静岡の大学生って普段なにしてんの?
休学の理由が「バンド」のボーカリストについて
吉松 |
あー・・・。最近の若い人たちってなにやってるんだろう・・・。 |
miteco編集部 安藤
安藤 |
いや、京介くん(吉松)もまだ若いでしょ。24歳だし。 |
吉松 |
まあ、そうなんですけど。でもたとえば、大学生のころと比べると、いまはまったく違う生活ですよね。仕事がありますし。 |
安藤 |
そりゃそうだよ。 |
吉松 |
んー。じゃあ、大学生って普段はなにしているんですかね。ひと口に大学生っていってもいろんな人がいますけど。 |
安藤 |
・・・あおいちゃん※に聞いてみたら?
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吉松 |
いやー・・・。知ってる人だとなんとなく想像できるじゃないですか。せっかくなら全然知らない大学生に聞いてみたいですよ。 |
安藤 |
はあ・・・。わかった。ひとりだけ心当たりがあるから紹介するよ。 |
とりとめのないぼやきをしていたら、悟さん(安藤)の粋な計らいによって、まったく面識のない大学生と会うことになりました。
休学中の大学生だった!
――9月某所
紹介してもらった大学生と会う当日。「全然知らない大学生に聞いてみたい」と言ったものの、若い子と上手く話せるのかという不安感におそわれていました。たとえるなら、クラス替えで決まった新しい教室に足を踏み入れる感じです。
吉松 |
・・・こんにちは。安藤から紹介を受けた吉松です。 |
ケンヤ |
はじめまして。杉田ケンヤ(以下、ケンヤ)です。 |
吉松 |
いまの大学生って普段なにをしてるのか、っていう個人的な興味で声をかけてしまいました。 |
ケンヤ |
なんとなくは聞いてます(笑)なんでも答えますよ。 |
ああ、話しやすそうでよかった・・・。不安が少しほぐれます。
吉松 |
ありがとうございます・・・! さっそくですが、どこの大学で何年生ですか? |
ケンヤ |
一応ですけど、静大(静岡大学)の4年生です。一応っていうのも、いまは休学していまして。 |
吉松 |
え、休学中? |
ケンヤ |
あ、その辺はまったくご存じないですか? |
吉松 |
すみません。前情報がない状況で話してみたい、っていうこれもまた個人的な話で。 |
ケンヤ |
そうですか(笑)えーと、俺はバンドをするために休学しているんですよ。 |
吉松 |
え、バンドのために? ・・・もしかしてメールにあった「Keyscape」ってバンド名ですか。 |
じつは会う前、お互いの都合を合わせるために、メールで簡単なやり取りをしていました。そこで「Keyscapeのケンヤです」って挨拶してくれたんですが、僕は「Keyscape・・・? いや、調べたらいかん!」と知らないままにしていて。
ケンヤ |
・・・じゃあ、Keyscapeってなんだろ?って思いましたよね。すみませんでした・・・。 |
吉松 |
いやいや、僕が悪いんで・・・。 |
計画的なバンド休学!?
吉松 |
えーと、普段はバンドをしているってことですよね。まずはバンドのために休学した理由を聞いていいですか? |
ケンヤ |
そうですね。いまのバンドは2年半くらい前からあるんですけど、本格的に動き始めたのは1年前からなんですよ。
その間には、メンバーチェンジとかがあったんで、やっぱり時間が足らなくて・・・。中途半端なところで諦めきれないっていうか。 |
じつは僕も大学の2年間くらいバンドをやっていたので、時間が足りないっていうのはすごくわかる。
吉松 |
そうか、いまは4年生っていう話ですもんね。 |
ケンヤ |
普通に行けば卒業して就職してと、あんまり集中できないですよね。あと、自分にはいろんな時間が必要だったんで、ちょっと休んじゃおうと(笑) |
いろんな時間・・・? あとから聞いてみよう。
吉松 |
はーそうですか。休学の期間は? |
ケンヤ |
2年ですね。今年からなんで来年には就活を始める感じです。 |
吉松 |
就活は普通に始めるんですか。余計なお世話かもしれないですが、単位は大丈夫ですか・・・? |
ケンヤ |
あ、全然大丈夫です。自分の休学は計画的というか(笑) |
吉松 |
計画的? |
ケンヤ |
卒業単位は130なんですけど、128まで取ってるんですよ。130まで取ると自動的に卒業になっちゃうんで、新卒を残すためですね。 |
単位をギリギリまで取って休学するなんて。そんな用意周到なバンドマンはいままで聞いたことないです。完全に偏見の目で見てました。
吉松 |
うそ、えらすぎる。ほんとうに余計なお世話でした。 |
ケンヤ |
勉強しなさそうに見えますよね(笑)まあ、いまやりたいことを押し殺して進むのはどうかって。だったら2年という決められた時間を頑張るぞ、って自分を追い込んだ感じです。 |
休学するまで本気で考えられるバンド「Keyscape」。いったいどんなバンドなのか、やっぱり気になる。
吉松 |
Keyscapeでの担当はどこですか? |
ケンヤ |
ピンボーカルですね。作詞作曲もやってます。 |
吉松 |
あーなるほど。さっきの「いろんな時間が必要だった」が腑に落ちました。歌に作詞に作曲ってなると、それは時間が必要ですよね。 |
ケンヤ |
そうなんですよね。全部大切なんですけど、主には曲作りの時間が必要でしたね。 |
Keyscapeについて
写真提供:Keyscape
吉松 |
Keyscapeってどんなバンドですか? |
ケンヤ |
どんなバンドですか・・・。言ってみればJ-ROCKなんですけど、ギターがメタルコアが好きで、僕はポップスとかキャッチーなものが好きで、重たいものと軽いものを合わせた感じですかね。 |
吉松 |
おーなるほど。ちなみに、ここ数年でシンパシーを覚えたバンドってありますかね。 |
ケンヤ |
んーちょっとわからないですね。でも、周りの人からよく言われるのは「UVER WORLD」とか「MY FIRST STORY」ですかね。 |
いわゆるミクスチャーロックみたいな?
