静岡で歩み続けたTHE WEMMER【番外編】
みんなが気になるアレコレを聞きました
こんにちは、編集部の山口です。信頼できる最高の仲間というのは、かけがえのないものですよね。
中学校の同級生で結成し、高校時代には200本以上のライブ、全国ツアーから2度のアメリカツアー。さらには、静岡市内のライブハウスをジャックして、メジャーなアーティストと地元のバンドが集う唯一無二のサーキットイベント「FEVER OF SHIZUOKA」を開催。
静岡という地方出身で、まだ20代とは思えない実績を残しつつも、「面白いことをやる」をコンセプトに走り続けるバンド、THE WEMMER。
県内でバンドをやっているのであれば、多かれ少なかれ名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。そんな3人組のバンド活動について、これまで2回にわたってお届けしてきました。
こうして振り返ってみると、彼らの11年がいかに濃密なものだったか。一見するとエネルギッシュで前に進み続けているようにも見えるのに、じつはさまざまな苦難や葛藤があったことがわかります。
「でも、まだまだ気になることがある・・・!」と、そんなふうに感じるのは僕だけでしょうか? いや、みんなそうなはず。そこで番外編として、THE WEMMERの気になるあんなことやこんなことについて聞いてきたことをお届けします。
いや、なんでふんどし履いてるの?
ときにはフロントマンとしての仕事もこなすデストロイ寿之(Dr)の衣装といえば、いまは「ふんどし」ですが・・・。
まず、とにかく気になるのがコレ。前編でも出てきましたが、彼らはもともとスーツを着てライブをやっていたバンドです。スーツでのロックンロール自体は当時流行りでしたから、それが衣装になるのはそんなに違和感があるものではありません。
が、ドラム担当のデストロイ寿之が履いているのは「ふんどし」。
もはや違和感の塊。どうしてこうなった・・・。
山口 | 長々とインタビューを受けてくださりありがとうございます。では、ここからは個人的にも気になっているTHE WEMMERのあんなことやこんなことについて聞いていきたいのですが・・・。
まずは、やっぱりアレです。インタビューの最初にもチラっと出てきましたけど、「なんでアマ(デストロイ)がふんどしを履いてるん?」というところから。 |
デストロイ | あー。そうでした。そっから始まった。 |
山口 | やっぱりみんな気になっていると思うんですよね。ふんどし。僕が最後に観たときは、スーツを着てライブをやっている時期だったんですけど、数年後にあらためて観に行ったら、赤ふんで(笑)
「なぜに!?」って・・・。これみんな気になっているんじゃないかな。 |
デストロイ | これね。きっかけは俺じゃないんですよ。 |
山口 | え? あれ? そうなの? |
デストロイ | そうっすよ! いつなったか、みたいな話になると「アメリカツアーでしょ?」ってよく言われるんですけど、これも違うんですよ。19歳くらいのころだと思うんですけど、サナッシュ※でのライブのときですね。
まず、山口さんも言ったように、いまのステージ衣装になる前に俺らはスーツでライブやってたんですけど、結構みんな無茶な動きをするもんで・・・。ヤマ(ロッキー)は、足広げながらジャンプして股が裂けたり、まっつ(松本)は腕振り回したときに脇がちぎれたりしたんですわ。 |
前編でもあげたスーツ時代のTHE WEMMER。たしかにいまも変わらない激しいパフォーマンスです。
山口 | まあ、スーツだとあんまり無茶な動きはできないよね・・・。ふつう(笑) |
デストロイ | そう(笑)それでスーツがよく壊れるから、メンバー同士で「ジャケット貸してや」やら「ズボン貸してや」っていうのが頻繁におこなわれてて・・・。そんなんしているうちに「あれ? 俺のスーツどこ行った!?」って。ある日。 |
ロッキー | そう。みんなパクッてるからもう誰のかわからなくって、アマのがなくなってるの(笑) |
デストロイ | それで、「俺の今日のステージ用のスーツどこいった?」ってまっつに聞いたら、「あるよー」って出したのが、ツレの家から持ってきたふんどし。 |
山口 | えええ。じゃあ、わりとノリというか、その場で決まったような感じだったってことですか? |
デストロイ | 出されたときは「おまえ、アホかよ!」とはなりましたけど、まあ、なんか面白いし、そもそも衣装ねえし、まあいいか。みたいな。 |
