静岡県と地元のココが違いました!
県外出身の編集部2名であるある座談会
――3月某日、とある公園にて
吉松 |
俺は島根県出身で、あおいちゃんは福島県出身でしょ。 |
馬場 |
そうです。 |
吉松 |
移住してからこれでもかっていうほど、地元と静岡の文化の違いに触れてきた結果、自分が何県人だかわからなくなってきたんだけど・・・。この気持ちわかる? ※現在は間違いなく静岡県人です。 |
馬場 |
・・・ちょっとわからないです。 |
吉松京介
1992年生まれ。島根県松江市出身。miteco編集長。大学生活の4年間を浜松市で過ごす。静岡市に住み始めてからは3年目。大好物はお好み焼き。
馬場葵
1994年生まれ。福島県郡山市出身。miteco編集部見習い。吉松と同じく大学生活の4年間を浜松市で過ごした。ハンバーグが好き。
吉松 |
今日ここに呼んだのは、その「地元との違い」についてとにかく喋りたいからで。 |
馬場 |
あ、はい。なんか少しだけ聞いてきました。 |
吉松 |
編集部のふたり(安藤、山口)は静岡市出身じゃない? だから「これ〇〇が変ですよね」って話しても「そうなの!?」という具合でとにかく伝わらないから。 |
馬場 |
はい。 |
吉松 |
よろしくお願いします。 |
というわけで、県外出身同士の編集部ふたりで、「静岡県と地元との違い」をテーマにゆるく喋ります。
静岡県と地元との違い その1「方言」
吉松 |
お互いに進学をきっかけに移住したから、大学1年生のときとかびっくりしやすかったんじゃない? ベタなやつだと方言とか。 |
馬場 |
ああ。わからないことありましたね。 |
吉松 |
なにがわからなかった? |
馬場 |
横断歩道で青信号がチカチカしてるとき、「ほらとんで!」と言われて「いや、飛べませんけど・・・」って。これ「走って、急いで」という意味らしいですね。 |
吉松 |
ああ、とんでか。たしかにまったくわかんなかったなあ。 |
馬場 |
あと筆記用具買ったとき、「それ、ばかかわいいじゃん」って言われて。「褒められているのか? けなされているのか?」と混乱しました。 |
吉松 |
(笑)静岡県の「ばか」は、標準語でいったら「すごい」の意味合いだっけ。同じ使い方で「ど」もあるけど、「どすごいね」とかはじめて言われたときは、「ど、ど、どすこい?」って。 |
馬場 |
(笑)「ど」もわからなかったですねえ※。でも私、こっちの方言はかわいいなって思います。福島はぜんぶに濁点がつく感じだったから。 |
吉松 |
ふ゛く゛し゛ま゛みたいな? |
馬場 |
まあ、そういうことですけど(笑) |
※静岡県で育った編集部員によると、「ばか〇〇」は静岡市をはじめとした中部、「ど〇〇」は浜松市をはじめとした西部地方に多い強意表現らしいです。
静岡県と地元との違い その2「街中でラッパが鳴る」
馬場 |
お祭り好きなのもそうですかね。静岡県というかとくに浜松ですか。「浜松まつり※」の期間中はとにかくすごい。開催の1か月~2か月前くらいから、そこら中でラッパが鳴りはじめますし(およそ毎年3月下旬~5月上旬まで)。
※浜松まつり:毎年ゴールデンウィークの3日間を使って開催される浜松最大級のお祭り。例年5月3日~5日に開催。 |
吉松 |
それ、朝から夜まで鳴ってる。住み始めたばかりのときは「近くに球場あったっけ? 野球の応援か?」みたいに思った。 |
馬場 |
私も応援かと思ってました。こういう賑やかなまちなのか、と。 |
吉松 |
本当は野球の応援じゃなくて、凧揚げとか練りで使うラッパの練習なんだよね。 |
馬場 |
びっくりでした。さすが音楽のまち。 |
吉松 |
でも正直、浜松に住み始めた当日から鳴ってただけに、「もしかして1年中こうなの・・・?」って怖くなったこともあるな。浜松まつりが終わってパッタリ鳴りやんで、ほっとしたことをいまでも覚えてる。 |
