内向的な会計士が起業で大変身!?
静岡・起業家のホンネ【第1回】
こんにちは、ライターの安藤悟です。
私は株式会社エストリンクスで代表取締役社長をしています。2012年9月に独立開業してからちょうど4年が経ちますが、同じ時代を生きる起業家は、何を考え、どんなことをしているのか、ふと知りたくなりました。
そこで、今日から「静岡・起業家のホンネ」という企画を始めます。
まえがき
初回なので、まずは簡単にこの企画を始めたきっかけをお話ししましょう。
小学生の頃、私は漠然と「起業したい」と思っていました。紆余曲折を経て独立開業しましたが、文章を書くことが好きでライターをしていたら、いつの間にかフリーライターになり、仕事が増えてきて社長になったという状況です。
では、同時代に生きる起業家はどんな経緯で起業し、仕事をしているのか。
条件
- 25~45歳の男女
- 独立後3年以内
- 静岡県在住または静岡県出身で、静岡が好きであること
- 私と趣味(音楽、文学、ボルダリング、ダーツ、サイクリング)が近い人は尚可
できれば私の状況とは極端に離れていない人がよいと思いながら、静岡で活躍する起業家・フリーランスの方を探すことにしました。
元・ひきこもりから起業した会計士さん
今回お会いしたのは、白岩会計事務所(静岡市駿河区池田)の代表を務める白岩俊正さん。1974年生まれの42歳、2013年1月に独立開業した公認会計士・税理士さんです。
学生時代は内向的な性格で、大学卒業時には就職活動に失敗して一時期ひきこもり状態になってしまったという白岩さん。にもかかわらず現在は、毎回80人程度が参加する「静岡をアツくする会」「東静岡deごみ拾い」などの異業種交流会を主催。
11月のイベントではなんとメンタリストのDaiGoさんをゲストに迎える・・・と、目立つ経歴をお持ちの方です。
会計士さんでイベンター・・・白岩さんとは、どんな人なのでしょうか?
お客様に喜んでもらえたから自分の価値に気付いた
白岩さんは大学卒業後にTSUTAYAでアルバイトをしたのち、会計士の資格を取得。その後、10年間は業界大手の有限責任監査法人トーマツで働いていたそうです。
なぜ、安定した生活を手放し、独立開業したのでしょうか?
安藤 | なぜ、白岩さんは起業しようと思ったんですか? |
白岩さん |
トーマツに勤めていたのですが、リーマン・ショック以降は監査の基準が変わり、お客様のためにおこなうはずの会計ではなくなってしまいました。監査を通すために働いていたのですが、「誰のために仕事をしているの?」と感じ、会社を退職して起業したんです。 |
安藤 | 白岩さんが思う、理想の会計業務を貫きたいということでしょうか? |
白岩さん |
そうですね。お客様のために働くほうがシンプルじゃないですか。「この人を喜ばせよう」という気持ちは、大企業よりも個人で働いたほうが満たせると感じました。 |
安藤 | 「人のために仕事をしたい」という理由が強かったんですね。 |
白岩さん |
大きい会社はお給料もよくて安定していますが、「自分は大企業の歯車だ」と感じてしまいがちです。在職中はやりがいや自分の存在意義がわからなかったのですが、起業してからは会計を教えるとお客様が喜んでくれるので、思ったよりも自分の価値があることに気付くことができました。 |
大企業を退職して独立開業した白岩さんは、お客様を通じて自分の価値に気付いたと話します。しかし、起業直後は厳しい現実が待ち受けていたそうです。
毎月100人に会って仕事が増えた
起業直後、多くの人が苦しむのはお金の問題。やはり、白岩さんもお金のことで悩んだそうです。では、どうやってお金の問題をクリアしたのでしょうか?
安藤 | 起業してから一番つらかったエピソードはありますか? |
白岩さん |
やっぱり、お金がなくなるのはつらかったですね。最初は思ったように仕事がなく、貯金を食い潰し、さらには親にお金を借りました。 |
安藤 | 私も起業直後、仕事が軌道にのるまでは家族からお金を借りました。白岩さんの場合、はじめはどんな流れで仕事をもらったんですか? |
白岩さん |
まず、学生時代の同級生、在職中にお世話になった会社の方を中心に、開業ハガキを400枚出しました。 |
安藤 | 開業ハガキを400枚出すってすごいですね! 反応はありましたか? |
白岩さん |
10~20人くらいから反応をいただき、そのうち5人くらいからお仕事をいただけました。ただ、1回限りの仕事もあったので、事業がいきなり軌道に乗ったわけではないんです。 |
安藤 | では、どうやって仕事が増えていったのでしょうか? |
白岩さん |
「毎月、100人の新しい人に会う」という目標を立て、異業種交流会に参加したり自分でイベントを主催したりするうちに、自然と人との出会い、それと仕事が増えていきました。
メルマガやFacebookも使って人との縁が切れないように心がけていたら、だんだんお客様が次のお客様を紹介してくれるようになったんです。 |
白岩さんは“紹介による仕事の獲得”によって、理想的な形で事業が軌道に乗ったと話します。さらに、起業によってお客様のための会計を実現すると、自分自身の考えも変わっていったそうです。
“みらいをつくる。みらいのために”
白岩さんは、人とのつながりをきっかけに仕事が増えただけではなく、人づきあいが好きになったと言います。どんなふうに、人づきあいが好きになっていったのでしょうか?
