蒸気機関車が通る隠れ家カフェ「Cafe ひぐらし」
大井川鐡道の普通列車にもふれる贅沢な時間
「旅上手はカフェ上手」。
なんて諺はありませんが、旅好きの筆者はこれを行動指針としております。おでかけ途中にどこで休憩するかは、1日の流れやテンションを大きく左右する……かもしれません。
食べ歩きも好きですが、基本的には「ひと息いれる」ポイントを重視しています。
そんな筆者、じつは半年ほど前から列車を撮ることにハマり、たびたび訪れている町があります。ローカルを切り口とするmitecoにもピッタリ。静岡県で撮り鉄とくれば、もうおわかりですね。
川根温泉笹間渡駅付近の大井川第一橋梁。
日本で唯一、ほぼ毎日のように蒸気機関車が運行する大井川鐵道沿線の川根。2008の市町村合併により、現在は島田市川根〜榛原郡川根本町となりました。
「きかんしゃトーマス」の運行で注目を集めるなど、昨今は少しずつ観光地化も進んでいますが、店や観光施設はまだそう多くはありません。少し前までは、ひと休みする場所を探すのにも苦労していました。
そんななか、筆者が3年前に自分の脚で発見した素敵な一軒がコチラ。
川根温泉笹間渡駅の隠れ家カフェ
田園風景のなかにひっそりと佇む「Cafe ひぐらし」です。
タイトルで示したとおりですが、じつは駅舎内にあります。というより、「駅をそのまま使った」という表現が正しいかもしれません。
大井川鐵道本線、川根温泉笹間渡駅。いまは無人駅ですが、かつて駅長が駐在していた時期もありました。「ひぐらし」は、当時駅長室として使用されていた部屋を活かした空間です。
列車がすぐ目の前に見える窓際席。
無人の木造駅舎が醸しだす牧歌的な佇まいと、それに似つかわしくない瀟酒(しょうしゃ)な雰囲気。
川根のお茶屋さんが発明した川根炭火焼珈琲やサンドイッチなどを楽しみながら、落ちついた時間を過ごせる、とってもありがたい空間です。
音楽&列車好きの人が集まる店
上手な表現がなかなか浮かびませんが、竹を割ったようなというか、硬派というか、チャキチャキッとした雰囲気の店主・児玉有子さん。
浜松の出身で、聞けば大の音楽好きとのこと。地元にいたころはライブハウスで演奏していたそうで、現在でも仲間とともに川根のイベントなどに出演しています。
ちなみに、児玉さんはドラマーです。うーむ、なんとなく納得……。カッコいい。
店内ではたくさんのレコードが目に入りました。
店主が音楽好きであることは、店に入ればすぐに気付きそうですね。実際、音楽の話になると、児玉さんの目が爛々と輝き始めました。おそらく趣味の合う人と話し始めたら止まらないのではなかろうか……。
ここには列車好きはもちろん音楽好きの人たちも、カウンターに座り、会話を楽しみにくるケースが多いことでしょう。地元の常連さんとも気兼ねなく話す児玉さんを見ていると、どことなく、昔からあるような喫茶の雰囲気を感じました。
ボリューミーな食事を頬張りながら至福のひとときを
人気メニュー「ポテトと野菜のトーストサンド(580円)」。
メニューについて嬉しいのは、ボリュームの割にとてもリーズナブルなこと。この値段で結構おなかいっぱい。川根茶を練り込んだロールケーキやチーズケーキもオススメです。
――「あ、あれあれ。カメラマンさんにはあの電車が人気みたいよ。レトロでかわいいからって」
と、児玉さんに促されて焦りながら撮影した、店内越しの1枚。
大井川鐵道の普通列車はほかにオレンジ色や銀色もあります。
蒸気機関車は運休日を除き、12時台に下り(千頭行き)が通過、15時台に上り(新金谷行き)が停車するので、時間を合わせてくるのもいいですね。※トーマス号やイベント列車運行日などは、この限りではありません。
大井川鐵道の魅力については、また別の記事でじっくり触れたいと思います。お楽しみに!