馬場 |
あるあるですね(笑) |
吉松 |
住み始めて2年目までは音にビクビクするけど、3年目くらいで慣れてくると「今年もそんな時期か~」と風物詩のように思えるのも? |
馬場 |
あるあるです。 |
吉松 |
よかった。 |
静岡県と地元との違い その3「県内の対立構造」
馬場 |
「浜松市と静岡市のどちらが栄えてる?」って争いは、本当にあるんでしょうか? 福島県ではそういうのがあまりなかったので。 |
吉松 |
よく聞くね。俺も地元ではまち同士の対決みたいのはなかったな。 |
馬場 |
でもやっぱり静岡市ですよ。駅前の栄え方が違う。 |
吉松 |
(笑)でも静岡市は商業のまちで、浜松市は工業のまちだから、華やかさで静岡市のほうが栄えてる、っていう印象になりがちじゃない。 |
馬場 |
競い合ってるところが違うってことですか? |
吉松 |
そもそも同世代のなかで、「浜松のほうが都会だ!」とか「静岡のほうが都会だ!」って争っているところを見たことがないな。 |
馬場 |
あ、たしかに見たことがない! じゃあ、本当はないんですかね。 |
吉松 |
いや、どうだろう。上の世代は争っているのかもしれない。大学時代の教授が「昔の浜松は駅前に松菱※があってね、すごく栄えていたんだよ。いまは少し活気がなくなってきたけどね」と話してたことがあるんだけど・・・。
当時だったら駅前も同じくらいの栄え方をしていたのかもな、と思う。だから当時の状況を知ってる世代と俺らくらいの世代では、対立構造への考え方は違うんじゃないかな~って。まあ、要調査です。
※松菱:かつて浜松駅前の一等地に存在した大型百貨店。 |
馬場 |
気になる・・・。要調査です。 |
静岡県と地元との違い その4「出身地の言い方」
馬場 |
これは外せないんですけど、静岡の人は自己紹介のとき、出身地を市で答えがちですよね。「静岡市です」とか「掛川市です」とか。 |
吉松 |
あれは不思議! 自己紹介の相手が県内の人だとわかったうえで「〇〇市出身です」ならわかるけど、お互いの素性を知らない初対面の段階で言われることも多い。 |
馬場 |
ですよね。大学に入学してから出身の話になったとき、私が「福島県出身だよ」って言うと、「え~すごく遠いところから来たんだね。私は焼津なんだ~」とか。「え、焼津とは・・・?」ってなりましたね。 |
吉松 |
(笑)ずっと静岡県で暮らしてきた人に多い気がするな。 |
馬場 |
たしかにそんな気がします。 |
吉松 |
でもこれ、すごくあるあるではあるんだけど、静岡ならではの話なんだろうか・・・。「地元で育った人あるある」な気もしてきた。 |
馬場 |
ああ、そうなんですかね。静岡県は大きいから市で言ったほうがわかりやすいから、なんて思ってましたけど。 |
吉松 |
それはあるかも? でも地方だと高校までに他県の人と話すことはほとんどなくて。だから大学に入ってからもそのままの感覚で話しているとすれば・・・。まあ、これもわかんないな。調査しましょう。 |
馬場 |
はい。調査です。 |
編集部の他愛もない話はここまで。みなさんのなかにも「あるある」という話を持っている人がいれば、次は一緒に話してみたいですね。
さて静岡県はかつて、遠江国、駿河国、伊豆国の3国に分かれていた地域です。それだけに文化的モザイクといいますか、西部、中部、東部で方言はもちろん、文化もまったくに異なります。
たとえば「ラッパが鳴ること」について、浜松市以外の県民はピンとこないでしょう。また「今日も富士山がきれいだな」という話だと、西部の人はほとんどピンときません。なんせ見えないので。そのくらいの違いがあるわけです。
そんなことを県外者の目線から、今後とも掘っていきたいと思います。そうすれば中からしか見えない、静岡らしさが浮き彫りになってくるかも、とかなんとか。