独自の世界観のキャンドルアーティスト!
静岡・起業家のホンネ【第3回】
こんにちは、編集部の安藤です。
私は、株式会社エストリンクスで代表取締役社長をしています。2012年9月に独立開業してからちょうど4年が経ちますが、同じ時代を生きる起業家は、何を考え、どんなことをしているのか、ふと知りたくなりました。
そんな経緯で始めた「静岡・起業家のホンネ」という企画の第3回目です。
パラレルワークで活躍するキャンドルアーティスト
今回お会いしたのは、静岡県静岡市を拠点に活躍する、キャンドルアーティストの佐野絵里加さん。2009年にキャンドルブランド「mahamaya」を立ち上げたあと、一度お休みを経て、いまはパラレルワーカー※というスタイルで活動中です。
キャンドルは、ホームパーティやキャンプ、入浴時などのリラックスタイムに使うおしゃれなアイテム。さらに、結婚式やお祝いごとのプレゼントとしても人気のようです。
じつは、私の高校時代の同級生なので、少し砕けた形ですがお話を伺いました。「アートのイメージはあったけど、どうしてキャンドルなんだろう?」と疑問に感じています。
※パラレルワーカー:会社員以外にも複数の仕事を持つ人
イタリア旅行中にキャンドルに出会う
佐野さんは、どんな経緯でキャンドルアーティストになったのでしょうか。まずは、キャンドルとの出会いから教えてくれました。
安藤 |
お久しぶりです(笑)学生時代から、デザインの世界で活躍したいって話をしてたよね。 |
佐野 |
そうそう。元々、グラフィックデザイナーを目指していて。美術系の大学を目指していたんだけど受験に失敗して、いい機会だから、いろいろな価値観を学ぶためにイタリアに行ったんだ。
イタリアを選んだ理由は、空間デザイナーをしていた親戚のおじさんの影響で。そのおじさんはイタリアがすごい好きで、「成功したらもっとイタリアへ行きたい」とよく話していたから。 |
安藤 |
あっ、そうなんだ。それは、デザインを勉強するために? |
佐野 |
アートの勉強をしようと思って、モノづくりのために海外って感じで(笑)それで、イタリアの街中を歩いていると、ファッションひとつ見てもまるで違う。それに、夕暮れ時になるとホームパーティなどで当たり前のようにキャンドルが置いてあって、「いいなぁ」と思って。 |
安藤 |
じゃあ、日本に帰ってきてから勉強したとか? |
佐野 |
ぜんぜん。インターネットで調べながら独学でキャンドルを作ってみたら、「絵を描くよりも面白いなぁ」と思って。 |
安藤 |
へぇ、独学なんだ。じゃあ、絵よりキャンドルのほうが面白いと思った理由は? |
佐野 |
キャンドルは自然な色合いや透明感が出せるのがいい。キャンドルが空間にあるとホッとするし、安心感や開放感を与えてくれる気がする。 |
キャンドルの魅力は共通意識
イタリアの街中で、キャンドルに魅せられた佐野さん。どんなよさがあると感じたのか、もう少し深く聞いてみたいと思いました。
安藤 |
キャンドルって、佐野さんから見てどんなモノ? |
佐野 |
空間デザインの役割を果たしてくれるモノかな。 |
安藤 |
なるほど。ほかにはある? |
佐野 |
内面的には「共通意識」っていうのかな? それを思い起こさせてくれるモノかな? |
安藤 |
共通意識って? |
佐野 |
すっごく簡単にいうと、誰に聞かなくても、みんなが生まれつき持っているモノ。 平和の意識。共同体意識。いまより成長して、進歩していきたいっていう、命の意識かな。
感覚的で、スピリチュアルな話になるんだけど、ヨガをやったときの感覚に似てる。 |
安藤 |
ヨガ? |
佐野 |
私は、22歳のときにヨガをやっていたんだけど、ヨガをやることで自分の身体の状態と、それ以外に、自分の内面と自分とほかとの繋がりを、今までにないくらいに感じることができたんだよね。
インナーピース(内なる平和)っていうのかな、そういう純粋な部分を思い出させてくれるというところで、キャンドルも似ていると思うんだよね。 |
安藤 |
なるほど。じゃあ、ヨガで自分の心身の状態を知るというところが、キャンドルと似てるってことかな? |
佐野 |
キャンドルは私にとって、かわいい、きれい、オシャレ、だけじゃなく、そういう存在かな!
