5分でわかる「お茶」のすごさ!
健康寿命が静岡県だけ長い理由はコレだった
生まれも育ちも静岡県、いまでも静岡在住。いままで一度も県外で暮らしたことがないため、純度100%の静岡が体に充満している山口です。
静岡県でおなじみのものといえば・・・。
撮影:村松高志
そうです。お茶です。静岡県内では、ちょっと郊外に行って周りを眺めようものなら、このかまぼこ型の茶畑とやたらめったに出会います。でも県外出身者の方からすると、かなり異様な光景みたいです。
吉松 |
まあ、島根にはこんなに茶畑はないですよね。(島根県出身) |
馬場 |
同じく福島にもありませんし。(福島県出身) |
だから、県外へ移住した静岡人は現地の住民と郊外を車で走らせているとき、「あれ? あんまり茶畑ないねえ」なんて言わないようにしてください。おそらく、静岡限定のギャグだと思われます。
静岡人がどれくらいお茶を愛しているのか
撮影:村松高志
静岡県が「お茶どころ」なのは全国の誰でも知っている(はず)こと。そして、多くの静岡県民は生活の身近なところでとにかくお茶に親しんでいるのも事実です。
以下、僕がこれまでに他県出身の方とお話して驚かれたこと一例です。なお、僕の主観が多分に含まれています。
山口が思う「静岡人お茶愛しているなあ」ポイント
- 多くの家庭で3食のおともにお茶を飲む
- 学校給食にお茶が出る
- 冬になると緑茶でうがいをする
どうですか? 県民のみなさんは「うんうん」とうなずき、他県民の方は「マジかよ・・・」と驚いているに違いありません。ちなみに、お茶の産地としても知られる島田市では、蛇口から冷茶が出てくる「給茶機」を小学校4校、中学校2校に設置しています。※
同市は小学校が18、中学校は7校ある自治体なので、じつに20~30%の小中学校で蛇口からお茶が飲めるというわけです。ちょっと考えるだけでもこれだけの静岡お茶自慢が出るわけですから、「調べればもっと出るかもしれない・・・」と思いました。
※出典:島田市公式WEBサイト「給茶機」
なにを隠そう生産量日本一である
「静岡県、見渡す限りお茶畑」といった手前、生産量や耕作面積について調べてみて、「少なかったらどうしよう」なんて考えたのですが、静岡県のWEBサイトを見てみたところ・・・
完全に杞憂でした。
上がそのグラフです※。
しかも生産量だけでなく、茶畑の面積も収穫量も日本一なのが静岡県。ちなみに、市町村単位で見たときには鹿児島県南九州市が年間生産量1位なのですが、県で見てみるとこの差です。じつに日本の緑茶生産量の約4割を静岡県が占めています。
※出典:静岡県公式HP「茶栽培面積」。
なんせ消費量も日本一
※出典:農林水産省「平成28年果樹及び茶栽培面積(7月15日現在)」
※出典:農林水産省「平成28年産茶の摘採面積、生葉収穫量及び荒茶生産量(主産県)」
そして作っているだけでなく、静岡県は緑茶の消費量でも圧倒的です。
2014年から2016年までの「総務省 家計調査」における品目別消費金額・消費数量の平均を計算してみると、静岡市が消費金額10,436円、消費量1,476gと日本一。2位の鹿児島市が消費金額6,823円、消費量1,375gですから、消費量では大きな差はないように感じますが、少なくとも金額はとてつもない差です。
というか、1杯のお茶を淹れるのに必要な茶葉を3gとすると、消費量自体もかなり大きな差といえます。また全国平均と比べると緑茶の消費金額は2倍以上、数量も861gなので、いかに静岡人が緑茶を作りまくって飲みまくってるかがわかります。
静岡県が健康長寿日本一だという話もお茶のおかげ??
この調査中、さらに気になる話題を見つけました。
それは、「静岡県民の健康寿命は他県と比較すると長い。これはお茶が関係しているんじゃないか?」ということ。
出典:健康日本21「健康寿命の都道府県格差の縮小について」
厚生労働省の調べによると、たしかに静岡県の健康寿命は長い。一番短いとされる大阪府と比べると1~2年の差があります。そして掛川茶で有名な掛川市のWEBサイトには、「掛川市は全国で最もがん死亡率が低い!」という言葉が・・・!