安藤 | 起業してから嬉しかったことはありますか? |
白岩さん | 私の事務所では「みらいをつくる。みらいのために」という理念を掲げていますが、お客様や交流会に参加してくれた人、うちの事務所の社員さんなど、私をきっかけに“みらいをつくった”と感じた瞬間が嬉しいです。
たとえば、最初は赤字だったお客様の会社が黒字になったり、社員さんが今までできなかった仕事ができるようになったりと、働いているなかでたくさんの喜びに出会います。 |
安藤 | 私の会社も広告業界の人間なので、お客様のビジネスがうまくいかないと仕事は続かないと感じています・・・。社員がスキルアップするのも嬉しいですよね。
ところで、どうして白岩さんは“未来”をひらがなで書いているんですか? |
白岩さん | 漢字で“未来”と書くと、文字や図形として認識されてしまいますよね。
ひらがなにして読み手にワンステップ置いてもらうことで、記憶に残る言葉にしました。 |
安藤 | 私も“みらい?”と、一瞬考えちゃいました。
もしかして、白岩さんって文章を考えるのが好きなんですか? |
白岩さん | 文章を読んだり考えたりするのは好きですね。ちなみに、昔は村上春樹にハマっていたこともあってか、どちらかというと内向的な性格でした(笑) |
安藤 | 元々、引きこもりの時期もあったそうですね。起業すると人づきあいが大変だと思いますが、どうしたら上手にできますか?
ちなみに、私はいまだに人づきあいが苦手です(笑) |
白岩さん | 「お客様との出会いで自分の価値に気付いた」と話しましたが、お客様から自分の価値に気付かされると、「自分にも存在意義があるんだ」と感じるようになりました。
だから、他人に会うことは元気をもらえることだと思うようになると、人づきあいが苦しくなくなってくると思いますよ。 |
白岩さんが思う起業の楽しさは、仕事や人づきあいを通じて価値を提供し、お互いの“みらいをつくる”ことなのかもしれません。
勉強すると人との出会いが楽しくなる
最後に、どうしたら起業して成功できるか、白岩さんならではの秘訣を尋ねてみました。白岩さんは起業に成功する方法について、会計士らしく具体的な数字を交えながら話してくれました。
安藤 | これから独立開業しようとする起業家の人にどんなことを伝えたいですか? |
白岩さん | 大前提として、みんなが元気よく働いて、成功してほしいと思っています。そのために、まずは本やセミナーに行けばわかることは自分で勉強しましょう。本は10冊程度読めば、だいたいのことはわかるはずです。
自分のインプット量が増えればどんどんレベルが高い話ができて、他人との出会いがもっと楽しめますよ。 |
安藤 | 起業を志すならとことん勉強すべきだ・・・とは思っていますが、どんなことを、どれくらい勉強するのがおすすめですか? |
白岩さん | 経理や営業、マーケティングなど、起業して成功するための実用書を読むとたくさんの「成功のコツ」が書いてあります。でも、100人いたら20人しか実践しません。
さらに、一定期間続けるのは4人で、やり抜くのはたったの1人です。だから、起業に関することを積極的に勉強して、実践し続ける人間になったら、きっとうまくいくと思います。 |
安藤 | 続けることが起業のポイントなんですね。最後に、白岩さんご自身の今後の目標はありますか? |
白岩さん | 2022年までに、成長著しい東南アジアに進出するお客様をサポートできる存在になりたいです。現地の人と私が出会い、将来的に海外進出したいという人に紹介してあげたら、もっとみんなのビジネスが活発になると思っています。
ちなみに、2022年とした理由は、明確な目標のほうが動きやすいからです。 |
白岩さんは、「誰かのみらいをつくることが楽しい」「人に会うと元気になれると気付いた」と、起業の楽しさを教えてくれました。
他人とのつながりのなかで働くためのヒントをもらえたような気がします!