奥大井の人気山「大札山」へ【miteco登山部】
広葉樹林と息をのむ絶景にうっとり!
大井川鐵道の連載記事を担当している筆者としては、そろそろ川根の山を書きたいなということで、奥大井県立自然公園内で随一の人気を誇る大札山へ行ってきました。
大札山肩コース登山口から望む眺望。
登山口ですでにこの眺望なので、山頂はさぞかし……と、期待に胸を膨らませてスタート。その様子を伝えていく前に、今回はモデルを用意したので、まずその人をかいつまんで紹介します。
この方、どこかで見たことあるなーという人もいると思いますが、mitecoで掲載歴のある飲食店のオーナーです。私が登山記事を書いていることを話したところ「わたしも行きたい」となって。
あのベトナムハンモックカフェの、タン・トゥーさんです。
(登山とか絶対ムリだっぺ……というかハンモックで遊びたいだけなのでは)。
私の脳裏をよぎる一抹の不安。大札山を選んだのは「極めて初心者向けのコースがある」というわけもあってのことでした。というのも、登りで約40〜50分の楽々コースなのです。
大札山にはヒノキ林からブナやカエデの広葉樹林も
大札山肩コース登山口。駐車場とトイレがある。
山頂へ向かう登山ルートは4つあり、このたび選んだのは「大札山肩コース」といって、もっとも一般的なコース。大札山の標高は1,374mと決して低くない数字ですが、このコースは登山口まで車でかなり登るので、脚で登るぶんはたいした距離になりません。
最初はヒノキ林のなかを歩き、次第にブナ、カエデ、ヒメシャラなどの広葉樹林帯へ、あたりの景色は変化していきます。
木に名札が掲げられているものもいくつか見られました。こういうオプションは初心者の私には嬉しい。
道に迷いそうなわかりにくい分岐などもなく、登山慣れしていない人にもやさしいコース。きついアップダウンもなく、危険箇所も少ないです。
頭をぶつけないように注意して進む。
途中から霧が濃くなってきたこともあり、広葉樹林はより神秘的な風景へと変化してきました。
タン・トゥー |
ちょっと待って……。 |
Takashi |
え??? |
登山デビューのタン・トゥーさんがにわかに根をあげはじめたのは、山頂まであとわずかな地点。写真を撮りながらゆっくり登ってまだ40分程度のところ……やれやれ。
そりゃあ◯◯くらい出ますよ。山だもの。
山頂はすぐそこでしたが念のため、疲れを見せ始めたタン・トゥーさんに登山を続けるか戻るかの意志確認と体調確認。初心者向けとはいえ山は山。無理は禁物です。
タン・トゥー |
山頂でハンモック……。 |
やっぱソレかい! と突っ込みそうになりましたが、一応継続の意志を表明されたので登山再開。それから10分ほどで山頂に到着しました。
んな、な、なにも見えん……。
登ってくるあいだにどんどん霧深くなってしまった模様。視界が晴れてさえいれば富士山や南アルプスの山々、伊豆半島から浜名湖方面まで見渡せる大パノラマが待っていたのですが、残念。さすがにこれくらいの標高になると天候も変わりやすいようです。でも……
これはこれで、神秘的で素敵。
タン・トゥーさんも目的を果たして満足したようで、めでたしめでたし。私もハンモックに寝そべってしばらく天を仰ぎましたが、これがまた気持ちいいのです。登山をより楽しむためのアイテムとしてオススメできるなと感じました。
その気持ちよさにウトウトし始めたころ……事件は起きました。
タン・トゥー |
ぎゃーーー! イヤーーー! なんかいるーーー!! |
タン・トゥーさんがものすごい形相で本気で叫びはじめたのです。まさか熊でも出たのかと、正直なところ私も本気で不安になりました。
タン・トゥー |
帽子っ……のなかに〜っ! |
あー…。なんだ。アレですね。“ヒル”ですね。
タン・トゥー |
(パニック中) |
コトの顛末はこう。ヒルを知らないわけではありませんが、帽子を被ろうとしたらいきなり頭に落ちてきたため、ビックリしてパニックを起こしてしまったとのこと。
タン・トゥー |
脳みそ食べられた気がする……。 |
しばらくして正気を取り戻したタン・トゥーさんですが、下山中は歩く疲れよりもヒル事件を思い出してげんなりしている様子でした。それでもそれなりに、登山の達成感は味わってくれたみたいです。
はー、やれやれ。ヒルくらいいますよ、山ですからね。
シメは川根温泉へ
登山で汗をかいたあとは温泉へいきたくなりますが、今回は川根ということで、ちょうど帰り道に寄れる場所があるのも嬉しいところ※。
「川根温泉 ふれあいの泉」。豊富な湯量と泉質に恵まれた温泉で、加温・加水なしの源泉かけ流しです。食事もできますし、道の駅も隣接しているので寄り道スポットに最適ですね。
早めの時間に来れば、橋梁を渡る列車の姿も風呂の中から眺められます。時間帯次第ではSL急行、あるいはきかんしゃトーマスが走る姿を湯船から見られる、全国的にも稀有な温泉といえるでしょう。
登山と温泉+ローカル列車という組み合わせで満喫できる大札山。超初心者の方でもなんとか登れることを、タン・トゥーさんのおかげで証明できました。登山デビューの方にオススメします!
※国道362号線を南下して新東名高速道路あるいは国道1号バイパスに戻る場合です。
大札山ハイクのまとめ
以下、大札山ハイクのアクセスやアドバイスです。
- ライター登山日
2017年7月6日
- アクセス
新東名島田金谷ICから国道362号線を北上して「ウッドハウスおろくぼ」まで約50分、そこから林道をさらに15分ほど北上して「大札山肩コース」登山口へ(車)。
- 往復歩行時間目安(昼休憩などをのぞく)
約1時間15分
- アドバイス
新東名島田・金谷IC方面から向かう場合、川根本町下長尾のサークルKが最後のコンビニ。「大札山肩コース」登山口に駐車場、トイレ、自動販売機があります。
- 寄り道スポット
・Cafe ひぐらし:大井川鐵道川根温泉笹間渡駅舎内の喫茶。miteco掲載歴あり。
・川根温泉 ふれあいの泉:営業時間や定休日、所在地はホームページ参照。
- 参考サイト