吉松 |
なんとなくイメージがついてきました。音源とかってありますか? |
ケンヤ |
あ、作ってますよ。最近だとMVを作ったんで、そっち聞いたほうが早いかもしれないです。 |
Keyscapeがどんな音楽をしているのか、イメージが沸かない人はこちらのMVをどうぞ。
Keyscapeの1st Single「18ways」より「NEVER ENDS(2016年8月公開)」。クオリティ高くないですか。個人的には「あ、これは本気で活動した先が見たい」って思いました。
吉松 |
MVも作るってもう本格的ですよね。 |
ケンヤ |
僕としては休学するくらい本気ですし、メンバーのモチベーションも高いので。ここから頑張りたいですね。 |
吉松 |
バンドとしてこれからやりたいことってあります? |
ケンヤ |
僕らは地元でライブすることがほとんどで、まだツアーとかしたことないんで、いろんな地域に行きたいなって思います。もうすぐ新しいCDもリリースしますし、それを渡しに行きたいですね。 |
吉松 |
え、CDも出すんですか。リリースはいつですか? |
ケンヤ |
10月29日です。いまちょうどレコーディングしてるところですね。 |
ケンヤくんの原動力はどこに?
写真提供:Keyscape
MVからCDまでのスパンも短くて、バンドとしてノリにのっている。あとはケンヤくんがここまでバンドにかける理由が気になります。
吉松 |
バンドに対する本気度は十分に伝わったんですが、その原動力ってなんですか・・・? |
ケンヤ |
でかいことを言うと売れたいですかね・・・でも、なんだろうな。自分が音楽で背中を押してもらった経験があるんですよ。 |
吉松 |
背中を押してもらった経験? |
ケンヤ |
たとえば休学するか悩んだとき、普通に就職することも頭にあったなかで、その背中を押してくれたのはやっぱり音楽だったんですよね。だからいまの俺は、誰かの背中を押せるような音楽をしたいって思ってるんです。 |
写真提供:Keyscape
吉松 |
そんな気持ちが根っこにあるから、こうやって前に進めているんですか。 |
ケンヤ |
全部が全部そうじゃないんですけど、軸にはあるって感じですね。たとえば高校のときに作った曲が、バカみたいですけど皆を応援するような曲で。
それを聞いた人が「元気が出るよ」とかすげえ言ってくれて、それがたまらなく嬉しくて。・・・っていう経験も自分の原動力としてはあるかもしれないですね。 |
音楽で背中を押された自分と、誰かの背中を押した自分。これが大きな原動力だったのかと納得。でも、もうひとつの原動力もあるらしいです。
ケンヤ |
あとは憧れもありますよね。ライブでめっちゃ人がいて、めっちゃ手があがるっていうのは憧れですよ。そこまでいきてえなっていう(笑) |
吉松 |
あー気持ちいいでしょうね。いまそういう状況になります? |
ケンヤ |
いろんなバンドが集まるイベントで、人がいっぱいいるなかで盛り上がるってことはありますけど・・・。ワンマンやれるほどの力はないですし、まずはそこからですかね。 |
ここからのKeyscapeがどうなるのか、まったく予想つきませんが、とにかくやりきってほしいというのが僕の願いです。
なお、ケンヤくんの休学が終わっても、バンドを続けられる目途が立っているとのこと。勝負はケンヤくんが卒業するまでかもしれませんが、もう少し長い目で見ていけるかもしれません。
とにかく、あんなとりとめのないぼやきから、こんないい話が聞けるなんて、まったく考えていませんでした。面倒なことに付き合ってくれた悟さんとケンヤくんには感謝しかありません。
・・・わりと反省していますが、その一方でこれちょっと楽しいなと。大学生が普段なにやっているかをもっと聞いてみたい・・・。