トンガリ音楽推進委員会 Vol.1
地元を盛り上げる西部のイベンター
どうもどうも。mitecoゲストライターのロッキーです。
さてみなさん。じつは静岡県はすごい音楽人たちを輩出している県って知っていましたか?
電気グルーヴのふたり、アジアンカンフージェネレーションの後藤正文、久保田利伸、椎名林檎、吉井和哉も静岡育ち。ジャズの上原ひろみもそうですね(敬称略)。日本最大級の音楽フェス「サマーソニック」などのフェスを企画、運営している会社「クリエイティブマン」の清水社長も焼津出身です。
そんな音楽人をたくさん輩出しているしぞ〜かで、「いま音楽でトンガっている人(いい意味で)」たちを発掘していこうってのが「トンガリ音楽推進委員会」のコンセプトでございます(現在1名で活動中)。
初回なので「トンガリ音楽」をご説明します
昨今のジャパンは数年前ちょっとだけ来たバンドブームも終わり、ダンスやらおカマやら不倫やらアイドルやらがお茶の間を賑わす世の中になっています。
「バンド」=「サブカルチャー」っていうイメージありますよね? 下北沢を歩けば確かにそんな感じもする。ところが、もはやここしぞ〜かのバンドは市民権を失い、絶滅寸前の恐竜のような存在になりつつある気がします(数年後、僕らのCDが化石として安倍川あたりで発掘されるかも・・・)。
そんなしぞ〜かにも音楽を本気でやっている人、音楽を愛しまくってる人が少なからずいるんです。そして、そういう人たちのことを僕は応援したいんです。日の目を浴びるのか、絶滅するのか、サブカルチャーとも言えない「しぞ〜かの音楽に関わる人たち」を僕はこう名付けたい。
「トンガリ音楽」と。※世界初の呼び名です。
トンガリ音楽とは
「メインカルチャーにもサブカルチャーには当てはまらない素晴らしい音楽」 のこと。ポジティブな意味でのトンガリを意識していただきたい。
miteco読者の皆様に僕ロッキーが、身近に潜む「トンガリ音楽」の素晴らしい世界を紹介できたら幸いです。
「音楽を好きなやつに悪いやつはいない」と昔どっかの居酒屋のおじさんが言っていたけど、そんな言葉を信じて、この度「トンガリ音楽推進委員会」という連載をはじめることになりました。
よっしゃ〜!
今回紹介するトンガリ音楽は「ミュージシャン」ではなく「イベンター」
「ミュージシャン」という言葉には誰もがピンときますよね。音楽を演奏して華々しい感じ。モテるイメージ(だが現実は人気がなければスーパーモテないです)。
でも、「イベンター」はどうでしょう?
「イベンターってなに? どんなことするの? 」と疑問に思う人もいると思います。簡単に言うと、音楽イベント※を企画、運営する人のことを指します。まあ、地味です。裏方です。モテないです。
しかしイベンターがいないと、世の中のミュージシャンはライブをできません。それくらい大切な役割とやりがいがあるのがイベンターと呼ばれる人たちなのです。
地中に埋まっている芋のように、そんな大事な存在は発掘せにゃいかん。
今回は静岡県西部のライブハウスを中心に、定期的にめちゃくちゃかっこいいイベントを企画するイベンター「山下Jimmy泰弘」さん(以下、ジミーさん)にスポットを当てました。
※イベントの規模は何十人から~何万人までさまざまですが、個人で活動するイベンターは50人~300人くらいの小規模な音楽イベントを個人で企画、運営していることが大半です。みんなが思い浮かべるような大物アーティストのコンサートや、野外フェスのような大規模なイベントは企画、運営が個人ではなく会社になります。
とりあえず「MIND JIVE vol.12」に行ってみることに
会場は磐田市にある老舗ライブハウス「磐田FMステージ」。
ジミーさんが企画、運営する音楽イベント「MIND JIVE」。2月4日(土)に開催された12回目のイベントに潜入しました。
百聞は一見にしかずといいます。ズバリ写真でその様子をお伝えしましょう。
会場は動けないくらいの満員でした。すごいぜ磐田のロックキッズ!
