暮らしがわかれば静岡移住も怖くない!?
東京でふるさと回帰支援センターに電撃取材

  • posted.2016/09/01
  • 安藤悟
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暮らしがわかれば静岡移住も怖くない!?  東京でふるさと回帰支援センターに電撃取材

いま、静岡県への地方移住に憧れる人は多い。しかし、静岡のどこに住むか、暮らしはじめてからの収入と生活費のバランスなど課題は山積みだ。静岡県への地方移住に関する課題と解決策を伺うため、私、miteco編集部の安藤が東京のある場所へ足を運んだ。

静岡市へ移住したいのは30代のUターン希望者!?

移住支援2ショット

東京都千代田区にある「認定NPO法人ふるさと回帰支援センター」は、東京交通会館のビル内にある地方移住の支援団体。ここには全国44道府県の移住情報と相談ブースが集結しており、各地の移住相談が可能だ。

静岡県と静岡市の移住相談ブースもある。静岡は全国でも人口流出が顕著であり、移住相談に訪れる人の実情は気になるところだ。まずは、静岡市の移住相談員を担当する大林さん(写真左)と西野(写真右)さんからお話を伺った。

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安藤
さっそくなんですが、どういう人が移住相談に訪れるんですか?
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大林さん
私たちのブースに来る方は30~40代が過半数を占めています。
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安藤
“20代の若者は地方移住に関心が高い”という調査データがありましたが、30~40代の人が多いんですね! どうして30代から40代が多いんですか?
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大林さん
子育て環境、マイホーム、親の介護など理由はさまざまです。「東京で社会人をしているけど、いまの生活に疲れちゃった」という悩みも時折聞きます。

 

進学や就職の都合で上京してから十数年くらい生活したあと、静岡にUターンしたいと考える人が多い印象です。

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安藤
若いときは東京に憧れを抱いていたけど、大人になると“忙しすぎる街”だと感じた……。そんな人も多いんでしょうか?
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大林さん
そうですね。静岡は都会過ぎず田舎過ぎない街なので、東京よりも一つひとつの情報を大切に扱えるのではないでしょうか?

 

生活する上では、情報過多、人口過多の東京より適度なところが好まれるのでしょう。

静岡の魅力は幕の内弁当状態!?

西野さん

静岡から進学、就職のため上京し、ライフステージに変化が起きた。そんなきっかけで地方移住をしようと考える人が多いようだ。では、静岡県出身者以外の反応はどうかと尋ねてみると、西野さんから意外な反応が返ってきた。

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安藤
静岡出身の人たちがUターン移住するのはわかりました。ほかの地域出身の人たちはどうなんでしょうか?
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西野さん
静岡県外出身の人たちからは「静岡はアクセスもよく、食べ物もおいしいし気候もいいから住んでみたい!」と思われています。

 

当センターでの移住希望地ランキングでも静岡県は4位と人気がありますし、最近は移住先として、静岡市も該当する地方都市を考える方も増えてきています。

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安藤
静岡県や静岡市は地方移住で人気なんですね。どんなところが魅力なんでしょうか?
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西野さん
富士山に駿河湾――山、海、川と自然に恵まれ、水もきれいだし、新鮮な魚や、お茶、みかんに代表される農作物に加え、都市としての便利さも兼ね備えています。

 

ただ、贅沢な悩みでもあるのですが、いろいろあるけど「コレ!」というものがない感じなんですよね。

 

静岡の魅力って幕の内弁当みたいな感じで、“バラエティはあるんだけど、メインディッシュが分かんない”って思われがちなところがあります。だから私たちは、派手ではないけど豊富にある日常の魅力を伝えるようにしています。

地方移住の難しさ。理由は収入の壁!?

