三種の神器と静岡市草薙って関係あるの?
草薙神社に行って感じた伝説の息づく気配

  • posted.2016/09/09
  • 山口拓巳
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三種の神器と静岡市草薙って関係あるの? 草薙神社に行って感じた伝説の息づく気配

こんにちは、編集部の山口です。

前回の記事では、静岡市清水区にある「草薙」という地名と、神話に出てくる「三種の神器」のひとつ「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」が関係あるんじゃないの? と考えた僕が古事記を読みながら調べてみた、というところまでお話ししました。

三種の神器と清水区草薙って関係あるの? 調べたらいろいろワケがわからなくなった件

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 ・・・で、けっきょく古事記を読んでもわからなかったので、とりあえず草薙神社に来てみました。

この神社は何を隠そう、ヤマトタケルを祭る神社。地名と併せて、同地で伝説上の故事が行われたことを証明する神社といってもよいかもしれません。となればきっと、それを証明する何かがあるはずです。

出だしで疑問が解決

さて、今回の目的は「この地の地名と神話に関係があるのか?」ということ。「神話に関係するものは近くにないのかな」と思って周りを見渡してみると、

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ありました。神社の由緒です。

まだ鳥居もくぐっていませんが、これを読めばだいたいのことがわかるかもしれません。

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しかも奥にそれっぽいのがいます。

・・・

とりあえず由緒を読んでみましょう。

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でも写真だと少し読みづらいですよね。ということで、できる限りそのまま写してみました。

※読みやすくするためにところどころを編集しています。

景行天皇第二皇子の日本武尊(ヤマトタケル)が東国の蝦夷(この地の悪い奴らみたいな感じです)が叛(そむ)いたので、これを平定するため吾嬬国(あづまのくに。関東地方のことで、当時は未開の地でした)に行く途中、この地で逆賊が起こり尊(ヤマトタケル)を殺そうとして原野に火を放った。

 

尊は佩用の剣(身に着けていた剣)を抜いて、「遠かたや、しけきかもと、をやい鎌の(剣に願いをこめる呪文のようなもの)」と鎌で打ち払う様に唱え剣を振り草を薙ぎ払ひ火を逆賊の方へなびかせ、尊は無事に難をのがれた地を草薙という。

 

(尊は)その後佩用されていた天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)を草薙の剣と名称を変更になり、草薙神社に神剣として奉られる。今より1860余年前である。

要約すると、この地でヤマトタケルが例の苦難に立ち会い、その後に創建されたのが草薙神社だとつづられています。

しかも、草薙の剣は一時期この地に奉納されていた!
※のちに熱田神宮(愛知県名古屋市)に移されます

これはもう、伝説の裏付けにほかなりませんね。思った以上に縁起も古かったです。

ほかにもあったぞ! 縁を示す数々のもの

由緒を見終わったあと、やっぱり気になるのは、先ほどからチラ見えしていた――

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ご存じヤマトタケルです。

少し険しい表情をしているようにも見えますが、それもそのはず。この地で絶体絶命のピンチを払いのけたわけですから、安らかな顔をしているわけがありません。

正直、この時点でだいぶ謎は解けています。だって、この伝説が根付いていなければこんなにヤマトタケルをゴリ押しした神社なんか作らないわけですよ。

でも、奥にはさらに何か面白い発見があるかもしれません。もう少し進んでみましょう。

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とりあえず社殿へ参拝しようと参道を歩きます。参道は階段が続きますが、なだらかで木漏れ日も差し込む落ち着いた雰囲気です。

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参道を上がった先の左手には草薙神社の御神木がありました!

ここにも書いてある通り、この御神木は樹齢1000年を数えるとのことです。神社成立の歴史も相まって、この地が急に神々しい雰囲気をまとったように感じました。

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そして御神木のちょうど反対側、鳥居側から入って右手には社殿への楼門が!

よく見てみると、この楼門、左右にヤマトタケルと景行天皇が鎮座しています。景行天皇は由緒の部分でも出てきましたが、ヤマトタケルのお父さんです。でも、なんで祭神であるヤマトタケルと一緒に、左右からにらみを利かせているのでしょう・・・?

あとで調べて知ったのですが、ここはヤマトタケルが亡くなったことに嘆き悲しんだ景行天皇が、息子の功績をたたえて建立した神社とのこと。だから、楼門に並んでご鎮座なさっているようです。

楼門をくぐると厳かな雰囲気の拝殿が登場

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楼門をくぐると正面に拝殿が、右側には社務所が配されています。

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神社の拝殿にかかせない立派なしめ縄と鐘もあり、ひっそりとした秘境感が漂っています。

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またこの拝殿にも、伝説をモチーフにした絵画が扁額として掲げられていました。

いつ描かれたものか、誰の作品かはわかりませんでしたが、雄々しく力強い描写からは確かに拝みたくなってしまうパワーを感じます。

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ちなみに拝殿の中をのぞいてみると、一番奥には銅鏡と思わしきものを発見。もしかしたら建立当時は、同じように草薙剣が奉られていたのかもしれません。

荘厳な雰囲気でパワーを感じられる草薙神社

このあと社殿で手を合わせて草薙神社をあとにしました。

中学生のころに感じた疑問を、12年越しに解き明かそうと始めたこの企画。草薙神社に来てみて、その由緒や佇まいから「ここでヤマトタケルが活躍した」という雰囲気を直に感じ取ることができました。

というか、(長くて面倒な古事記からイメージするよりも)最初からここに来ていればよかったです。

kusanagi_jinja_13境内の看板には周辺に集中する伝説ゆかりの地が紹介されています。散歩がてらいろいろと回ってみるのもよいかもしれませんね。

しかし、このヤマトタケル伝説が地名の由来となっているのは、ここ清水区草薙だけではありません。「焼津」という地名も、同じ話から名が付けられたと古事記に明記されています。

次は焼津市で、ヤマトタケルを同じような由緒で奉っている「焼津神社」に行ってみようと思います。

草薙神社

住所:静岡県静岡市清水区草薙349
電話番号:054-345-8426 (社務所)
アクセス:JR草薙駅もしくは静岡鉄道「草薙駅」より徒歩15分
駐車場:あり

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