トンガリ音楽推進委員会 Vol.3
静かに燃える楽器愛 すみや店長「原田貴久」
どうもどうも。mitecoゲストライターのロッキーです。
トンガリ音楽の第3回目!
「トンガリ音楽って言われてもよくわからないよ〜!」って方は、はじめにこちらの記事をお読みくださいね〜!
簡単に説明しますと、
トンガリ音楽 ※世界初の呼び名です。
「メインカルチャーにもサブカルチャーには当てはまらない素晴らしい音楽」 のこと。ポジティブな意味でのトンガリを意識していただきたい。
です。miteco読者の皆様に、僕ロッキーが、静岡に潜む「トンガリ音楽」にスポットを当てていきます。
静岡ではおなじみの楽器屋さん「すみや」店長
静岡市内の楽器屋さんといえば「すみや」ですよね〜。
僕は小学生のときからすみやに行っている、根っからのすみやっ子です。
はい。というわけで、静岡県内でチェーン展開する楽器店「すみや」の店長さんをご紹介。なにを隠そう私、中学生のときはすみやのベース教室に通っていて、その店長さんとはなんと10年来の付き合いです。
そう考えれば、「静岡のトンガリ音楽の原点はすみやから始まっているといっても過言ではないぞ」と思い、取材をさせていただきました。
呉服町店の店内には、写真上の入り口から奥へ進んだところに楽器スペースがあります。
あっ! いた!
すみや店長:原田貴久
静岡県焼津市出身、静岡市在住。中学、高校は吹奏楽部所属。高校、大学とバンド活動でギター、ボーカルを担当。アムラー、ルーズソックス全盛期の1996年にすみや入社。その後、紆余曲折あって、現在すみやグッディ本店店長。静岡県教育委員会より、高等学校への派遣講師「文化の匠」に委嘱され、音楽系部活動の指導にもあたっている。
ロッキー | 原田さんどうもです。今日はよろしくお願いします! |
原田 | どうも。原田です。すみやグッティ本店の店長です。ていうか俺、別にトンガってないけどいいのかな? |
ロッキー | 僕は原田さんなかなかトンガってると思いますけどね〜。今日はいろいろお話し聞かせてください。 |
原田 | ほ〜い。がんばるよ〜。 |
ロッキー | (原田さん相変わらずゆるいぜ・・・) |
原田貴久、店長へのサクセスストーリーとは
ロッキー | ではさっそくですが、どうやったら楽器屋さんの店長になれるんですか? |
原田 | ハハハハハ! そうだなあ。僕の採用からの流れから追ってくと・・・。
もともとすみやのCDショップ部門で採用されて、ちょうどそのころってwindows95がバカ売れした時代。当時のすみやは家電もやっていたんだけど、人が足りないからつってすぐ家電販売に異動になった。そしたら全国展開の大手家電屋さんが静岡県に入ってきて、家電事業が成り立たなくなって・・・。 |
ロッキー | なんか時代の流れに揉みに揉まれてますね。 |
原田 | 僕が就職したときのもともと希望は楽器販売なんだけど、会社としてはそこに人は採用しないって話だったんだ。だからほかの事業部にいたワケ。
それで・・・。入社してから7年くらい経ってからだったな〜。最終的に楽器販売に異動になった。だから、どうやったら楽器屋さんの店長になれるか、で言うと・・・。
ん〜〜、ま〜なんだろうな〜・・・運だね。 |
ロッキー | えええ〜! 運ですか! |
原田 | そう! 運! まったくトンガってね〜な〜この話。 |
当たり前ですがギターがずらり。アコギ欲しい。
ロッキー | 大丈夫です! こっからバッチリ原田さんのトンガリ部分を引き出していきますよ〜! では、念願の店長になって「よし。やってやるぜ!」となったんですか? |
原田 | 店長になったのは35歳のときで「え〜俺〜?」って感じで、このころには呉服町に島○楽器とかできちゃってたし、もっと外に目を向けないとダメかもしれないと思って。SunashやUMBERなどライブハウスに足を運んで、静岡の音楽シーンが実際どうなってるのかを見て回ったよ。
楽器をすみやで買ってくれた人たちが、その後はどういう風に楽しんでるか、どう活躍してるのかをしっかり見ていきたいと思った。
ってまったくトンガれてないけど大丈夫!? |
ロッキー | (すっげー真摯な人だけど・・・)ちょっと質問の方向性を変えてみますね! |
中古楽器についていろいろ教えて原田さん!