※サナッシュ:静岡市駿河区にあるライブハウス「静岡Sanash」のこと。老舗のライブハウスとして知られ、THE WEMMERも数多くのライブ・イベントで出演している。
じつはそろそろ卒業してもいいんじゃないかって思ってる
デストロイ寿之がふんどしキャラ(?)のイメージを確立させたといわれているMV。 ※下ネタ注意
山口 | とはいえ、そこからも続けて着用するわけですし・・・。スーツからいきなりふんどしってさすがに抵抗なかったんですか? |
ロッキー | あー。そういえば、最初のころって上はスーツで下はふんどしだったよね(笑)ワイシャツにジャケットで下がふんどし。このときが変わり目。 |
松本 | あったわ(笑)スーツふんどしにインしてね。インというのかわからないけど・・・。 |
デストロイ | アメリカ行っても「え? なんだお前は!」って感じの反応で。「CRAZY!!」って・・・。でも、みんな温かくふんどしを受け入れてくれるなら、それもいっか。みたいな感じですね(笑) |
山口 | メンバーとしてはふんどしについてなにか思うことがあったりとか・・・? |
松本 | いや、もう経緯的に履かせてる側ですからねー(笑)とはいえ、ふんどしじゃなきゃダメってわけでもないんで、そろそろ卒業っていうのもありだよな。とは思いますね。 |
ロッキー | そう。勢いでそのままっていうところもあるので、「ふんどしで行こう!」みたいのではないんですよね。やっぱり、人によっては「イロモノ」っぽく見られちゃうのもアレなんで・・・。 |
デストロイ | ふんどしっていうのがまた、絶妙で。なんというか、ギリギリ下品過ぎない・・・こともないですかね。人によっては。ただ、これに次ぐ衣装があれば変えたいなあと。 |
山口 | じゃあ、そのうち「ふんどし卒業ライブ」があるかもですね。 |
松本 | そしたら、切りましょう。あのふんどしの前のあれ。 |
デストロイ | それ切っちゃうとマズいやつ! |
アメリカツアーの入り口で起きた「機内食事件」
アメリカでも好評だったというふんどし。若干女性にひかれてる気もするけど・・・。
THE WEMMERの現在に大きな影響を与えた2度にわたるアメリカツアー。そのなかで、音楽に対する価値観や向き合い方にカルチャーショックを受けるわけですが、それ以外のところにも思わぬ出来事が頻発したとのこと。その代表的な例が「機内食事件」でした。
松本 | 1回目のアメリカツアーで、僕たちもはや飛行機すらはじめてだったんですけど・・・。長時間のフライトだと、機内食が出るじゃないですか。
で、海外経験のある先輩が「いいかお前ら。機内食はチキンがいい。チキンじゃないとダメだ」っていうんですよ。だから「よし。チキンだな」と。 |
デストロイ | いざ乗ってみたら、機内食がまさかの「フィッシュ オア エッグ」っていうね(笑) |
山口 | チキンがねぇ(笑) |
松本 | なのに、こいつ(デストロイ)が、もう。 |
デストロイ | 「チキン! チキーン!」
って・・・。いや、悪ふざけじゃなくて、僕まじで英語がわからないんで、あるもんだって思ってて・・・。 |
ロッキー | もう、CAさんもめっちゃ困った顔で。 |
デストロイ | 「この日本人なに言ってんだ」みたいな(笑) |
ロッキー | だから、僕が「チキンない」「チキンないよ」って小声で伝えて。 |
デストロイ | え? ないの!? みたいな。だから、「あー。じゃあ、エッグで」と。 |
山口 | エッグはどうだったんですか? |
デストロイ | あれは・・・つらかった。 |
ロッキー | じつは機内食が最後の日本食のチャンスだったんですよ。フィッシュは魚の照り焼きみたいなやつで、お米もついているんです。僕とまっつはフィッシュを頼んだからこれだけど、アマはなんかハムエッグトーストみたいなやつがきて。 |
デストロイ | 隣を見たら「え? めっちゃうまそうじゃん。・・・ええ!?」ってなりましたね。おまけにジュースは全部膝にこぼしちゃって・・・。
スタートがこれだからアメリカツアー最悪かよ、って気分でしたね。 |
ロッキーっていつからロッキーになったの?
THE WEMMERでは、ベースボーカルを務めるバンドリーダーのような存在で、その人当たりのよさから交友関係も広いロッキー。そもそも「ロッキーって名前は何が由来なんだ・・・?」と気になったこと、ないですか?