掛川市のサイトにあった表を見てみると、がん標準化死亡比の1位は掛川市。しかも、10位以内に男性は県内4市、女性でも県内3市がランクイン。これはいったい・・・。
また、ランキング上位に静岡県内の市が名を連ねており、いずれもお茶の産地であることから、がん予防効果があるとされるお茶による影響の可能性が注目されています。
おいおいおい。マジかよ・・・。
すごすぎるお茶の効果・効能
お茶とはいえ、ただの飲み物でそんなに効果が高いのか。正直、僕自身半信半疑です。それで、お茶の効果・効能についてちょっと調べてみました。
なにこれ? 詐欺食材ですか?
このほかにも資料によっては、「老化防止」「認知症予防」「糖尿病予防」「動脈硬化抑制」などなど、お茶は気になる病気に軒並み作用するような書きっぷり。
これは疑わしいと言わざるを得ませんが、それでも全部きちんとした研究機関による報告があるんです。あまりにも万能なので少しびっくりするレベルですが、それぞれの作用に関する成分は、たしかに「健康にいい」と見聞きがしたことある「カテキン」「テアニン」といったものが挙げられています。
実際に現在、緑茶による健康増進作用は世界的にも注目を集めているようで、日本でも茶カテキンを使った健康食品を見かけることも珍しくありません。これだけの効果が期待できるのであれば、静岡県内の自治体が「県民の健康寿命が長いのはお茶のおかげかも?」というのにも納得ですが・・・。
※お茶に期待できる効果は、飲用方法や銘柄、淹れ方によっても変化します。
静岡茶業協会さんにお話をお伺いしてみた
こうなってくると、お茶に詳しい方に直接お話をお伺いしたい。幸いにも静岡県はお茶に関する産業や研究がとても盛んな土地ですから、見つけることは難しくありません。
お邪魔したのは、静岡のお茶産業をまとめている団体のひとつ「公益社団法人静岡県茶業会議所」です。お話を聞かせていただけるのは、同会議所専務の小澤俊幸さん。
公益社団法人静岡県茶業会議所 専務の小澤俊幸さん
山口 | お忙しいところありがとうございます。さっそくなんですが、お茶と健康に関係があるというのは本当ですか? |
小澤 | 効果について直接的な表現は少し難しいのですが、さまざまな研究結果や統計を見てみると「そうなのでは?」という認識でいます。 |
山口 | リサーチしてみると、逆に不信感が出てくるくらいの効果が記されていて・・・。 |
小澤 | びっくりしますよね。でも、そもそも緑茶というのは「薬」として伝来したものであり、お寺さんの僧侶が中心となって広めてきた経緯も踏まえるとそれも納得。かつてはそれこそ万能薬のような位置づけで飲まれていた高級品だったという話もあります。 |
山口 | それが最近になり、科学的にも調査が進んで注目を集めるようになったということですか? |
小澤 | そうですね。静岡県や私たちでも資料をまとめておりますが、それだけで百科事典並みの厚さになってしまうほどの研究資料があります(笑)そこから裏付けされた内容をもとに冊子も配布しているんです。 |
山口 | 百科事典! それほど研究されているとは驚きです。 |
小澤 | とくに生産量の多い牧之原市や島田市、掛川市などでは健康長寿な傾向にあることも知られています。毎日の食事にお茶をおともにする静岡県民も多いですが、そうした何気ない習慣がこうした結果に結びついているのかもしれません。 |
山口 | ちなみに小澤さんも毎日お茶を飲まれているんですか? |
小澤 | 3食のおともですね(笑) |
お茶から遠ざかっているあなたへのすゝめ
お茶といえば静岡。でも、そんなにお茶=静岡なのかという素朴な疑問を解決するために始めた調査。取材も含めてわかったことは「とにかくお茶はすごい!」ということ。
でも「最近では若い人があまりお茶を飲まなくなってきている」という話も小澤さんはしていました。味が苦手な方はともかく、単純に機会がない方もいるかもしれません。実家にいるときは小澤さんのように3食緑茶と一緒だった僕ですが、これから再開してみようという気持ちになりました。
そこで少しネットで探してみたところ、県内のいくつかのお茶園は通販サイトを持っていて、直接購入できることが判明。産地直送でかつ、簡単に手に入るのでこれは便利す。たとえば、こちらのお茶園は一定金額の購入で送料無料。
「そういえば最近、全然お茶飲んでないな」という若いみなさんはぜひチェックしてみてください! それではまた。