焼津・藤枝出身の絶滅寸前のパンクバンド「Zん(ゼットン)」。
ソニーミュージック主催の「未確認フェスティバル」で優勝経験を持つ「突然少年」。
Husking Bee/malegoat/fam/Country Yardのメンバーにより新結成された「Fire Wood Project」。
「PIZZA OF DEATH」より輩出された超大型新人の「ember」。
しぞ〜かのトンガリイベンター「山下Jimmy泰弘」のルーツを発掘
笑顔が素敵なジミーさん。
ライブの合間、イベンターのジミーさんにインタビューをすることに成功。いろいろと聞いてみました。
山下Jimmy泰弘
浜松市出身。国内外問わずインディーズを中心としたアーティストを、浜松や岩谷招聘するライブイベント「MINDJIVE」の主催者。また自宅で開催する「とある家のリビングにて・・・」という弾き語りライブも企画、運営している。2016年までに12本(自宅ライブは2本)企画して、2017年もすでに数本の企画の開催が発表されている。基本は招聘したアーティストとともに、地元にゆかりのあるアーティストが出演する形態のイベントにしている。※過去出演アーティスト(順不同):LOSTAGE、mouse on the keys、Crypt City、LITE、ember、the around、MASS OF THE FERMENTING DREGS、skillkills、The Firewood Project、CANCERS(from US)、two million thanks(from Thailand )、Shortstraw(from South Africa)。
ロッキー | どうもどうも。お忙しいなかありがとうございます。さっそくですが、「自分でイベントを企画してみたい」と思ったキッカケはなんだったんですか? |
ジミーさん | 昔から音楽がすごく好きで、自分でチケットを買ってライブに行くような生活をしていました。
それで、「2年前に実際に自分でやってみようかな。静岡に来てくれないなら自分で好きなアーティストを呼んでみようかな」と思ったのがキッカケです。 |
ロッキー | 絵に描いたようなロックキッズだ! ちなみに、最初に好きになったアーティストってなんだったんですか? |
ジミーさん | はぁ〜・・・。なんだろ・・・。ラルクアンシエル? |
ロッキー | ラッラルク!? 僕も中学生のとき聞いてましたね。けど、ジミーさんがいま呼んでいるアーティストとはかけ離れすぎてビックリしました。 |
ジミーさん | わははは! 世代だよね。でもやっぱいま自分が聞いてる、聞きたい音楽とは違うじゃん? その「男臭い」みたいな? 「ロック」って感じではないよね。でも好きだったんだよね。
その「ロック」で衝撃を受けたのは「Blankey Jet City」※だね。
15歳の誕生日に、親にブランキーの「ラストダンス」っていうラストライブのビデオを買ってもらったのがもう衝撃で、それが「バンド」とか「ロック」を好きになった理由のなかで一番大きかったなと思う。あと漫画のBECKもめちゃくちゃ読んだなぁ。 |
※Blankey Jet City:90年代に日本でスーパー活躍した日本のロックバンド。日本人バンドとして唯一、「Fuji Rock Festival」のグリーンステージでメインアクトを務めたことがある。2000年に惜しまれつつ解散。
中学のときから音楽に関わる仕事をしたいと考えていた
ロッキー | 僕は音楽を好きになってすぐバンドをやりたいって思って、中学の仲間とバンドを組んだんですが、ジミーさんはバンドをやりたいなって思わなかったんですか? |
ジミーさん | 思ってたんだけどね。やりたいなって。でもやるキッカケがなかなかなくて。「聴く専門」だった。だけど「中学のときから絶対音楽に関わる仕事はしたい」ってずっと思ってた。 |
