自宅の一部をオフグリッドにした浜松のお宅
母から子どもに贈る自家発電の暮らしとは

  • posted.2016/11/20
  • オオイシマオ
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自宅の一部をオフグリッドにした浜松のお宅 母から子どもに贈る自家発電の暮らしとは

電力を自給自足する「オフグリッドの家」の記事を通して、「興味は湧いたけれど新築を建てる予定もないし、いますぐ建て替えることは難しい・・・将来的には・・・」と感じた方も少なくないのではないでしょうか?

じつは筆者もそのひとりです。

そこで、自宅の一部を「オフグリッド(自家発電)」にして、その暮らしを満喫しているとウワサの浜松市浜北区在住の川嶋さん宅を訪ねました。

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川嶋さんご一家は、ご夫婦と3人のお子さん(小4女の子、中1男の子、高3男の子)の5人家族。

自宅で子ども音楽教室「ぽっかぽか♪みゅーじっくらんど」を営むパワフルなお母さん、川嶋弘美さん(以下、弘美さん)にお話を伺ってみます。

子どもたちのためにできることを

川嶋さん

川嶋さん宅では2006年にソーラーパネル(1.8kw)を屋根に設置、2013年には小型発電機(300w)を取り入れ、それぞれを使い分けていると言います。

3人の子どもたちをはじめ、未来の子どもたちのためによりよい環境を残していきたいと考えた結果、いま自分たちにできることとして、持続可能な自然エネルギーである太陽光発電を取り入れるという考えに至ったのだそうです。

弘美さん

弘美さん

太陽光発電を我が家でやろう!と決めてから、500円貯金をして資金の一部を支度していたときにセールスが来て・・・。じゃあ、ソーラーパネルをつけようか!となりました。

一方で、自家発電するうえでこんな気持ちもあるといいます。

弘美さん

弘美さん

自宅屋根で自家発電をして作られた電気の余剰分を、できるだけたくさんの人たちと分け合いたいのに、ご近所数件分で発電した電気は送電ロスによって失われてしまうんです。

 

発電している時間帯にご近所さんがいなければ、そのまま電気が消えてしまう・・・もったいないなあって。それなら蓄電はどうだろうと思っています。

※送電ロス:発電した電気を送るなかで、電力の一部が失われてしまうこと。

大活躍! DIY小型発電機

屋根での自家発電について、「ロスはあるけど、自宅で発電した電気を使えていることには満足している」という弘美さんにはもうひとつ、とっておきの発電機があるそうです。

小型発電機

それが、この小型発電機。3年前に参加したワークショップで制作しました。

制作費は5万円。これだけで熱を作る家電(IH、アイロン、電気ポット、炊飯器、ホットプレートなど)以外のパソコンの電源、扇風機、コピー機、子ども用キーボードなどが使えるそうで、「これは元がとれた!」と思うくらい大活躍だとか!

十分に蓄電ができているときには、日が落ちてからも携帯3台分の充電ができ、また晴れた日にはパソコンや携帯を充電しつつ、ミシンで裁縫を楽しみ、さらにラジカセで音楽も聞けるそうです。

これだけできれば楽しい1日が過ごせそうですね。

バッテリー

写真中央の黒い箱がバッテリー。右下の器具にあるランプで発電状況や蓄電量がわかり、左上の器具でUSB端子×1口、コンセント×2口を直接取ることができます。

弘美さん

弘美さん

蓄電量が信号機のようなランプでわかります。蓄電量が少ない状態で使い続けてしまうと、消耗が激しいようなのでチェックしながら使っています。ちょっと手がかかるけど、そんなところが人間味があってすごくおもしろい!

太陽の恩恵を最大限に楽しむ

太陽光発電は日照時間や太陽の向きで発電量が変わります。

川嶋さん宅では、小型発電機のソーラーパネル部分を朝は東に向けて、太陽と一緒に西に向けていくことで効率よく発電を行っています。

ソーラーフードドライヤー

その際に、「ソーラーフードドライヤー」という天日で乾物を作る食品乾燥機を一緒に設置しておくと、おいしい副産物も楽しめるのだそうです!

川嶋さん

弘美さん

弘美さん

上ではドライフードができて、同時に発電もできるなんておもしろいでしょう! 今日は干し芋を仕込んでおいたの。子どもたちも大好きなおやつなのよ(パクッ)やっぱりおいしい〜!

丁寧な暮らしを楽しみながら

浜松市内の2軒のお宅を訪ねた今回の取材では、持続可能な発電方法や環境問題への取り組みを知るとともに、母親から未来の子どもたちへ贈る想いを強く感じました。

また、巨大地震の予測される静岡県では、こうしたライフラインの確保はとくに身近な課題であり、そうした場面に備えた暮らしとしても参考になったのではないでしょうか。

浜松市に限らず、地域には丁寧な暮らしを楽しむ魅力的な方がまだまだたくさんいるようです! そんな素敵な静岡県民にスポットをあてて今後も紹介してみたいと思いました。

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Writerオオイシマオ

1991年神奈川県横浜市生まれ、静岡県掛川市育ち。一冊のノートとの出会いをきっかけに、19歳でフェアトレード雑貨店を起業。現在はカフェという切り口からフェアトレードやコミュニティトレードに取り組む。2016年3月には一児の母となり育児奮闘中。新米ママライターとしても地域や暮らしを見つめ伝えていく。

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