ということで、少し方向性を変えてみます。
夏めいてきましたが、まだまだ新しい季節ですので、楽器でも始めてみようかな〜って人もいるのではないでしょうか。
そうするとお金もあんまりないしな〜、中古にしてみようかしらん? なんて方も多いですよね。
でも、初心者であればどこで買うのがいいのか迷っちゃうはず。安いだけで選んでしまうと、そのあと思わぬ落とし穴にハマってしまうことも・・・。
そこで次のテーマは「楽器の売買について」にしてみました。
中古楽器の話になった途端キリッとしだした原田さん。トンガリ部分を見られるのか!?
ロッキー | 原田さん。最近、すみやでも中古楽器の買取と販売をやっていますよね。なぜ中古楽器事業に力を入れ始めたんですか? |
原田 | 楽器は大事にすれば100年使える。もったいないじゃないけど、使わなくなった中古の楽器やエフェクターも丁寧にメンテしてリサイクルして、長生きさせてあげたいじゃん。中古屋としてではなく楽器屋としてね。 |
ロッキー | すごく楽器への愛がありますね。100年使ってもらえるなら楽器も嬉しいでしょうね。 |
トンガリ情報①
ぜひ使わなくなった楽器はすみやへ!
※いまなら買取金額20%UPキャンペーンもやっているそうです。
めっちゃ気になった中古のギターエフェクター。
ネット通販、インターネットは?
ロッキー | いまはインターネットのオークションやショップで中古売買をすることも珍しくないですけど、これから楽器を買いたいと考えている人がこういうところで買うのはどうなんでしょうか? |
原田 | どこの誰が売っているのかもわからない、どんな状況なのかもわからない楽器を買うのってなかなか怖いと思うな〜。同じメーカーの同じモデルでも個体差があって1本1本違うからさ。 |
ロッキー | 僕、ネットでたまにベースギターを買うことありますけど、メンテナンスに出すことを前提で買ってますもん。だいたい買った金額の+3万円はメンテでかかるとみてます。 |
原田 | ネットで買うのは元値もあまり高くないような安いシリーズが一番危ないね。安いギターこそ、地元の楽器屋さんで買うべきだと俺は思う。安くてもしっかり手入れをして、セッティングすれば弾きやすいし、いい音するよ。不具合とかあっても楽器屋が責任持って面倒を見てくれるしね。そもそも弾きにくいギターを買ってもうまくならないからね〜。 |
ロッキー | おおお。ズバリですね。でも実際にそうかもしれません。 |
原田 | どうせなら上手くなってほしいし。中古楽器もちゃんとメンテナンスされた状態で、たくさんの人に行き渡ってほしいです。 |
中古ショップは?
