言の葉でご縁を結ぶ掛川のパワースポット
「事任八幡宮」にいるのは「大変な神様」?
三が日は初詣に足を運んだ方も多いのではないでしょうか?
もし「行けなかった・・・」という方でも大丈夫! 調べてみたら、現在において初詣の時期に厳密な決まりはないようです。
凛とした空気のなかで感謝と新年の祈願を捧げる初詣。まだの方はこれからぜひ「言葉のままに願いが叶う」という神社に訪ねてみてはいかがでしょうか?
遠江国一の宮「事任八幡宮」
掛川市、東海道日坂宿の西の入り口にあたる八坂に佇む「事任八幡宮(ことのままはちまんぐう)」。
車でのアクセスは、掛川バイパス八坂ICから約800m。擬宝珠(ぎぼし)付きの赤い歩道橋が見えたら、そこから脇道に入り100mほど進むと到着です。
こちらが目印の赤い歩道橋。
擬宝珠とは、写真中央の欄干の葱坊主の形をした装飾のことです。
2017年1月2日、筆者は家族で初詣へ行ってきました。
事任八幡宮さんには2016年、安産祈願やお宮参りなどで大変お世話になったので、その感謝と今年の家内安全に健康祈願を・・・。
石段の上に構える本殿(拝殿)には多くの参拝者の方々が長い列を作り、新年の祈願に手を合わせていました。
こうした景色をみると「新しい1年が始まったのだなあ」と感慨深い気持ちになります。
普段の境内は並べられたベンチでくつろぐ人や、早朝のお掃除に訪れる人に見られる静かな様子です。気持ちのいい空間で心穏やかなひとときを過ごすことができます。
平安時代からご縁を言の葉で結ぶ
事任八幡宮でお祀りしているのは、主祭神で言霊の神様「己等乃麻知比売命(ことのまちひめのみこと)」と八幡大神三柱※です。これら神様には由緒ある歴史とエピソードが残っています。
※八幡大神三柱:息長足比売命(おきながたらしひめのみこと)、譽田別命(ほむだわけのみこと)、玉依比売命(たまよりひめのみこと)のこと。
境内には羅陵王(らりょうおう)の舞と石川依平の添え書の掛け軸が残されている(天保八年 1837年〜)。
事任八幡宮の創建年代は不詳ですが、古くは平安時代といわれています。約1800年前から本宮に主祭神「己等乃麻知比売命(ことのまちひめのみこと)」をお祀りし、1210年前(807年)に本宮から現在の本殿に遷されました。
平安時代の清少納言『枕草子』にも「願い事のままにかなえてくださる神」と記されていることから、当時すでにその評判が京都まで知れ渡っていた様子が伺えます。
布留の社。龍田の社。花ふちの社。みくりの社。杉の御社、しるしあらんとをかし、ことのままの明神、いとたのもし。さのみ聞きけんとや言われたまはんと思ふぞ、いとをかしき。
清少納言『枕草子』225段「やしろは」の一節
宮司を務める譽田潤(ほんだじゅん)さんにも、神様にまつわるエピソードをお話しを伺ってみました。
譽田さん |
事任八幡宮でお祀りしている神様は、清少納言『枕草子』にも「そんなに願い事を聞いていたら大変でしょうに」と書かれているくらいに、昔から言葉のままに願いを叶えてくれる神様だといわれています。
言葉のままといってもその言葉の善し悪しを神様がご判断してくださって、正しい道を授けてくださるというのが「言葉のままに願いが叶う」ということの本来の意味ですから、神様の授けてくださる道に導かれるままにまっすぐに生きましょう。 |
譽田さん |
願い事も風邪をひいて「風邪をなおしてください」というお願いをしたとして、その瞬間に治るわけではないですよね。
症状によって数日かかったりもするのと同じように、「瞬間=点」として捉えるのではなく、日、月、年、「人生=線」という大きい流れで捉えてもらえたら嬉しいと思います。
神様の計らいのなかには受けなくてはいけない試練もあります。そういうものも受け入れながら生きていくというのが「ことのまま」の意味のひとつかなと思います。 |
また譽田さんによると現在の本殿(拝殿)の以前に、主祭神「己等乃麻知比売命(ことのまちひめのみこと)」がお祀りされていた本宮へも、ぜひ参拝に足を運んでみてほしいという願いがあるそうです。
譽田さん |
もとあった場所を大切にしてこその御利益です。古くから鎮守の杜と呼び、人々が聖地として大切にしてきた清らかな場所や自然をぜひ感じてみてください。 |
271段の本宮山へ「ふくのかみ」
本宮参拝の際には、「ふくのかみ」で神様の足元をきれいにして絆を結んでみませんか?
「ふくのかみ」とは、271段ある本宮山を登ったところにある本宮のお社で、白い石を3つ選び、心を込めてきれいに磨き祈願するものです。
3つの石には意味があり、1つ目の石は神様のために、2つ目の石はみんなのために、3つ目の石は自分のために磨いて福を授かります(社務所で「ふくのかみ」の白い紙をいただけます)。
271段のつづら折りの階段は、場所によっては一段が高く、また道を譲り合わなくてはいけない細いところも。やっとの思いでたどり着いたお社付近には休憩をする方も見受けられます。
しかし周りを見渡せば、豊かな自然と景色が見渡すことができます。ふっと心を軽くして、帰りの下りはゆったりとした気持ちで歩みを進めてみてくださいね。
境内の見どころをピックアップ
境内には本殿や本宮のほかにも見どころがたくさんあります!
木漏れ日注す小道
境内には、本殿(拝殿)のほかに、五社神社、稲荷神社、金刀比羅神社、龍神など主祭神「己等乃麻知比売命(ことのまちひめのみこと)」と縁の深い神様を祀ったお社があります。
本殿から続く小道のなかには摂社があり、参道も木々の隙間から木漏れ日が注す気持ちよさ。この日も、本殿を参拝し、続いて摂社へ巡る方々の様子がみられました。
樹齢1000年のご神木
事任八幡宮のご神木は樹齢推定1000年といわれ、大杉は本殿(拝殿)の脇にひっそりと佇んでいます。
境内でひと際存在感のある大楠も樹齢推定600年という大木。幹に触れている人たちが多くいました。
大銀杏の黄色の絨毯
写真提供:事任八幡宮
春は桜、夏は新緑が美しい境内ですが、秋の様子はひと際美しい景色です。大銀杏の葉が落ちて、拝殿前は一面黄色に染まります。まるで絨毯のよう! 見ごろは11月前後とまだ先になりますが、2017年秋のお出かけスポットとしておさえてみてはいかがでしょうか。
さて事任八幡宮へお越しの際は、掛川道の駅をはじめとした寄り道スポットも盛りだくさん。ぜひ近隣の情報もチェックしながらゆったりと足を運んでみてください。それでは、今年もみなさまにとってより充実した1年となりますように。