やさしい天然酵母のパン屋「ららぱんや」
島田の住宅街でふわふわ姉妹が営み中
こんにちは、miteco編集長の吉松です。
大学の同級生から
「私の叔母さんとお母さん、姉妹で“ららぱんや”っていうパン屋さんをやってる! ふわふわのふたりで!」
と聞いた僕は、「ふわふわの姉妹がパン屋さん・・・」と気になったので、そのまま紹介してもらいました。
ということで、ここは島田市祇園町。閑静な住宅街にひっそりと構えるパン屋さん「天然酵母 ららぱんや」です。
パンは天然酵母、自家製酵母で作っていて、材料は国産小麦・天日塩・洗双糖※を使用。とにかく身体に優しいパンにこだわっているそうです。
ふわふわ(?)のご姉妹に、一緒にお店をはじめた経緯から、身体に優しいパンについてなどを伺ってみます。
※洗双糖:サトウキビの糖液を「ろ過⇒煮詰める⇒結晶」で作った砂糖。化学精製は一切されていない。
パン屋さんをはじめたのは“見えた”から?
吉松 |
こんにちはー。本日はよろしくお願いします。 |
お姉さん |
あー! いらっしゃい。暑いなかありがとねえ。 |
吉松 |
いえいえ。さっそくですが、姉妹で営んでいると伺っていまして。ふたりでお店をはじめた経緯を教えていただけますか? |
妹さん |
んー、なんか不思議な感じではじまったもんで(笑) |
お姉さん |
そうねえ(笑) |
ららぱんやを営むご姉妹。写真左が妹さん、右がお姉さんです。
妹さん |
えーとね、よく“見える”とか言うじゃない。通っていたマッサージの方が見える人でね。その人から「パン屋さんをやっているのが見える」って言われて。じゃあ、やってみよう!と思って。 |
吉松 |
見えるって、占い師みたいなことですか? |
妹さん |
占い師っていうかね。あのー、霊能者さんみたいな。 |
吉松 |
えええ・・・。 |
お姉さん |
それでここは実家なの、いまは妹が住んでいるんだけど。でも当時は古いお家でね、でもパン屋さんをやるなら建て替えなきゃってなって。 |
妹さん |
そうそう。貯金もまったくなかったんだけど、主人とお家を見学に行ったとき、気に入った家を即決しちゃって(笑)。そこで姉に「パン屋さんやるから手伝って」って話したんです。 |
お姉さん |
ほんとねえ。新しい家のことは相談もしてくれてなくて、ちょっと!みたいな(笑)いいよってすぐ言ったけどね(笑) |
吉松 |
そんな経緯があったんですね・・・。 |
見えるだけではなかった当時のこと
吉松 |
パン屋さんを始めたとき、パンの作り方などはご存じだったんですか? |
妹さん |
そうね。もともとね、姉とふたりでパン教室には通っていたもんだから。 |
お姉さん |
そうそう。ふたりともパンが大好きだったからね。 |
吉松 |
あーそうなんですか。でも、そこから天然酵母でパンをつくろうと思ったのは・・・? |
妹さん |
きっかけになったのは、お互いに子どもが生まれてからかな。できるだけ添加物がないとか、なるべく自然なものがいいよねって。それから、父が自然の食べものを好きだったりもして。 |
お姉さん |
うんうん、お父さんがそうだった。もしかすると、そういう環境で育ったからかなあ。結局は、自然なものが好きだったからってことですかね。 |
お姉さん |
・・・でも、どうなんでしょうか、この話(笑) |
吉松 |
“見える”からはじまったときは、どうしようかと思いましたが、とても納得しました! |
妹さん |
いまの時代だったら大丈夫なのかな。スピリチュアル的なこと(笑) |
お姉さん |
昔だと、ちょっと変なパン屋さんだと思われるね(笑) |
身体にやさしいパンのヒミツ
吉松 |
それでは天然酵母、自家製酵母でパンを作っているとのことですが、酵母にはどのようなものがあるんでしょうか? |
妹さん |
