オーストラリアで出会って浜松市天竜区に移住
茶園「茶空民」を営む山本さんご一家について

  • posted.2017/05/20
  • オオイシマオ
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オーストラリアで出会って浜松市天竜区に移住 茶園「茶空民」を営む山本さんご一家について

標高400mの高地に広がるのは茶畑。ここ浜松市天竜区砂川(いさがわ)では、農薬不使用のお茶の有機栽培に取り組んでおり、2004年には集落全体で有機JAS認証を取得しました。

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2011年に移住し、地域の人々のサポートを得ながらともに歩み、有機栽培茶園「茶空民(ちゃくうみん)」と移動販売カフェ「和・カフェ」を営む山本さんご一家を訪ね、奥さんの奈々絵さんにお話しを伺いました。

夢を叶える地を求めて

chakuumin_02写真提供:茶空民

今回、尋ねた場所は・・・

屋根よ〜り〜た〜か〜いこいの〜ぼり〜♪

・・いいえ、ここは雲より高いこいのぼりが泳ぐ場所!

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オオイシ

こいのぼり! お茶畑と空といい景色ですね!
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奈々絵

初節句でね。ちょうど昨日、地域の人がうちに来てくれて、お祝いをしたところなの。ご近所の人たちも子供の成長を楽しみにしてくれているよ。
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オオイシ

おめでとうございます! そういえば、奈々絵さんたちは移住していらっしゃったんですよね? さっそくですが、その経緯とか聞かせてもらうことはできますか?
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奈々絵

主人との出会いからになるんだけど、出会いはオーストラリア。大きな農園で働いていて、4年弱海外で生活していたかな。リーマンショックをきっかけに帰国を決めて、帰国後は無職・貯金無しからスタートしたの。

 

出会った当初から主人は「オーガニックの自給自足生活をしたい」という夢を語っていて、じゃあ、その方向で仕事探しや場所探しをしようかって。

 

まずは福井県のある農家で2年くらい働いたんだけど、そこではジャージー牛の放牧、にわとりの平飼い、野菜やお米は無農薬栽培、六次産業でソフトクリームと広い意味で「農業」を学ぶことができた。

 

それから独立を考えて、2011年に浜松市天竜区砂川へ移住してきたのが経緯。移動カフェは翌年にスタートしたかな。

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オオイシ

オーガニックの暮らしを求めていたんですね。移住先を砂川に選んだのはご親戚がいるとかですか?
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奈々絵

いやいや、ふたりとも出身は県外で。ちょうど天竜区熊(くんま)に主人の親友夫婦が引っ越してきて、すごくいいところだよって話を聞いていたから、実際に行ってみようかって来てみたところからトントンと話が進んでいったんだよ。

 

市役所と農林事務所の人たちに相談したら、「あんたたちにぴったりのがあるわ! お茶があるよ! せっかく福井から来たんだから、1回会うだけあってみれば?」と後押しされて、お茶はまったく考えていなかったんだけど、その足で砂川へハシゴして地元の人たちとも会って話してみたら、いいなって思って。

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オオイシ

考えていなかったお茶農家になるって決断は、なかなか勇気がいることだったんじゃないですか?
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奈々絵

「知識も教える。身ひとつで、やる気だけあれば!」と迎えてくれた砂川の人たちの人柄と、砂川のお茶農家の組合で使える設備があったこと。あとは集落全体で、無農薬栽培に取り組んでいることが決断のポイントになったかな。
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オオイシ

山の暮らしに抵抗や不便さなど感じなかったですか?
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奈々絵

海外や福井での暮らしも、学校はスクールバス、買い物は週1回って感じだったから、それが普通って感覚。不自由やマイナスの要素には感じなかったな。

chakuumin_03写真提供:茶空民

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オオイシ

暮らしていて感じる砂川の魅力はありますか?
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奈々絵

ここは雲海や星空がすごくきれいなんだよ。雲海は、早朝の限られた時間にしか見られないし、星空も夜ここにいるから見られる景色かな。

 

