鷹匠の小路に佇む隠れ家「ROSSi」
味わい深い自家焙煎珈琲でほっとひと息
自称カフェ通の筆者、今日は昨年11月に静岡市でオープンした店を紹介します。
しゃれたショップが点在する鷹匠町の「Caffè Bar ROSSi」。焼津の「カフェバール ジハン」で勤めていた、バリスタの小山弘さんが独立してオープンしました。
店舗はこのように狭い小路を入ったところで、まさに隠れ家といった雰囲気。ROSSiはこれからどのような場所になっていくのか、小山さんに伺ってきました。
緑のアンテナショップ「ONIWA 」との縁
ここは焼津に拠点を置く良知樹園のアンテナショップ「ONIWA Garden&Cafe」として運営されてきました。
「モダン盆栽」の教室などを開講しながら、多様な視点で緑のある暮らしを提案しています。良知樹園との縁やタイミングもあり、このほど小山さんが2階でカフェを営むことに。
Takashi |
小山さんはバリスタでありながら、自ら焙煎もされるのですか? |
小山 |
はい。イタリアでバリスタの勉強をしたあと、焼津のジハンで焙煎を学びました。最初は「自分の仕事ではない」なんて思っていた節もあったけれど、いまはあの店で学べたことがとても大きい。 |
ROSSiで扱っているのはケニア、エチオピア、マンデリンなど数種のストレート豆と月替わりの豆、それからオリジナルの「ONIWAブレンド」。ハンドドリップで一杯を丁寧に注ぎます。カウンターでその姿を眺めながら香りを楽しめるのがまた心地いい。
Takashi |
豆の質と焙煎、ドリップなどコーヒーの味を左右する工程のなかで、小山さんのコーヒーの特徴とはどんなものでしょうか。 |
小山 |
とくにスペシャリティとかの格付けにはこだわらず、豆の良質な部分を最大限引き出せるよう努めています。香り、酸味、苦み、コク、甘み。たとえばケニアのように酸味が強めとされている豆なんかでも、奥に隠れている旨みを上手く引き出せるように。 |
Takashi |
なるほど。そういえば、ROSSiにはお酒はありませんよね。店名に“Bar”をふっているのはなぜですか? |
小山 |
それが、私がもっともやりたかった形でして。グラスを片手になにげない会話を楽しめる“Bar”のようなカフェ。ここを「人が集える空間」にしようというのが、ROSSiのビジョンです。 |
サックサクのパン生地で挟むパニーニが絶品
ROSSiのカウンターは確かに、バーや昔ながらの喫茶を思わせる距離感。昨今こういった店は少ない気がします。逆にほおっておいてほしいときには離れた席もあるので、気分次第の使い分けができそう。
フードは小山さんが手作りするイタリア仕込みのスイーツやパニーニがあります。その多才ぶりに惚れぼれ。
見た目もかわいい「ベーコンとチーズのパニーニ(700円)」。
こだわりのパン生地はドイツから輸入したもの。パリパリサックサクの食感がたまりません! チーズがほんのり効いたフィリングとの相性もバッチリ。
上品な味わいの「ティラミス(650円)」。限定6食。
こちらはオトナっぽいティラミス。コーヒーを染み込ませたエスプレッソシフォンの生地とマスカルポーネの層は、濃厚なのに上品でやさしい甘さ。ココアパウダーにのせたエスプレッソの粉とチョコレートの香りで、より優雅な気分を味わえます。
小山 |
エスプレッソ系のメニューを順次増やしていきたいですね。僕はストレート豆ではなく、エスプレッソ専用のブレンドを作って抽出しています。カプチーノもいま流行りのサラッとしたものではなく、フォームミルクをふんわりと載せた伝統的なもの。イタリアで体感した本場の味わいをどこまでも追求していきたい。 |
……コーヒーを語る小山さんは嬉々としていて楽しそう。粋な城下町の静かな小路に迷い込んだら、そこはかの国の入口かもしれません。