ロッキー | 中学のときから考えていたんですね。「願いは叶う」じゃないですが、そういった意味でジミーさんは夢を掴んだんですね。 |
ジミーさん | ほんとそうだね。いま31歳なんだけど、イベントを始めたのが29歳のときで。あっという間の2年だけど、いろんな人と関われたしめちゃくちゃ濃くて楽しかった。
5年前の俺はこれからどうしようって思ってたんだけれど、そんな俺にいま会えるなら、「お前もう少し頑張れば面白いこといっぱい起こるから」って言ってやりたい。 |
ジミーさんの熱い人柄に、開いた口が塞がらないロッキー。
「イベンター」として地元を盛り上げたい
イベントの趣旨や経緯を話すジミーさん。
ロッキー | ズバリ、しぞ〜かでイベンターをやっている意味とは? |
ジミーさん | 浜松と磐田が俺の地元で、単純に音楽シーンを盛り上げたい。めちゃめちゃ簡単な言い方だけど、地元を盛り上げたい。いろいろなことをやって地元を盛り上げている人が実際にいる。そのうちのひとりになれたらいいな、と思ってやってるね。 |
ロッキー | 「イベンター」の仕事の楽しいところと、しんどいところを教えてください。 |
ジミーさん | 音楽を通して人とどんどん繋がり、輪が広がっていくってのは本当に楽しい。しんどいところはひとつだけ。「集客」(お客さんをイベントに集めること)ですね。まあ、お客さん呼ぶのが仕事だからね。いまだにずっとそれが課題。やる限りはずっとついてくる。でもやっている楽しさのほうが上回っているから続けられる。 |
ロッキー | 音楽って人とつながる、とても大切なコミュニケーションツールですよね。それを生み出すイベンターってすごく大変だと思いますけど、素晴らしい仕事だと思います。では最後に、ライブハウスやジミーさんのイベントに来たことのない人にひと言お願いします。 |
ジミーさん | 1回遊びに来てください。こういう場所もあるんだなあって知ってもらいたい。「みんなが聞いてるラッドウィンプスもワンオクロックも、最初はこういう小さなところからスタートして大きなステージに行ったんだよ」ってちょっとでも知ってもらえたらなと思います。 |
トンガリまとめ
みなさんにとっては「しぞ〜かの音楽」って、ちょっとピンと来なかったり知らなかったりする世界かもしれません。
いまスマホを覗けば、どんな世界の音楽だって手に入ってしまう世の中です。でも身近な場所で鳴ってる音楽も捨てたもんじゃないなと僕は思います。
世界の音楽もいいけど、「あれ? よく聞いてみたらしぞ〜かの音楽も結構いいじゃん。東京までわざわざライブ行かなくてもしぞ〜かで見ればいいじゃん」みたいなこともあるんです。
ジミーさんが言っていたようにまず1回遊びに行ってみたら、あなたの日常を少し変えるキッカケになるかもしれません。
ライブって、アーティストとの距離が近くて生な感じがすんごくいいんです。もしかしたら、ライブハウスって「トンガリ音楽」の宝庫かもしれません。
さて「MIND JIVE」はジミーさんのアーティストに対するリスペクトがすごく感じられて、本当に呼びたい、見たいアーティストを呼んでいるイベントだと思いました。それってアーティスト側もお客さんにとってもいいことで、要は「ジミーさんは信用できるやつ(ジミーさん偉そうにすみません)」なんです。そういう人って意外と全国的に少ない気がします。
ジミーさんトンガってたな〜。大好きになりました。
しぞ〜かだからこそ生まれる、温かい音楽の輪が広がるといいっすね! 人ごとではなく僕も頑張ります!
これからも「トンガリ音楽」の魅力を伝えていきます〜! 乞うご期待!
イベント情報はコチラ
tumblr(MIND JIVE):http://mindjive.tumblr.com
Twitter(山下Jimmy泰弘):https://twitter.com/JimmyYasu