こういう話をすると「行ってみたい!」という人が多いから、砂川の魅力をみんなも体験できるようにしたいと思って、「どうぞ来てくださいね」と言えるように、いまは果樹園や農家民宿の準備を進めたりもしていてね。

 

自分たちが求めた暮らしだけど、これからはみんなも一緒に体験を共有してもらえたらと思っているよ

茶空民が運ぶ新しい風

chakuumin_04写真提供:茶空民

空に近い場所で、みんなでお茶の有機栽培をしていることから「民」という文字を入れて、地域にかける想いを込めた茶空民。現在、農家5軒分(一丁五反)の茶畑を担っています※三反から農家認定されます。

これらは、山の傾斜の厳しい土地柄で、ほとんどの作業が人力でしかできず、また高齢となったために茶畑の管理・維持が難しくなり手放さざる得なくなった畑ばかりです。

難しい環境ですが、標高が高く、気温差のある環境は、お茶の有機栽培をするうえで恵まれているといえます。

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奈々絵

お茶農家の仕組みは、1〜2年は全然わからなかったよ。地域の組合の仕組みや、お茶の加工販売方法などは地域の人たちの指導や協力で身につけて、いまでは地域の一員として砂川の有機栽培茶というブランドを支えています。

煎茶と◯◯!? 新しいお茶の楽しみ方

茶空民の有機栽培茶は、移動カフェ「和・カフェ」で実際にいただくことができます。主に浜松市〜静岡市でイベント出店しているそう。

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和・カフェでは、日本茶アドバイザーの奈々絵さん考案のオリジナルメニューに注目!

あたたかい煎茶のほか、煎茶ラテやほうじ茶ラテなど、和のテイストを「ラテ」という親しみやすい方法で提案しています

新しい発想で取り入れたお茶の楽しみ方。当初、地域のみなさんからは「煎茶と牛乳を混ぜるの!?」と驚きの声があがったそうですが、いまではむしろ「やってごらんよ」と茶空民のやり方を応援し、新しい展開を楽しんでいるようです。

茶空民オススメ「簡単!おいしい!水出し紅茶」

茶空民の紅茶は、海外の紅茶とは異なり、渋みやえぐみが少なく、香りのある紅茶。そのヒミツは、複数の茶畑を借りているからこそ、いろんな品種が揃っていることにあるんです。

たとえば、えぐみが少ないやぶきたや、べにふうきなど紅茶に向いた香り高い品種がブレンドされています。

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オオイシ

奈々絵さん、オススメのお茶の飲み方を教えてもらえたりしますか?
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奈々絵

これからの季節は水出し紅茶がオススメ。ほうじ茶も水出しできるよ。ひと晩浸けておくだけで手軽に楽しめるから、ぜひ気軽にお茶を楽しんでみてね。

ということで、さっそくやってみました。水出し紅茶。

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お茶パックに入れた茶葉5gを、500mlの水に浸して冷蔵庫でひと晩。簡単! 翌朝には出来上がりです。

渋みがほとんどなく、甘みも感じるすっきりした紅茶、よく冷えていておいしい! みなさんもぜひ試してみてくださいね。

茶空民の有機栽培茶の購入方法

紅茶(ドリンク提供)静岡市〜浜松市の飲食店5軒+豊橋1軒で取扱中。紅茶(茶葉販売)静岡市〜浜松市の自然食品店、飲食店など5軒で購入可です。問合せおよびご注文はメール(chakuumin@hotmail.co.jp)またはFAX(053-986-0543)にて。HPはこちらです。

外から見た静岡ってどんな感じ?

茶空民

住所:〒437-0621 静岡県浜松市天竜区春野町砂川151
電話番号:0539-86-0543
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Writerオオイシマオ

1991年神奈川県横浜市生まれ、静岡県掛川市育ち。一冊のノートとの出会いをきっかけに、19歳でフェアトレード雑貨店を起業。現在はカフェという切り口からフェアトレードやコミュニティトレードに取り組む。2016年3月には一児の母となり育児奮闘中。新米ママライターとしても地域や暮らしを見つめ伝えていく。

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