大林さん

さらに、大林さんと西野さんは“静岡市が抱える大きな課題”として、仕事選びの難しさを教えてくれた。

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大林さん
魅力が伝わりづらいのも静岡の悩みなんですが、転職先選びが難しいこともネックなんですよ。
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安藤
静岡は求人募集の数が少ないんですか?
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大林さん
いえ、求人募集の数は十分にあるんですが、例えば東京で年収600万円だった人たちが、その収入をそのまま期待すると条件に該当する求人は少なくなってしまいます。

 

事実、静岡だと年収400万円か、それ以下の収入になってしまうこともあるのです。奥さんと子どもふたりで暮らす場合、「生活できないのでは?」と不安に思う方もいますね。

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安藤
年収400万円は静岡の平均年収なので、生活していけそうな気がするんですが、難しいんですか?
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大林さん
首都圏より収入は下がるのに、家賃は東京都内と静岡市で期待するほど大きな差はないですからね。とはいっても、不動産物件は探しようなので、こちらで物件探しのお手伝いをすることもあります。

 

移住を検討している相談者の方には、事実をお伝えし、すべての条件が整うわけではないなかで、何を大事にするか、移住の目的をはっきりさせてもらうよう努めます。

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安藤
東京から静岡へのUターン移住者は、静岡の企業からの人気が高くて、キャリアアップ、ひいては収入アップできるという印象はあるんですがどうでしょうか?
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西野さん
もちろん、そうお考えになる企業もあると思うのですが、すべての企業がそうというわけではありません。求職者側にも見合う能力があること、タイミングなどお仕事のマッチングは簡単ではありません。

 

移住が伴うとなるとなおさらです。「それでも静岡に」と思ってくださる方々に心からのエールを込めて、ふたりで相談対応しています。

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安藤
厳しい現実を乗り越えなければならないんですね・・・。
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大林さん
そうなんですよ。簡単なことではありません。しかし、静岡であれば、東京にある仕事を変えずに、新幹線通勤という形で移住することも可能ですし、お給料だけで計れない価値を優先させ移住を決断するケースもあります。移住後の生活設計とライフスタイルが決まれば地方移住は成功するはずですよ。

リアルな静岡県民の意見と相談者目線での話ができる!

県職員の2ショット

大林さんと西野さんとのインタビューのなかで、静岡市へ地方移住する難しさが分かった気がする。そろそろ失礼しようかと思った矢先、隣にある静岡県の移住相談ブースでは、静岡県への移住を希望する女性のカウンセリングが終わったようだ。お話する時間は少なかったが、移住相談ブースの移住相談員ふたりと名刺交換をさせていただいた。

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宮嶋さん
今日は静岡からですか? (安藤の名刺※を見ながら――)ロックバンドやっているんですね。
※安藤の名刺のキャッチコピーは「会社でもロックバンドでも、静岡のトップランナー目指します!」だ。
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安藤
そうなんです。あ、宮嶋さんも静岡の方なんですか?
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宮嶋さん
私も静岡県出身です。浜松市生まれですが、県内7カ所に住んだ経験があります。
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安藤
すごいですね!  荒井さんも静岡の方なんですか?
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荒井さん
私は静岡県出身じゃないんです。でも、静岡県外の出身者だからIターンしたいと思う人の気持ちがわかるので、相談者さんの目線でアドバイスできると思いますよ!
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安藤
静岡県外の相談員さんって意外でした。たしかに、実際に暮らしている人の声と、県外出身の人の意見はどちらも大切ですよね。ところで、相談者さんとの話は1時間くらい続いていたようですが、いつもそんなに長いんですか?
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荒井さん
1時間か2時間くらい相談することは珍しくないですよ。同じ人が何回も相談に来ることも多いです。時間はかかりますが、簡単に決められるものではないと思います。私たちがアドバイスできることもあるので、ぜひ自分たちに合った暮らし方を見つけてほしいです。

“ブーム”のような色合いが強い地方移住だが、実際には人生を左右する大きな決断だ。だから、彼女たちはさまざまな視点から静岡を取り上げ、メリット・デメリットを隠さずに移住を検討する相談者の方に伝えている。

東京から移住するにあたっての難しさもあるようだが、静岡人のライフスタイルをイメージしてもらうことが地方移住を成功させるカギになるかもしれない。

認定NPO法人ふるさと回帰支援センター

住所:〒100-0006 東京都千代田区有楽町2丁目10-1 東京交通会館
電話番号:03-6273-4401
営業時間:10:00~18:00
アクセス:JR山手線有楽町駅直結
定休日:月曜日・祝日