季節によって変わりますね。たとえば、りんご、ヨーグルト、玄米、酒種とか。旬の素材で作ったお野菜の酵母もあるかな。 |
吉松 |
ほー、そんなにあるんですね。 |
妹さん |
ただね、やっぱり自家製酵母は時間がかかって、たくさんは作れないもんだから。お店に並べるメニューはいつも数種類とか。だから曜日によって違うパンを出したりもしますね。 |
吉松 |
どのパンもおいしそうですが、人気メニューはどれですか? |
お姉さん |
やっぱり酒種の食パンとか酒種のピザかな。 |
妹さん |
あとはメロンパンとかクリームパン、それからアレルギーがある子でも食べられる、卵と乳製品を使っていないパンも人気です。 |
お姉さん |
卵と乳製品を使ってないパンは、とくに若いお母さんに人気だね。小さいお子さんがご飯をあんまり食べないからって、パンがゆとか離乳食として使っていただけているみたい。 |
吉松 |
身体にやさしいパンならではの使い道ですね。 |
酒種でつくった食パン「パン・ド・ミー」。原料は麹、米飯、水だけ。だから身体に優しいんです。
お姉さん |
ちなみにだけど、これからは甘麹酵母の種類を増やしていきたいなあ。 |
妹さん |
甘麹酵母は甘酒からつくる酵母なんだけどね。お米から甘酒をつくることにも挑戦しているんです。麹だけは買ってきて、そこからは自分で甘酒をつくって、さらに酵母にするみたいな。
甘酒には100種類以上の酵素が入っているといわれていて、ビタミンとかアミノ酸とかもたっぷり。いわゆる総合栄養ドリンクなんですって。とっても身体にいいんですよ。 |
吉松 |
甘酒ってそんなに栄養豊富だったんですか。あ、だから姉妹そろって肌にツヤがあるんですね。 |
お姉さん |
いやねえ(笑) |
お客さんへの想いと姉妹の楽しみ
吉松 |
少し話は戻りますが、若いお母さんもよくいらっしゃるんですか? |
お姉さん |
そうね。食べものに気を使っていて、酵母のパンがいいと言ってくれていて。 |
妹さん |
でも、ご年配の方も結構来てくれるね。 |
吉松 |
あ、お客さんの年齢層は広いんですね。それではお客さんに対して、なにか想いがあれば教えていただけますか? |
妹さん |
んー。やっぱり住宅街にあって、かなり分かりづらい場所にあるから、わざわざ探してきてくれるお客さんに、感謝の気持ちで接することかなあ。ここに来るときは迷ったでしょう? |
吉松 |
正直なところ迷いましたね・・・。ららぱんやと書かれたのぼりで分かりました。 |
妹さん |
そうでしょ(笑)だから探してきてくれてありがとうって思うの。 |
お姉さん |
私は想いというか、来てくれたお客さんとお話しするのは楽しいねえ。お客さんがいろんなお話しをしてくれるから、毎日いろんなお話ができるようになってね。 |
吉松 |
たしかにお話しを伺うなかで、何回かお客さんがいらっしゃいましたけど、皆さんと喋ってましたね。 |
妹さん |
パンをつくるのもそうだけど、お客さんと触れ合うのは楽しいよ。それがお店で働く上での楽しみのひとつになっているかな。 |
お姉さん |
そうだねえ。パンを焼くのもずっと楽しいけど、お客さんとお話しするのも、とっても楽しいよね。 |
お話しを伺っているあいだ、おふたりはずっとニコニコしていました。カメラマンとして同行していた編集部の山口が帰り際、「笑顔しか撮れなかったっけ」とつぶやいていたくらいに。
そして話し方と雰囲気、同級生が「ふわふわのふたり」と言っていましたが、そのとおりでした。この人柄が、パンにも、お店の空気感にも表れている気がするんです。お姉さんが「お客さんがいろんなお話しをしてくれる」と話されましたが、それもおふたりの“ふわふわ感”がそうさせているんじゃないでしょうか。
ちなみにららぱんやさんの営業日は、火・金・土(11:30~売り切れまで)の週3日。お昼すぎで売り切れることも多いようなので、足を運ぶなら早めが吉です。