音楽)を映画館やカラオケとか居酒屋みたく、気軽な選択肢にしたい」という展望を実現するにはわかりやすくていいですね。 |
ロッキー |
続けていくことで、毎週第4金曜日は「TOAST PARTY」で遊ぶのがスタンダードみたいになったらいいなって思います。
やっぱり静岡では30代以降の人はライブハウスに行かなくなっちゃうとか、20代だとそもそも行ったことがないとか、けっこうあるんです。だから敷居をがっつり下げる。
好きなアーティストを見に行く感覚じゃなくて、自分の遊んでいる場所のなかに音楽があるイメージ。それが静岡のバンドシーンとかクラブシーンを温めていくことに繋がるような気がしています。 |
3つのチャレンジ:ツアーアーティストへの宿泊支援
イベンターが県外のアーティストを呼ぶとき、イベンター自身で交通費や宿泊費を負担するのは、よく聞く話です。でもTOAST BROでは、提携する宿泊先の費用を一部※箱が負担します。
※宿泊保証の詳細はコチラ(TOAST BROホームページ)
提携先は、築50年のビルをリノベーションして作られた泊まれる純喫茶「ヒトヤ堂」。雰囲気最高の空間でゆっくり、朝ごはんは喫茶ご飯でほっこり。嬉しい支援です。
吉松 |
これはどういう背景で始めることに? わりとアーティスト目線かなと思ったんですが。 |
ロッキー |
ひとつはそうですね。僕もバンドやっているんで思うんですけど、ツアー回るとき宿を探すのってけっこうキツくて。いろんなサイトとかアプリがあるけど、楽器も車もあるし、全く知らない土地の宿探しはなんだかんだ大変。そこが第一に保証されているのは単純に嬉しいよなって。 |
吉松 |
ほかにも背景はありそうですね。 |
提携する宿泊先「ヒトヤ堂」のドミトリー
ロッキー |
静岡がツアーをするにあたって、必ず通らなきゃいけないエリアだってこともあります。たとえば、東名阪ツアーとか静岡を通りますよね。
東から西に、西から東に移動するツアーアーティストが、もっと静岡に立ち寄ってほしいなと。超理想なんですが、西から東に向かうバンドワゴンと、東から西へ向かうDJやラッパーが静岡で落ち合って、ひとつの夜を作れたら最高ですね。
お客さん的には、今まで見られなかったアーティストを見られる機会が増えるかもしれない。 |
吉松 |
なるほどね。箱もお客さんもアーティストも、全員が嬉しいですね。 |
ロッキー |
そうなんです。箱、お客様、アーティストを大切にする。それがいま働いている下北沢THREEの考え方なんです。
あと単純に、県外のアーティストの皆様に静岡の街を知ってほしいって想いもあります。いい街だなって知ってほしい。1泊できれば朝とか昼とか散歩できるし、ご飯も2回くらい食べられる。
そうすると街中の親しい個人店を紹介したり、街に還元できたりする。商店街の考え方じゃないですけど、音楽を軸とした小さな経済が、少しだけ回るんじゃないかなって思います。 |
3つのチャレンジ:チケットノルマ&箱代最低保証なしの運営スタイル
機材使用料などを含む規定の箱代をイベンターが支払って、出演者はその箱代に応じたチケットノルマを課せられる。これがライブハウスやクラブの一般的なスタイルです。
TOAST BROはそういったノルマが一切なく、チケット代×来場者数の総額から規定のパーセンテージをイベンターにバックするシステム※を取り入れました。
※こちらも詳しいシステムはTOAST BROのレンタルプランページへ
だからイベンターも出演者もリスクフリーでイベントを開催できます。
吉松 |
ここまで「お客さん(TOAST PARTY)」「アーティスト(宿泊支援)」への想いが強かったけど、この提案はイベンターや出演者の企画側への想いですかね。 |
ロッキー |
それはもちろんあるんですが、このプランはこれからの地方のライブハウスやクラブの在り方に大きくつながります。
まず、「毎週金曜日」っていうのがすごく大事だと僕は考えていて。金曜日の夜ってみんなちょっとテンション上がってるじゃないですか、でも静岡県全体で音楽イベント自体が少ない気がする。 |
吉松 |
言われてみれば金曜日のイベントってパッと出てこないかも。 |
ロッキー |
週末の入口、このまま家に帰るのはもったいない。ここに行ったら楽しいことがある、新しい音楽と出会えるかもしれない。毎週なにかが起こるような匂いのする場所にしたいなと思っていて。 |
ロッキー |
それは、僕ひとりで毎週ブッキングしても絶対に行き詰まると思っていて。だからこそ地元のアーティストやイベンターの方にリスクなく、好きなパーティーを楽しみながらやってもらいたい。 |
吉松 |
なるほど。TOAST BROっていう場所の意味はここにあるんですね。 |
ロッキー |
そうですね。これも下北沢THREEから学んだことのひとつで、出演者やイベンターだけにリスクがあることに違和感を抱いている人もいる気がして。
場所づくりをする箱自体も少しでもいいからリスクを負うべきだなと。なので、TOAST BROではチケットノルマはありませんし、定額の箱代を設けないレンタルシステムを導入しました。 |
「TOAST BRO」から週末の入口を温める夜へ
ロッキー |
TOAST BROは、人・年齢・性別が混ざる場になると思います。音楽ってそういう力があるというか、日ごろから実感しているし、僕は信じているんですよね。それが週末の入口となる金曜からスタートしたら、きっと楽しいんじゃないかって。いまからワクワクしています。 |
TOASTの意味は「温める」と「乾杯」。BROは「BROTHER」の略、それからパーティーでワイワイするやつというスラングもあるらしい。
「TOAST BRO」はたくさんの仲間たちと乾杯し、一緒に夜を温めていく金曜日を願って名付けられました。
2019年4月5日からスタートする新しい静岡の夜に、乾杯。
オープンパーティー「TOAST BRO STARTINGPARTY」
2019.4.5(金)
TOAST BRO STARTING PARTY
ENTRANCE ¥1,000
START 19:30 CLOSE 5:00
– LIVE –
KONCOS / GORO GOLO / FUCKER / 快速東京
and more / herpiano / KMC / THE WEMMER
– DJ –
CHIAKIZZ PARRY CLUB
DJ ひょっとこ(下北沢BASEMENT BAR) / スガナミユウ(下北沢THREE)
四畳半(長野) / kazuyoshi / ピーチ岩崎 / IKKI / RIKI
写真 :マキタ ナツミ
ロゴデザイン:ヨシモト ツナヒコ(Dreamcast)
トーストパーティーデザイン:ナツメ☆(Dreamcast)
フライヤーデザイン:サノ タカヒサ