ヨガみたいに身体を動かさなくても、灯してある空間にいると心穏やかになって、喧嘩や言い争いもしたくなくなる雰囲気を作れるところも、キャンドルのすごいところだと思ってるよ(笑) |
安藤 |
へぇー! ちなみに、ヨガっていうとフィットネスみたいな感じがするけど、違うのかな? |
佐野 |
シヴァナンダ・ヨガって言ったかな。心と体の調和をはかることを目的にしているんだけど。1年くらい習ってたよ。 |
「共感してくれる人に届いたら一番嬉しい」
アーティストとして、佐野さんがキャンドルに込める想いを聞きました。では、キャンドルアーティストを仕事と考えたとき、どのような想いがあるのでしょうか。
安藤 |
佐野さんが思うキャンドルの魅力って、少し寂しさでもあるね。 |
佐野 |
「なくなるものを買う人なんているのかな?」ってたまに思うのは、少し寂しくなるかな(笑)でも、キャンドルを取り入れたら時間がハッピーになったらいいかなって。 |
安藤 |
キャンドルを取り入れた時間がハッピーに・・・か。ちなみに、どんなキャンドルを作ってるの? |
佐野 |
たとえば、こういうのかな。 |
佐野 |
このキャンドルって香川県へ旅行したときに、海岸に藻みたいなものがたくさんあって。それがあまりキレイだったから、思い出しながらこれを作ったんだよね。
インスピレーションを受けてキャンドルを作るのも楽しいし、それがほかの人に共感されるのも嬉しいかな。 |
自分のキャンドルが作れないのが苦しい
佐野さんの人生観を表現するキャンドル。だからこそ、自分が作るモノとお金について悩んだ時期があったそうです。
安藤 |
キャンドルを作るときの気持ちはわかったけど、いままで大変なことってあった? |
佐野 |
お客さんから注文をもらったとき、折り合いが付けづらいことがあったかな。 |
安藤 |
折り合いと言うと。 |
佐野 |
「私が作りたいモノじゃない」ってこともあるから。でも、仕事という面もあるから、自分の気持ちとのバランスが苦しくなって一時期、作るのを辞めちゃった。 |
安藤 |
そんな時期もあったんだ。 |
佐野 |
いまは、「売れたら売れたでラッキー」「好きなものを作ろう」って考えだからやりやすい。キャンドルを作ったらSNSで発信して、「欲しい」って言ってくれる人に買ってもらってるのがいいのかな。 |
未来を想像(創造)するキャンドルブランド
モノを売るより、アーティストらしく、作品づくりにこだわることを選択した佐野さん。さらに、ひとつのキャンドルに込める想いは、ブランド名にも深く根付いているようです。
安藤 |
すごくプリミティブというか、佐野さんの考えって、いまの時代の人たちが求めてる気がする。・・・ところで、「mahamaya」ってブランド名にもそういう想いがあるの? |
佐野 |
mahamayaって古代インドの哲学の考え方なんだけど、サンスクリット語で「この世は大いなる幻想」という意味なのね。 |
安藤 |
うんうん。 |
佐野 |
幻想って普通の人からすると、フェイクとか夢物語のようなイメージがあるかもしれない。でも、私は「想像すること、そして、創造すること」って感じたんだよね。それに、最近はいろいろな意味があると知って。 |
安藤 |
それはどんな? |
佐野 |
たとえば、マーヤーはヒンドゥー教の女神でね。マハは、別の言葉で愛という意味があるとか。 |
出会いが人間性を広げる
佐野さんから、キャンドルやブランド名のメッセージ性についてたくさん聞けました。アーティストらしく生きるヒントがわかった気がしますが、最後にもうひとつ質問してみましょう。
安藤 |
過去の自分か、これからアーティストとして独立したい人にメッセージはある? |
佐野 |
自分で面白いと思ったことは、すぐに取り掛かることによって、よい縁や“気”が回ってくると思う。しかも自分の興味のあるところと興味のないと思える交流関係、どちらからも新しい考えを得ることができる。それによって、だんだんやりたいことを実現できると思うんだ。 |
安藤 |
それはどうして? |
佐野 |
一度、アーティストと仕事のバランスが取れずに、うまく行かなくて休んだ時期もあるし。
いろいろな出会いから自分の人間性が広がって、だんだんやりたいことができるんじゃないかな。だから、関係ないと思っていた人でも、話してみると視点が広がっていいよね。 |
7年ぶりに再会した佐野さんですが、以前よりも人間として、アーティストとして深みが出ていたような気がします。
ただ、独りよがりになりすぎず、いろいろな人との出会いも大切にするところは、佐野さんらしいなと感じました。現在はキャンドル以外の仕事もしている彼女ですが、クリエイティブの道で大成してほしいなと思います。
ちなみに、佐野さんですが、WEEKENDBOOKS(沼津市大岡)さんでイベントをやるようです。開催期間は11月10日(木)~13日(日)まで。
12日(土)はキャンドルイベントで1日中いるらしいので、佐野さんのことが気になった人は足を運んでみてください!