「#dilettante cafe」でオトナの世界をのぞき見
川のほとりのアンティーク空間×背伸びランチ
晴天。水の都・三島もこの日はからりとした空気につつまれ、袖口で汗をぬぐう人の姿もありました。
市内を流れる源兵衛川は、5月初旬のそんな陽気をものともせず、日差しを味方にきらきらと流れます。
澄んだ水をまたぐようにかかる、石造りの「時の鐘橋」ふもと。川の真ん中をはしる遊歩道沿いに、青屋根のテラスが見えます。
その光景に誰もが足をとめ、息を漏らす、「#dilettante cafe(ディレッタント カフェ)」です。
#dilettante cafeのあらまし
三島駅から徒歩20分。お散歩にはぴったりの街なのでさほど苦になりませんが、伊豆箱根鉄道広小路駅からなら歩いて3分ほど。「川の上を流れるレストラン」と看板の立つ、赤茶色のビル地下1階です。
2004年オープン、今年で14周年を迎える#dilettante cafe。
奔放に茂る緑、川べりに突き出すようなテラス、その奥のメロウな雰囲気は、遊歩道をゆく人々の心をたやすく奪います。そのじつ、わたしもお店を見つけたのは遊歩道がきっかけでした。
こちらでいただけるのは、三島で採れた季節のお野菜と、沼津港から仕入れるピチピチの魚介類を使ったイタリアン。
カフェと冠してはいるものの、オープンから少しずつ形を変え、いまは「レストランカフェ」に落ち着きました。ランチ後の14:00から、ディナー前の18:00までは営業していないためご注意を。
ひたすら絵になるアンティーク空間
ほの暗く、雑然としているようでしっくりくる、夢想のような店内。
壁やテーブルはモネ、ルノワール、マティス、モディリアーニほかフランス・イタリアを代表する画家たちの作品と、数々の古道具に埋め尽くされています。たまらない人にはずっぷりと刺さるはず。
これらの装飾を手掛けたのはオーナーの四宮さんご自身です。店内に並ぶテーブルや棚は手づくりで、なんなら四宮さん作のアートもあちこちに。
ね、かわいい。
ちなみに#dilettante cafeでは、スマートフォンの使用をできる限り控えるよう勧めています。
「敷居が高いのでは」とひるんでしまいそうですが、だいじょうぶ。ごはんや店内の写真撮影はまったく問題ないとのことなので、食事中はインテリアを眺めつつ、あれこれ会話に華を咲かせてみてください。
ランチは「大人の世界味」
ランチがいただけるのは11:30~14:00。
前菜の盛り合わせプラス、数種から選べる「パスタセット」と前菜・ドリンク・デザートに加え、お好みの主菜をチョイスできる「ディレッタントのランチコース」があります。
三島の野菜たっぷりの前菜は、目にもおいしいほど鮮やか。にんじんもトマトもグリンピースも、シンプルな調理法であるほどその歯ざわりのよさと甘みが際立ちます。
開店当初から愛されているキッシュは、サクサクしっとりでワンホールまるっと食べたいくらい。
メイン料理はオーナー・四宮さんに選んでいただきました。ストレスがかからないよう10時間かけてゆっくりと火を通す、長泉町産もち豚「自家製ローストポーク」です。
うすべに色がきれいな、きめ細かい肉の食感と、舌のうえでとろける脂。くどさのない旨味がふわっと広がります。
これからの季節、赤ワインが重たければロゼがおすすめとのこと。
わたくしごとですが、今年で24歳ともなれば、いつまでもバブバブは言っていられません。野菜にはシーザードレッシング、豚肉にはエバラ焼き肉のたれ? もう卒業したよ。
これは、完璧に大人の世界を知っちゃったバブ!
ディレッタントのランチコースは税込2,700円とちょっぴり背伸び価格。今回はみなさんの前で少し見栄を張らせてもらいましたが、パスタセットなら税込1,950円なので友だちと、恋人と気軽に利用できそうです。
水の都にたゆたうレストラン
#dilettante cafeの最たる強みはやっぱり、この不思議なロケーション。底の石が透けて見えるほど美しい水面に、ぽつねんと浮かんでいるみたいです。
季節が変わるとともに木々の表情もうつろうため、来たる夏には、どれほど青々しさを増すのか楽しみ。
わたしはいまの穏やかな瀬音、木漏れ日がみなもにうっとりと反射する風景も好きです。夕暮れにはもう、蛍が光り出していると聞きました。
川の向こう岸、わたしたちには悠然と見える世界。
ただ、ディレッタント(好事家)の名のとおり、息の詰まるような場所ではありません。あなたがおしゃれなレストランに、とびきりのランチに、おとなに焦がれたとき、のぞいてみてくださいね。
dilettante:ディレッタント
学問・芸能などを、趣味として愛好する人。好事家(こうずか)。