僕は気になってました。そしたら、じつはめちゃめちゃ古いニックネームだったことがわかります。
山口 | これは、僕のなかでふんどしと同じくらい気になっていることなんですけど・・・。ロッキーがロッキーになったのいつ? |
ロッキー | あ、ロッキーになったのは早いですよ。中3の2月(笑) |
山口 | え、早い。・・・あれ? でも僕の記憶では、高校時代はみんな「ヤマ」っていうニックネームで呼んでいたと思うんだけど・・・。 |
※ロッキーの苗字は山下です。
デストロイ | 僕たちもいまでも、「ヤマ」って呼んでますね。でも、たしかに最近「ロッキー」って呼ぶ人が増えた。というか、昔は「ヤマ」って呼んでた人も「ロッキー」に鞍替えしているよね。 |
ロッキー | そうだね。先輩とかも昔は「ヤマ」って呼んでたのに、いつの間にかロッキーってね。たぶん、僕たちを最近知った人だと、ロッキーじゃないと通じないんだよね。「え? ヤマって誰?」みたいな(笑) |
山口 | これ、由来はなんなの? |
ロッキー | 僕、中3の2月にはじめてサンダーバード※を買って。これ、はじめてのマイベースなんですけど。
それを弾きたくて、ひとりでスタジオに行ったら知り合いのバンドの先輩がたまたまいて、「お! お前も高校生になったらいよいよ本格的なバンド生活がスタートだな。そしたら、カッコイイアーティスト名を考えなきゃ」って言われて(笑)
あーそうっすね。って言ったら「ロッキー」って。 |
山口 | へー。名付け親はその先輩。となると、その由来って・・・。 |
ロッキー | 「ロッキード山脈」です(笑)勘違いされるんですけど映画じゃないですよ。 |
デストロイ | 山だから(笑) |
ロッキー | これめちゃめんどくさいですよ。いちいち聞かれるんで。「ロッキーってなんでロッキーなの?」みたいな(笑) |
山口 | みんな気になってんじゃないかって思う。僕、いますごくスッキリしたもん。 |
ロッキー | いや、だからこれからはここが記事になったら「mitecoに載ってるから!」って言えるから、ちょっと助かりますね。 |
※サンダーバード:Gibsonから出てる見た目も音も特徴的なベース。ロッキーは高校時代に愛用。
「でっちゃん」とは?
山口 | でいうと、デストロイ寿之っていうのも変遷があるよね。 |
ロッキー | そうそう。最初は「ゴージャスあま」だった(笑) |
デストロイ | まあ、いろいろありましたね。で、5年くらい前に、デストロイ寿之に。 |
ロッキー | ふんどしくらいの時期ですね。 |
山口 | その時期にいろいろ変わりすぎでしょ(笑)でも不思議なことにこっちは、わりとみんな本名からとった「アマ」で呼ぶよね。まあ、呼びづらいのか・・・。
初対面の人とかには「デストロイさん」とか呼ばれるんですか? |
デストロイ | あー。そうですね。呼ばれます(笑)青森の人には「ですぅ」とか・・・。あとは「でっちゃん」(笑) |
山口 | でっちゃん!?!? 完全に誰かわからない・・・。 |
まっつの幻のアーティスト名
ロッキー | まっつはずっと「まっつ」だよね。 |
松本 | そう(笑) |
ロッキー | だから、なんかフライヤーとかもちょっと悩むんですよ。ロッキー! デストロイ! んで、まっつって(笑)でも、全然いいアーティスト名が出ない。
・・・あ、そういや1回あったな。アンガス松本! |
山口 | アンガス・ヤング※から? 安直(笑) |
ロッキー | ですよね(笑)でも、ぜんっぜんしっくりこなかったんで、これはすぐボツになりましたね。 |
※アンガス・ヤング:世界的なロックバンドAC/DCのリードギター。
いかがでしょうか? 僕は長年の謎が次々と解明されて、ものすごくスッキリしました。3人で話すときはまさに気心知れた仲といった具合で、そこだけ空気がとても暖かいような。そんな雰囲気が漂います。
でも、そんなに仲がよいにもかかわらず、意外にライブや練習以外で3人が集まってご飯を食べたり飲みに行ったりすることはないんだとか・・・。
1枚目のこの写真は、この日の取材場所と同じ13アンカーズですが、撮影されたのは違う日。はじめてメンバー全員がそろって飲みにいったとのことで、その記念で撮られたそうです。
そう聞くとサバサバしたように感じますが、むしろ仲がよくて、深い友情と信頼があるからこそなんだろうな、と思わされるほっこり感。そんな仲間と一緒に続けているんだから、今後もやっぱり一緒にいるんだろうなあ、なんて思ったり・・・。
これで、THE WEMMER11周年記念のロングインタビューは終わり。知られざる彼らの過去から、いまにも残るような謎を紹介してきましたが、きっとこれから後も彼らからは「気になること」がどんどん出てくるはず。
そしたらまたお話しを伺いに行きます。3人がそろってるときに。