小ぶりでも奥深い?小笠山【miteco登山部】
森にひそむ秘境「六枚屏風」は圧巻の光景!
登山連載の第7弾。今回はエコパスタジアムで知られる小笠山へ行ってきました!
小笠山の麓「小笠神社」の鳥居前に駐車場があるので、ここをスタート地点とする。
小笠山は標高わずか264m。これまでの連載で登場した山のなかでもっとも小さな山ですが、低いからといって侮るなかれ……。その奥深くには、あっと驚く光景が待っているのです。
小笠山の眺望地は小笠神社境内!
山喜製茶組合「茶店やまき」のある交差点。ここに案内看板がある。
このたびスタート地点としたのは小笠神社鳥居前。山喜製茶組合「茶店やまき」のある場所に最初の案内看板があるので、矢印に従って進みます。車で10分ほど走れば駐車場へ到着、そこからしばらくは整備された道を歩きます。
長い階段(これがちょっとキツい)を登り小笠神社拝殿へ。山頂までの道のり、ここが唯一開けた眺望地になります。
写真を撮り忘れてしまったのですが、この反対側からは富士山も見えていました。小笠山は掛川市と袋井市にまたがっていますが、この位置から富士山が見えるというのもめずらしい。
スタートから小笠神社拝殿まではおよそ15分といったところ。そこから先は、昔の城域となっているようです。標柱や案内看板によると、徳川家康が掛川城や高天神城を攻めるために築いた砦とのことでした。
この分岐を山頂・板沢・法多山・エコパ方面と書かれたほうへ進む。
高天神城は戦国時代、徳川家康と武田信玄が攻防を繰り広げた難攻不落の名城だったそう。遠州地方には徳川氏と武田氏における争いの痕跡が点在していますが、この「小笠山砦」も歴史好きや城好きにはたまらない史跡かもしれません。
その先からところどころ、両脇が切れ落ちた細い道が現れます。下は崖なので緊張感を持って進みましょう。
この写真の右手奥に小笠山山頂の看板と三角点の標柱がある。
スタートから約30分。山頂へ到着。
前述のとおり眺望はなく、これといった特徴もありません。心なしか看板も控えめな感じ。しかし安心してください。今回の目的地はココではないのです。
険しい「六枚屏風」の裂け目に吸い込まれそう!
山頂の分岐を左へ。「法多山」方面へ進むと、さらに道は細く険しくなっていきます。アップダウンはたいしたことありませんが、落ち葉の上がすべりやすくなっているので注意が必要。
さて、表れました「六枚屏風」の看板(説明は後ほど)。そちらへ向かってズンズン進みます。途中、ロープをつたって下るところもあり、なかなかのアドベンチャー気分。
急坂を、慎重に慎重にくだります。「本当にこっちでいいのか?」と不安に駆られるほど、道が道らしくなくなってくる。……と次第に、空気が変わってくるのを感じました。なんか、ひんやりするぞ。
おおお!!
出ました。これが小笠山登山最大の目的。圧倒的な切り通しの六枚屏風です。
ゴツゴツとした岩が張り出しているさまは奇観というべきか、まるで山をまっぷたつに割ったような状態。季節は夏だというのに、ここだけ冷たい空気が流れてきます。
六枚屏風とは、砂利含みの山が雨水などによって浸食されたチムニー丈の沢のこと※。人ひとりがやっと通れるくらいの道ができており、奥行きは30mほどあります。もうまるで異世界。圧巻の光景でした。
※チムニー:柱状に走る岩壁でかつ、身体を入れられるほどの割れ目のこと。
大きな声を出したりよじ登ってみたりと、しばらくジャングル探検気分を満喫。
この小笠山、危険箇所はあるものの、同ルートなら体力的には難易度低めです。登山ビギナーでも問題ないので、ぜひ“身近な秘境”を目指してみてください。
小笠山ハイクのまとめ
小笠山ハイクのアクセスやアドバイスを以下にまとめました。車で東名高速を利用する場合、掛川ICから登山口までコンビニがないので注意です。
- ライター登山日
2017年6月17日
- アクセス
東名掛川ICから県道249号で30分(車)。※小笠神社駐車場まで
- 往復歩行時間目安(昼休憩などをのぞく)
約1時間40分
- アドバイス
掛川市や袋井市のホームページでは小笠池や法多山から歩くコースも紹介されていますが、ビギナーで六枚屏風を目指すならまず比較的難易度の低い、小笠神社前駐車場からのコースをオススメします。危険箇所もあるため滑りにくい登山靴で。
- 寄り道スポット
・法多山尊永寺:遠州三山の名刹。miteco掲載歴あり。
・アンティークカフェ ロード:大人気の秘境カフェ。miteco掲載歴あり。
- 参考サイト