静岡のDeepな心霊スポット【第6話】
遠州七不思議、夜泣き石(掛川市)
遠州七不思議のひとつに数えられる「夜泣き石」。静岡県掛川市の観光名所とされているが、石にまつわる奇妙なウワサが流れている。小夜の中山峠(掛川市佐夜鹿)に古くから伝わる言い伝えとともにご紹介したい。
夜泣き石にまつわる怖い話
夜泣き石のある小夜の中山峠は、箱根峠や鈴鹿峠とともに東海道の難所として知られる。徒歩で往来していた時代には、旅人にとってより険しい難所だっただろう。
まずは、夜泣き石にまつわる心霊現象報告をお伝えしたい。
その名が示す通り、夜泣き石は夜になると石から泣き声が聞こえるそうだ。声の主は決まって女性か赤ん坊だという。また、石に触れると女の霊に憑依されてしまい、呪われるという話も聞かれる。
夜泣き石の由来
なぜ、夜泣き石では女性にまつわる心霊現象が報告されるのだろうか。1805年に刊行された曲亭馬琴の『石言遺響』や地元に残る話を紐解くと、そこには悲しい話が隠されている。
その昔、菊川の里(現・静岡県菊川市)に、お石という身重の女が暮らしていた。ある日、彼女が安産祈願のため、小夜の中山峠の頂上にある久延寺へ訪れた帰り、丸石にもたれて休んでいると陣痛に襲われた(仕事の帰り途中だったとする説もある)。
陣痛になったお石は、たまたま通りがかった山賊という男に介抱された。しかし、山賊はお石が持っていたお金を奪うために彼女を切り殺してしまう。お石の霊は近くの石に憑依し、夜になると泣き声が聞こえるようになった。
里の人たちは「お石の幽霊だ」と言い、丸石を夜泣き石と名付け、恐れたそうだ。
夜泣き石の後日談
お石は山賊に切り殺されたあと、赤ん坊はどうなったのだろうか。夜泣き石の話にはまだまだ続きがある。
じつは、お石が切られたとき、刃先が石に当たったため、お腹の赤ん坊は生き延びることができたという。しばらくすると、通りがかった久延寺の和尚は赤ん坊を見つけ、寺に連れて帰った。しかし、母親がいないためにお乳をあげられず、困った和尚は水あめを作り子供を育てた。
お石の赤ん坊は音八と名付けられすくすくと成長する。あるとき、音八は「刃物の研師になりなさい」という夢を見て、研師になるために大和国へ修行に出た。
音八が一人前の研師になってから、ひとりの侍から「刀を研いでほしい」と依頼を受けた。そのとき、刃先に大きな刃こぼれを見つけた音八はその理由を伺うと、「かつて遠州の山の中で石に刀を当ててしまった」と話したそうだ。そう、侍は当時の山賊だったのである。その後、音八と侍は長年の想いを語り合い、母親の魂を休めたという。
ただし、ハッピーエンドで終わる話だけではない。別の説として言われているのは、音八が母親の無念を晴らすために名乗りをあげ、その侍を切りつけた。それに同情した弘法大師が石に仏号を付けたとされる。
石には仏号の文字らしき跡や刀傷らしき跡が残っている。もしかすると、伝説は本当なのかもしれない。
遠州有数のミステリースポットの空気を味わおう
夜泣き石は静岡県西部でも有数のミステリースポットだ。心霊スポットとしての報告もあるが、遠州の歴史や伝説を知るための一助として足を運ぶのがよいかもしれない。
今回ご紹介したのは掛川市の夜泣き石。
今後も静岡のDeepな心霊スポットを紹介していきたい。
※本記事は地元民のウワサをまとめました。信ぴょう性その他について保証するものではありません。