「ふるさと自慢ができる若者が増えたら」
ドットツリー修善寺の活動を追跡してきた
前回、話が途中になってしまった「ドットツリー修善寺」について、今回はNPOサプライズ代表・飯倉清太さんへのインタビューの続きを書かせていただきます。
当時の会話に入るまえに、現在ドットツリーに入居している方たちを2件、まず紹介させてください。どちらも伊豆の資産を活かした、おもしろいアプローチを続けています。
伊豆産「白びわ」を用いた自然療法サロン「ミモザ」
1件目は、ドットツリー修善寺内の自然療法サロン「ミモザ」。
ドットツリー修善寺内にあるセレクトショップ「haco.」にて。
アロマセラピストの新田はるみさんが営むミモザには、ハマム浴でくつろげる「biwa no ha」と伊豆の職人が手掛けた作品を扱う「haco.」という店舗があります。
サロンスペースは住居内にあるとのことで、そちらにもお邪魔させてもらいました。ドットツリーは2LDKのメゾネット住宅で、新田さんは内階段の上をサロンとして使用しています。
内階段下を個人のダイニングルームとして使用。
Takashi |
ところで、ハマム浴とはどういったものですか? |
新田 |
トルコ式スチーム風呂のことで、蒸気の力で体内の老廃物を浄化する仕組みです。 |
内階段を上がると葉っぱの形をしたベッドが。
Takashi |
たしか、ハーブを使った蒸気を使うのだとか。 |
新田 |
ミモザでは、伊豆市土肥の特産である白びわの葉を使っています。名づけて「白びわ葉MAM浴」です。 |
Takashi |
白いびわ!? 聞いたことない……。 |
新田 |
日本で土肥にしかないそうで、幻の白びわともいわれていますね。びわの葉は新陳代謝の促進、腰痛、ダイエット、美肌などに有用だとされています。 |
新田さん自身で栽培している土肥の白びわ。写真提供:ミモザ
土肥と聞けば「土肥金山」しか頭に浮かばなかった私。またひとつ、地域の知られざる魅力を知りました。
白びわ葉MAM浴は男女とも利用可、30分3,800円(税別)。「haco.」では白びわのお茶や石けんの販売もあるので、おみやげ選びにもオススメですよ。
超爽快!伊豆の渓谷でキャニオニング・ツアー!
2件目は、伊豆でキャニオニング・ツアーを提供している「アドベンチャーサポート」。
代表の根岸尚宗さん(左)と奥さん。ふたりでドットツリーに入居している。
キャニオニングは渓谷を活かしたスポーツで、川の中を歩いたり泳いだり、ロープで崖を下ったりするアクティビティ。じつは私、そのモニターツアーに参加してきました。
NPOサプライズ代表の飯倉さんも参加。
いままでウォータースポーツの経験がないことから不安を感じた私は、飯倉さんにツアーのお誘いをいただいた際、一応聞きました。
Takashi |
私、体力にあまり自信がないのですが、大丈夫でしょうか……。 |
飯倉 |
ああ、体力は全然必要ない、オーケーオーケー。 |
しかし、いざ行ってみると……。
「この滝をすべりまーす」(ガイドの声)
Takashi |
えええ……(心の声) |
「そして次は、滝壺へジャンプします」(ガイドの声)
Takashi |
はーい?(心の声) |
事前の下調べでおおよそは想像していましたが、初心者でいきなりこのアトラクション。ちょっぴり勇気が必要です。水の中を歩く、泳ぐといったことで多少は体力も消耗しますが……。
まさに天然のウォータースライダー。
この爽快感で、そんなものは忘れます! もちろん自然が相手なので、注意力は必要ですが、ガイドのルール説明をきちっと守れば大丈夫。
スリリングなだけでなく、大自然を全身で満喫できるのが、キャニオニングのよさ。水の流れに身をまかせ、緑のシャワーを浴びていると、自然と一体化したような気分になります。
筆者はこの左から2番目にいます。
今回のツアーは伊豆市にある「萬城の滝」へ続く清流が舞台でした。ほかにも伊豆の豊かな自然を活かしたコースがあるので、内容はホームページでチェックしてみてくださいね。
※体験中の写真はアドベンチャーサポートより提供。
若者に気づきを与える活動
こうしてさまざまな取材を経験してみると、素敵なモノやコト、貴重な体験というのは、周りにたくさん転がっているのではないか、そう思えるときがあります。
そこで、前回のドットツリーでの会話をあらためて、思い返してみました。
地元のためにゴミ拾いを始め、現在も若者を巻きこみ、活動を続けている飯倉さん。そのなかで到達した考えがありました。
飯倉 |
多くの若者と接するようになり、地元に興味のない子が多いということを認識しました。その意味でも、この清掃活動は意義があります。
人口流出に関して、僕はもはや流出=悪という考え方に落とし穴がある気がしていて。若者が夢や憧れを抱いて都会へ出ることを、むしろ好機と考えるべきではないかと。
たとえば、世の中の仕事って、基本は営業ですよね。営業の基本は会話。たくさんの人間と話す機会があるわけで、そこに静岡の魅力を語れる若者が増えていけば、どうでしょう。
“花咲かじいさん”じゃないけど、ふるさと自慢をする若者が増えることで、外から遊びにくる人も増えていくのではないでしょうか? だからこそ、若者が地元を知る仕組みを作りたい。 |
「過疎化対策=人口流出を防ぐための施策」。私はこの流れを当然のごとく考えていました。ふるさと自慢ができる若者を増やす……この意見を伺ったとき、小さな芽が次第に枝葉を伸ばし、太く大きく育っていく姿を想像したのです。
発信の舞台にいる者として、少しでも地域の魅力を発掘していきたい。あらためてそう感じました。ドットツリーの活動追跡は、今後も続けていく所存です。続報をご期待ください。