元寿司職人が営むゲストハウス「野草や&風流」
静岡の自然とつながる“なにもしない贅沢”を
こんにちは。夏山が恋しいゆっけです。
みなさんはゲストハウスに泊まったことはありますか? リーズナブルな料金で宿泊できて、旅行者同士のさまざまな出会いがあって、現地の豊富で新鮮な情報が手に入る――。
そんなほかの宿泊施設にはない特徴がバックパッカーや長期休暇の学生にウケて、いまや空前のゲストハウスブームとも言われています。
もちろん、ここ静岡県にもゲストハウスはありますよ!
静岡県は山あり海ありの場所柄、さまざまなところでゲストハウスを見かけるんですが、僕が注目するのは自然豊かなエリア、静岡市葵区牧ケ谷にある「野草や&風流」さんです。
風流の正式名称は「バックパッカーズ風流」です。
施設内には、宿(バックパッカーズ風流)と居酒屋(野草や)が混在しています! 地元の人はもちろん旅人とも気軽に交流できるので、僕自身、地元にいながらにして泊まりに行ってしまうほど(笑)
「どうして牧ケ谷でゲストハウスを?」「住んでいる人にとって牧ケ谷ってどんなところ?」という疑問をオーナーの神谷さんに伺ってきました!
牧ケ谷の自然に囲まれた「野草や&風流」
「野草や&風流」のオーナー、神谷さん。
ゆっけ |
こんにちは。今日はよろしくお願いします。まず、風流さんのコンセプトを教えていただけますか? |
神谷 |
風流では、ゲストに牧ケ谷の自然を感じてもらいながらのんびりしていただきたいので、誰もがゆったりできる空間づくりを目指しています。居酒屋「野草や」も併設しているので、旅人と地元民の交流の場にもなっていますね。 |
ゆっけ |
僕も各地でゲストハウスを利用してきましたが、地元の方と交流できる空間はとてもワクワクします。どんなゲストさんが利用されますか? |
神谷 |
ほんとにいろいろな人・・・。千葉から自転車で来た中学生、先生を辞めて旅してる人、出張先の宿として使う人、クラフト作家さん、ミュージシャン、アラスカで会った日本人女性を追ってきた70代の外国人おじいさん(笑) |
ゆっけ |
面白そうな人ばかりだ・・・。牧ケ谷で過ごすゲストさんの反応はいかがでしょう? |
神谷 |
すごく気に入ってくれますね。自然に囲まれた場所なので、みなさんとってもリラックスしてくれています。普段、忙しくされてる方も多いと思うので、なにをするわけでもなく、なにもしない贅沢を楽しんでもらえたら嬉しいです。 |
寿司職人からゲストハウスオーナーに!?
ゆっけ |
「風流」と「野草や」という名前には、どんな意味が込められているんでしょうか? |
神谷 |
オープン当時、野草にハマっていて(笑)よく取りに行っていたので「野草や」、「風流」は寿司屋で野外出店していたときの名前をそのまま使っています。 |
ゆっけ |
もともとはお寿司屋さんなんですか!? 寿司職人からゲストハウスオーナーへの転身ってすごく珍しいと思うんですが、どんなきっかけがあったんでしょう? |
神谷 |
流れといえば流れですね(笑) |
ゆっけ |
流れ!(笑) |
神谷 |
じつは自分は、いうほどを旅してゲストハウスにたくさん泊まった人ではないんです。サーフィンしながら旅をしていましたが、車中泊のほうが多かったので。宿のことはあんまり知らずにきたというか・・・。
寿司を握っていたあるとき、ここ牧ケ谷に遊べそうな家を見つけてしまい「ゲストハウスをやろう」と思いました。この家も、牧ケ谷という場所も、完全にひと目惚れです。 |
ゆっけ |
野草やで神谷さんの握るお寿司は食べられるんでしょうか? |
神谷 |
予約をいただいて人が集まればお寿司を出しています。いまは定期的にいろんなところに呼ばれて、出張で寿司を握りにいくことが多いですね。スイス人のゲストに依頼されて、スイスまでお寿司を握りにいった経験もあります(笑) |
神谷さんが感じる静岡の魅力とは?
インタビューを続けていると、じつは神谷さんが静岡県出身ではない、ということがわかりました。おとなり愛知県から、奥さんの地元である静岡に移住して13年とのこと。続いては移住者の視点としての静岡について伺ってみました。
ゆっけ |
神谷さんが静岡に移住されて10年以上経ちますが、静岡に住んでみていかがですか? |
神谷 |
すごくいいところですね。肩に力を入れない空気感が気に入っています。静岡の人って静岡のこと好きでしょう? そんな県民性にも惹かれます。 |
ゆっけ |
はい。大好きです。いや、愛してます(笑) |
神谷 |
ほらね(笑)新幹線で通り過ぎるだけのイメージもある静岡ですが、ついでに寄れるのも静岡のよさで、お客さんのなかには「なにもしない」を目的にきてくれる人もいます。それも静岡の魅力ですね。 |
野草や&風流のこれから
ゆっけ |
これからの野草や&風流はどうなっていくんでしょうか? |
神谷 |
んーーー。あんまり考えてなくて、全くわからないといえばわからないですね。
昼間は森林整備をメインに自然活動もしているので、希望があれば宿泊者を山に連れていったり、畑作業を体験してもらったりもしています。このままのペースで宿も居酒屋も続けられたらなと。 |
ゆっけ |
自然体験もできるゲストハウスって面白いですね。ゲストにとっては貴重な経験になると思います。 |
神谷 |
どっぷりというよりも何事もほどほどがいいですよ。社会が世知辛いから(笑)ここみたいなざっくりした場所も必要だと思います。 |
ゆっけ |
最後に、神谷さんの思うゲストハウスの魅力ってなんでしょう? |
神谷 |
いろんなホテルや旅館に魅力はありますが、ホテルや旅館では宿泊者が一堂に会することはないですよね。旅人同士、旅人と地元の方、気を遣わずにさまざまな出会いが生まれること。これこそがゲストハウスの魅力だと思います。 |
普段の生活では重なるはずのなかった人生が交錯する「ゲストハウス」。人生の交差点という言葉がぴったりで、いまもこの瞬間、世界中のゲストハウスではさまざまな出会いが生まれています。
神谷さんの言う「出会い」こそゲストハウスの最大の魅力であり、引力だと思います。
出会いとは人の出会いにとどまらず、場所との出会いにも当てはまるもの。自然豊かな牧ケ谷という場所を通して普段の忙しさから開放され、「なにもしない贅沢」を味わってみてはいかがでしょうか?
淹れたてのコーヒーを味わいながら眺める朝の牧ケ谷は、息を飲むほどの美しい景色ですから。