静岡駅の地下道に現れる「フリルのご婦人」
フリフリでキュートな装いの素顔に迫る!
こんにちは。ライターの空芯菜です。
静岡県民はご存じの方も多いと思いますが、静岡駅には地下道があります。
地下道は通学、通勤、ショッピングなど、さまざまな目的で日ごろから多くの方が利用します。ということは、地下道にはさまざまな人がいるってことです。そんななかで私にはずっと気になっていた人がいます・・・。
フリフリでキュートな服装をしたかわいらしいご婦人!
地下道を通るとき何度か見かけていたんですが、いつも堂々としていて素敵だなと思っていました。私は勝手に「フリルのご婦人」と呼んでいます。
少しお話してみたいなと思い、地下道で張り込んでみることに――。
フリルのご婦人が華麗に現れる!?
いつも以上に注意深く探すこと1時間。
空芯菜 | 今日は例のご婦人に会えなかったな・・・。諦めて帰るか。 |
と思ったとき・・・私の前にフリルのご婦人が歩いてくるではないですか! まさにこれは・・・奇跡です!! ※本当に張り込み初日で出会いました。
フリルのご婦人登場! お名前は坂本さんというそうです。
空心菜 | mitecoライターの空芯菜と申します! よく地下道を歩いていますよね? いつもかわいらしい服装していて素敵だなって思っていました! |
坂本 | まぁ! そんなこと言ってくれて嬉しいわ! あなたは見る目があるわね。静岡にもそんな若い人がいるとは思わなかったわ。 |
静岡の地下道を利用していつもどこに行くの?
フリルのご婦人のトップス。ワンピースにピンクのブラウスを重ねています。バラのコサージュも素敵。
空芯菜 | 地下道でよく坂本さんを見かけますが、いつもどこに行くのですか? |
坂本 | 地下道を利用して松坂屋や伊勢丹まで散歩をしているの。離婚してひとり暮らしで誰とも話さないから、お店の店員さんたちとお話をするのが好きなのよ。 |
空芯菜 | そうなんですね。かなりの頻度で坂本さんをお見かけしますが、静岡駅の近くに住んでいるのですか? |
坂本 | そうよ。静岡駅周辺はお庭みたいな感覚ね。 |
空芯菜 | お庭か・・・! カッコイイ! 坂本さんが言うとしっくりきますね。普段はどのような仕事をしているのですか? |
坂本 | いまは定年して働いてないわよ。昔は小学校の教員をしていたの。 |
空芯菜 | え! そうなのですか!? ちなみにご年齢はおいくつですか? |
坂本 | 78歳よ。 |
空芯菜 | えええええ! 78歳に見えないです! もっと若いのかと思っていました! |
坂本 | まぁ! 嬉しいわー! |
意外と遅かったフリルデビュー
ワンピースの裾まで見事なフリフリです。ちなみに服のブランドは「ピンクハウス」。
空芯菜 | 坂本さんは、いつからフリルの付いたかわいらしい服装をするようになったんですか? |
坂本 | 50歳からよ。 |
空芯菜 | 意外とデビューは遅かったんですね! 若いころから着ているのかと思ってました。なぜ50歳からそのような服装をするようになったんですか? |
坂本 | 離婚したことがきっかけね。離婚したら、急にかわいい服装をしたくなったの。それまではフリルのない、黒の服ばかり着ていたんだけどね。 |
空芯菜 | 現在の服装とは真逆ですね。 |
坂本 | 学生時代に「黒い服が似合うね!」と言われたことがきっかけで、離婚するまで黒い服装をしていたのよ。 |
空芯菜 | そうだったのですね。意外です。 |
ピンク、赤、白のバラがあしらわれたキュートなバッグ。
そして靴、靴下も当然、フリルが付いています。
空芯菜 | 50歳でこのような可愛らしい服装をしたとき、周りの目は気になったりしましたか? |
坂本 | 最初は通行人に笑われたわ。いまでも女子高生やチラシ配りしている人に笑われたりね。でも下劣な人ほど妬むと思うの。ファッションは人に見られてなんぼだし、笑う人たちも「私みたいな服装してみなさいよ!」っていつも感じるけどね。 |
空芯菜 | ファッションは自由ですしね。地方だとなかなか理解してもらえないことも多いかもしれません。 |
坂本 | そうね。銀座や横浜、神戸に行ったときは「素敵な服装ね!」「かわいいですね!」って褒めてくれる人が多かったわ。地域によって反応は違うわね。
そういえば、いつもみたいに静岡駅周辺を散歩していたら、イタリア人に突然声をかけられて一緒に写真を撮ったことがあるわ。どんなに笑われても、素敵だって思ってくれる誰かがいるから、この服装を貫けるのかもしれない。 |
空芯菜 | 周りの目を気にしないで、堂々と自分のしたい服装をしていてかっこいいですね。憧れます。 |
本日のファッションポイントは帽子!
空芯菜 | 話は変わりますが、本日の服装のポイントを教えてください! |
坂本 | マキシン※の帽子ね。山口さんっていう83歳のデザイナーさんがデザインした帽子なの。気に入っているのよ。10年前に購入したものだけど、花の飾りは自分で取り替えたの。そのときの服装に合わせて帽子も変えているわ。 |
※マキシン(MAXIM):神戸発、創業1940年の婦人帽子専門店。
空芯菜 | 帽子を見て大事に使っているのが伝わります。今日の帽子もワンピースの色やバランスと合っていてナイスコーディネートですね! 坂本さんの好きな色は今日のような服装の色合いですか? |
坂本 | そうね。とくにピンクと白が好きだわ。あと服装以外にもこだわっていることがあるの。 |
空芯菜 | そのこだわりって何でしょう? |
坂本 | 化粧を一切しないことなの。化粧をしないほうが素肌はキレイに見えるのよ。あと自分でこだわって化粧水を作っているの。アロエはとくに保湿や美白効果があるのよ。 |
空芯菜 | 坂本さんの肌はシミが少なく、ハリがあってキレイです。このことが若さの秘訣だったんですね! |
坂本 | あとはストレスを溜めないことね。ストレスを与えるような人と一緒にいるより、自分と相性のいい人と一緒にいるほうが精神的にも肌にもいいわよ。私の経験上ね。 |
わかりにくいかもしれませんが、本当にツルツルの素肌です。
空芯菜 | 最後に、周りの目が気になって行動できない人や、自分の好きな服装ができない人もいると思います。そんな悩みを持つ方にどのようなことを伝えたいですか? |
坂本 | 人になにを言われてもいいんじゃないかしら。流行ばかり追っていてはダメよ。自分を知って、自信を持って生きることが大切だと思うの。自分を貫きなさい。 |
空芯菜 | はい! 私も坂本さんのように貫きます! 本日はありがとうございました。 |
はじめて坂本さんの服装を見たとき、驚く人はおそらくいると思います。でもどんなに通行人に馬鹿にされたり笑われたりしても、堂々と胸を張って自分を貫いている坂本さんはカッコイイです。
自分を貫き通すカッコイイ人と出会えて、静岡にもこんな素敵な人がいるのだなと気づけました。もっと自分を貫き通すカッコイイ大人が静岡に増えて欲しい。
坂本さんを見習って、私も自分を貫いた姿勢で進んでいきたいと思います!