ロッキー | では、それとは別でリサイクルショップをはじめとした中古店舗で楽器を扱ってることもありますよね。これはどうなんでしょうか? |
原田 | ネットよりはいいですかね。実際に触れるし。でもよく「中古ショップで買ってきたんですけど、まともに使えなくて」って修理がよく来ますね。
店のギターを家に持って帰ってくると、湿度が違うからギターの形はどんどん変わってくる。だからすみやでは楽器購入時に「半年後にメンテナンスするからもう1回持ってきてね〜」と言ってます。 |
地元しぞ〜かの楽器屋としてのプライド
ロッキー | 原田さんの楽器屋さんとしてのプライドを強く感じました。 |
原田 | 中古業者はものすごく安く買い取って高く売る。ひとつのビジネスモデルなんだよね。でもすみやは、中古業者ではない。いいものはいい、ダメなものはダメでプロの目でいいものをお客様にお渡ししたい。楽器屋だからまともな中古商品を販売したい。 |
ロッキー | そこまで考えている楽器屋さんって意外と少なそうですね・・・。 |
原田 | こないだ20歳くらいのバンドマンの子が「ギブソン※のアコギを買いたい」って言ってくれて、取り寄せたんだけどぜんぜんダメでさ、弾きづらくて。ギブソンに「こんなんじゃダメだよっ」て返品して、もう1本違うのを入れてもらったよ。 |
ロッキー | えっ! そこまでしてくれるんですか? |
1本だって粗末には扱わない! 楽器屋さんの店長らしい言葉。
原田 | 「その人がライブでこのギターを使うのか」って考えたときに、一番いい状態で渡してあげたい。やっぱり買ったあとが一番大切で、その人がどういう場面で演奏するのかが大事。 |
ロッキー | そのバンドマンの方は本当に嬉しかったでしょうね。なかなかそこまでしてくれる楽器屋の店員さんっていないと思いますよ。 |
原田 | とにかく夢を持って頑張っているやつをなんとかしてやりたい、っていうのが根本だよ。
本当はビジネスとしてやらないといけないけど、僕のやれる範囲のなかで、そういう人たちのために手伝えることはなんでもやろうって、本当に思ってやってます。 |
※ギブソン:すんごく有名なアメリカの楽器メーカー。
しぞ〜かの音楽シーンとまちの楽器屋さんの未来
超斬新なデザインのギター。残り1本のようです。
ロッキー | これ「トンガリ音楽」っていう連載なんですけど、ここでは静岡の音楽を考えるというのがひとつのテーマで。原田さんは楽器屋さんとして、静岡の音楽シーンがこれからどうなっていけばいいと思いますか? |
原田 | やっぱ楽器屋だし、音楽をプレイして楽しむ人の人口がもっと増えたらいいなと思う。ひとりではなく、みんなで楽める文化に育ってほしい。日常じゃなくて非日常を求めて、その日その場所に行くことで体験することができる、特別な思い出を作れる音楽のシーンが静岡で作れたらいいかもね。 |
ロッキー | ライブという「生」の大切さを、もっとアーティスト側もライブハウスも発信していけたらいいですよね。では最後にすみやはこれから、どんなお店にしたいかを聞いてもいいですか? |
原田 | そもそも楽器って生活必需品じゃないからね〜。買ってくれるだけで本当にありがとうございます。って感謝の気持ちなんだけど。
僕、楽器の前は生活必需品の家電を売ってたと話したけど、両方やって思ったのは「買った商品がその人にとって実際に役立つかどうか」っていうのが一番重要で。
すみやに行ったから、楽器を大切に長く使えてよかった。って思ってもらえるようなお店にしたいです。 |
すみや店長「原田貴久」はやっぱりトンガっていた
見た目、話し方がとってもゆる〜い雰囲気の店長、原田さん。インタビュー当初は「やばい。原田さんユルイぞ! これはトンガリ音楽として成り立つのか?」と思っていましたが、大丈夫でした。
便利な世の中で、いまはネットで簡単に楽器を買える時代。ですが、そのあと大切に使うことを考えると、地元しぞ〜かで購入したほうがお財布にも心にも優しいかもしれません。僕もアーティストとして、考えさせられるインタビューでした。
楽器に愛のある人が静岡の楽器屋さんにいるってめちゃめちゃ心強いですよね。
楽器をなにか始めてみよう〜って方! ぜひ一度「すみやグッティ本店」に行ってみてはいかがでしょうか? トンガリ音楽推進委員会は、これからも静岡で音楽を愛する人たちをみなさんに紹介していきます。
静かな岡がいつまでも騒がしくいられるように。