一時期話題となった仮想通貨「ノアコイン」ですが、そもそもノアコインがどのような目的で作られたのか、現在どんな評判になっているのか、詳しく知らない方も多いかと思います。
そこで本記事では、ノアコインの創設から現在までの流れと特徴、松林氏を含む日本人との関りも踏まえたうえでまとめました。
- ノアコインがどういった仮想通貨かわかる
- 過去になぜノアコインが話題となったのかがわかる
- 現在ノアコインがどうなっているのかがわかる
どういった目的でノアコインが作られたのか?
ノアコインはフィリピンの非営利団体「ノア財団」によって2017年に作られた仮想通貨です。
ノアコイン創設の目的は、
- 出稼ぎ労働者のフィリピン本国への国際送金をしやすくさせる
- ノアコインによってフィリピンの経済活動の発展を支援する
主にこの二つが挙げられます。
フィリピンは自国の賃金が低いことから、現在でも多くの労働者が日本などの賃金の高い国外へ出稼ぎに行っています。出稼ぎ労働者による収入は、フィリピンのGDPの約10%にもなると言われています。
しかし、出稼ぎ労働者が国外で得た収入を、フィリピン自国へ国際送金するとなると、手数料などの多額のコストから手続きなどによる手間や時間までかかってしまいます。
そこで仮想通貨「ノアコイン」を作り、使用することで、自国への国際送金のコストを減らそうというのが一つの目的でした。
また、出稼ぎ労働者の送金の問題だけでなく、ノアコインによる経済圏を設立・拡大させ、フィリピン国内でも経済を発展させるという目的もありました。
例えば仮想通貨であるノアコインをウォレットとすることで、外国人のフィリピンでの決済などをスムーズにさせ、フィリピンの観光業を発展させることや、ノアコインを公式通貨とした経済圏「ノアシティ」や「ノアリゾート」をフィリピン国内に設立することで、フィリピン経済の発展を推進させようという目標まで考案していました。
これらの経済活動を推進させ「フィリピンの貧困問題の解決する」という触れ込みでノアコインの企画は進められていきました。
ノアコインの過去の騒動について
ノアコインというと日本でも数年前に話題になりました。その流れについて説明します。
ICOの実施による資金調達
ノアアイコンは2017年初頭から数回ICOを実施しました。
ICOは「Initial Coin Offering」の略称で、仮想通貨や暗号資産の正式な発行や利用開始前に行うプレセールのことで、ここで電子的なトークン(証票)を発行・販売して資金調達する流れがあります。
元々、フィリピンの経済発展や貧困問題の解決などの、社会貢献的な一大プロジェクトということで投資家たちなどからかなり注目はされていました。
そんなICOでノアコインは広告として、
- フィリピン政府も関わる国家的プロジェクトなので信頼できること
- フィリピン国内大手の取引所であるSICとの連携が決まっていること
- キャッシュレス決済サービスのNippon Payとの連携も決まっていること
など様々な魅力的かつ信頼性のある内容を、泉忠司氏や松林克美氏などの日本人アフィリエイターが大々的に広告塔となって発表しました。
その効果もあり、ICUの実施によって日本からの収益を中心に、40億円もの多額の資金調達に成功しました。
フィリピン政府がプロジェクトの関与を否定
ノアコインを運営していた「ノア財団」は有志のフィリピン人で構成されていますが、前述したように松林氏や泉氏などの日本人が大々的にマーケティングを行っていたため、調達した資金のうちの多くは日本からの収益によるものでした。
そのためICU後、多くの日本人からノアコインに関する問い合わせがあり、これに対して在日フィリピン大使館が、
- ノアプロジェクトに関してフィリピン政府は関与していないこと
- ノアコインの事業者は事前販売に関する権限や、証券やその他証券を販売取引する権限などを持っていないこと
などを正式に発表しました。
フィリピン政府も関わる国家プロジェクトだというICUでの発表内容が虚偽であったことにより、ノアコインに関して大きな騒動が起こりました。
そのためノア財団により、ノアプロジェクトの停止と延期が決定され、出資した投資家への返金も行いました。
これが過去に日本で話題となった騒動の一連になります。
ノアコインは現在どうなっているのか?
ノアコインの現在の状況や日本円価格などをまとめました。
ノアコインの現在の状況
ノアコインはノア財団の「ノアプロジェクト」によって開発・発行されていましたが、2019年に事業売却されて現在ではプラチナム社が運営しています。
それにより現在の正式名称はノアコインではなく、ノアプラチナム(NOAHP)ですが、まだ一般的な名称としてノアコインと呼ばれることが多いです。
時間の経過と運営元も変わったことで、過去の騒動のほとぼりは冷めましたが、ノアコインの状況や立ち位置は芳しくありません。
しかし、事業運営がプラチナム社に変わって以降、ノアコインは取引できるウォレットとして「ノアウォレット」ができました。「ノアウォレット」を利用することでノアコインの保管や送受金はもちろん、活用次第ではノアコインによる買い物などを行うことも可能です。
また、ノアプロジェクトの一環として構想されていた「ノアシティ」と「ノアリゾート」ですが、現実世界でなくバーチャル上での「ノアシティ」設立の構想を現在進めているようです。
バーチャルノアシティではDeFi(分散型金融)取引を主として、デジタルパスポートも発行しています。デジタルパスポートにもランクがあり、それの応じて待遇も変わってくるのですが、現在3000人以上がデジタルパスポートを発行して、バーチャルノアシティの市民となっているようです。
ノアコインの現在の価格は?
ノアコインは、ICUでの騒動が原因で取引開始直後に暴落してしまいました。
ノアコインは最高値の時点で円価格で1NOAHP₌約3.2円でしたが、現在では1NOAHP₌約0.001円となっています。
現時点で値上がりするような動きはありません。
また現在ではノアコインの取引は日本国内の取引所ではなく、海外の取引所でしか行えません。
ノアコインの将来性は?
ノアコイン自体を見ると、チャートの流れや相場全体が下降気味なのを考えても、現時点では買ったほうが良いとは言えません。
しかし、ノアコインはノアプロジェクトとセットで生まれた仮想通貨であり、事業運営を引き継いだプラチナム社もバーチャル上でのノアシティを開発して運営を続けています。
プラチナム社は今のところ、ノアコイン運営に大きな動きはありませんが、バーチャルノアシティの開発や運営を着実に進めていけば、ノアコインの価格が上がることも可能性としてあります。
またメタバースなどといったバーチャル上のサービスが注目されるようになれば、バーチャルノアシティの発展とともに、バーチャルノアシティの通貨であるノアコインの価値が上がることは十分に考えられます。
まとめ
ノアコインについて、松林氏を含む日本人との関わりも踏まえたうえで解説してきました。
ノアコインは数年前に騒動となり、その影響で価格も下落しましたが、ノア財団からプラチナム社に事業運営が変更され、バーチャルノアシティ開発中心にノアコイン関連事業を進めています。
一連の流れを調べたところ、現在のノアコイン(現ノアプラチナム)は高騰の兆しはないものの、正式に発行されており問題ない仮想通貨となっています。
今後メタバースなどの仮想空間のサービスの開発・発展が進んでいくような流れがきた場合には、バーチャルノアシティの発展とともにノアコインの価値も上がる可能性があります。