中伊豆のジオサイト「達磨山」【miteco登山部】
富士山をのぞむ海原越しの眺望は圧巻!
富士登山を除けば低山を中心に攻めてきたmiteco登山部。今回も標高982mの小ぶりな山を楽しんできました。
沼津市と伊豆市にまたがる達磨山(だるまやま)という山で、登山口のある「だるま山高原レストハウス」からはこんな景色が見られます。
駿河湾に富士山、沼津アルプス、淡島などを望む絶景。ツーリングを楽しむバイカーや、多くの写真家に親しまれている場所で、店内では食事もできます。
登山道や山頂から俯瞰したランドスケープはさらなる絶景ということで、以前から登ってみたい気持ちのあった達磨山。レストランで休憩をはさみ、スタートです。
天然アセビの群生地を抜け、まずは「小達磨山」へ
達磨山に登る際に利用できる駐車スペースおよび登山口は、レストランのほかにもいくつかあります。今回はだるま山高原レストハウスのすぐ先にある「戸田峠駐車場」から歩き始めました。
伊豆半島は数十年前の火山活動により徐々に、現在ある風景や地質を形成してきたと、過去の記事で書いたことがあります※1。
達磨山もそんな「火山の贈りもの」として、伊豆半島ジオサイトに挙げられる場所のひとつ。その息吹を感じることができるでしょうか。
だるま山高原レストハウスや、戸田峠駐車場から達磨山山頂に向かう場合は、その前にひとつ越えなければならない山があり、名を「小達磨山」といいます。
その事実を知ったとき、ちょうどダルマの「顔が描かれる方」を想像しました。どうやら、駿河湾を隔てた向こう側……つまり静岡市清水区あたりからは、全体がダルマのような形に見えるらしいのです。
達磨山の名の由来は諸説あるようで、すべっても転んでもすぐに起きあがれる山、などという言い伝えもあるそうですが、定かではありません。本当にすべっても転んでもすぐに起きあがれるようなラク〜な道ならよいのだが……。
小達磨山山頂へ向かう途中は、このような天然アセビのトンネルを通ります。春になると可愛い花を咲かせるアセビ。
じつは小達磨山を登らなくても達磨山山頂へ行けるもっと楽な方法はあるのですが※2、このトンネルは小達磨山までの道中でしか見られません。マメザクラの木もあるので、登山のピークはおそらく春になるでしょう。
ここまで一本道で足場もよく、順調に歩みを進められました。30分ほどであっさり小達磨山山頂へ到着。
標高890m。ということは、達磨山山頂まであと100m程度。「楽勝じゃん!」と思っていたらその先は下り道……あれあれ? どんどん下ってしまう。
でもたしかに、本当にダルマのような形をしているなら、ここからまた下るのは当然なのですよね。しまった。甘くみていたかも。
※1:miteco「愛のパワースポット龍宮窟 伊豆半島ジオパーク神秘の秘境」を参照。
※2:次の段落を参照。
眼下に戸田港を眺めながら急登を耐えて達磨山山頂へ
視界が開けてくると、思わず走り出したくなるような景色が広がります。海側からやってくる風が心地いい。
山を挟んで反対側には、戸田峠と土肥峠を結ぶ西伊豆の稜線上に整備された「西伊豆スカイライン」が通っており、次第に道路が見えてきました。一旦そちらへ降りることになりますが、交通に十分注意して路肩を歩きます。
さて、どのくらい降りてしまったのかな。
うおお……。まだ結構ある。じつは、先ほど戸田峠駐車場以外にも駐車できるスペースがある旨お伝えしましたが、それがこのあたり。
知ってはいたものの、玄岳登山の際※に楽しようとしたせいで後悔した経験から、今回は正攻法で臨んだのでした。
残り500m。このクマザサに覆われた階段が急登でキツイ。標高の数字だけみてあなどっていると大変なことになる、という学習はすでに済ませていたつもりだったのに。
山頂への急登中、振り返れば西伊豆スカイライン。進行方向、向かって右側の眼下には駿河湾と戸田港。
ご覧のとおり、この日は急に霧が濃くなってしまい十分に見えませんでしたが、伊豆ならではの眺望はさすがです。かつての火山活動を彷彿とさせるような、大きく侵食されたような地形が印象的。
時折その景色を望みつつ、ゼエゼエ言いながら登ります。この急登、残念ながら「すべったり転んだりすればすぐに起きあがれずそのまま転げ落ちる」こと必至。……と、そんな風に考えていたら、私よりふた回りほど離れていそうな老夫婦とすれ違いました。ああ、自分が情けない。
両脚がぷるぷるし出してきたところ、ようやく山頂へ到着。西伊豆スカイラインから約20分ほどでした。
登山であまり天候に恵まれない私。今回も霧が濃すぎてろくに景色が見えません。そんなわけで過去、西伊豆スカイラインを車でさらに登ったところから撮影した写真をお見せしましょう。コチラ。
この写真右端に見えているのが小達磨山で、視界が開けていた登山道の位置も確認できます。写真左隅、写りきっていない向こう側が戸田港ということですね。
これでも十分に見事ですが、富士山も海も西伊豆スカイラインもすべて、360度を俯瞰できる山頂からの眺めはさらにすごいはず。脚をぷるぷるさせながらも登る価値あり! 歩きやすい登山道ですが、転げ落ちないようにだけ気をつけていきましょう。
※miteco「抜群の眺望を誇る玄岳へ【miteco登山部】神秘の泉?「氷ヶ池」も忘れずに!」を参照。
達磨山ハイクのまとめ
以下、達磨山ハイクのアクセスやアドバイスです。
- ライター登山日
2017年9月1日
- アクセス
伊豆縦貫道を経由して修善寺道路、修善寺ICから修善寺温泉街および「修善寺 虹の郷」方面へ向かって約30分(車)。利用の場合は修善寺駅より東海バス戸田行きで約25分、達磨山レストハウス下車(公共交通機関)。
- 往復歩行時間目安(昼休憩などをのぞく)
約1時間40分
- アドバイス
とても歩きやすいコースですが、日差しをさえぎられる場所が少ないです。昼休憩をとる場合は、日差しの弱い日なら視界の開けた場所もしくは山頂で。日差しが強く暑い日は、登山道内および山頂での昼休憩は避け、事前に済ませておくか、下山後まで我慢しましょう。
- 寄り道スポット
・修善寺虹の郷:四季の草花や西洋の雰囲気を満喫できる伊豆市のテーマパーク。修善寺温泉街からも近い。miteco掲載歴あり。
・だるま山高原レストハウス:達磨山登山口のあるレストラン。伊豆市ホームページ参照。
- 参考サイト