看板猫のいる癒しの古民家雑貨カフェ「village」
支援と応援の精神によるお店の在り方
掛川市の街中から車で走ること約10分。里山を感じる場所に、癒しの雑貨カフェ「village(ヴィレッジ)」がある。
かつてお寺の庫裏(くり)だった築50年の古民家雑貨カフェは、自然を感じられる庭と竹林に囲まれた隠れ家的な雰囲気。
この空間に流れる独特の空気感や季節感に誘われて、20代〜80代の男女が訪れては癒しのひとときを過ごしている。
今回、お話を伺ったのは店主こと「villageさん」。お客さんから呼ばれる愛称とのことで、親しみを込めてこの記事でもそう呼ばせていただく。
決め手は「魅力的な庭」
じつは、villageには前身となる雑貨店が掛川市の街中にあった。現在の古民家に移転して12年となる。
オオイシ |
街中からどうして移転を・・・? |
villageさん |
フェアトレード※食品などを実際に試飲試食ができる店にしたくて、街中の店舗は少し小さかったので広い場所を探したのよね。そうして出会ったこの古民家は、敷地が広くて、何より庭が魅力的だったの。
最初は荒れていたけど、緑豊かで「きっと素敵な庭になる」と確信して身内で手を加えて。街中から車で10分くらいの場所だけれど、この静けさと緑の自然を感じられる立地もいいでしょう?
※フェアトレード:発展途上国などで作られた商品を適正価格で取引することで、生産者の生活を支える仕組みのこと。 |
オオイシ |
確かにそうですね。アクセスもしやすくて、来たらついついくつろいで・・・気付いたら半日経ってた!ってくらい落ち着いた空間です(笑) |
villageさん |
そうね、結構そういう方も多いかもね。いろいろだけど、いつもの品をささっと買って帰る方もいるし、本を読んだりゆったり過ごしたりする方もいるわね。 |
villageの商品は、フェアトレードの珈琲・紅茶(200円)のみからはじまり、人とのご縁で幅が広がっていった。現在は、心とからだにやさしいほっとできるようなドリンクや、自然素材の雑貨販売をしている。
いま販売されているドリンクはそれぞれ500円。オススメドリンクは、
・インドトゥルシー(ハーブティ)
・グアテマラのマヤナッツ(ノンカフェイン。コーヒー風ドリンク)
・オリジナルブレンドチャイ(数種類のスパイスに有機アッサム紅茶&フェアトレードの黒糖やココナッツシュガー)
の3種類。どれも量はたっぷりだ。
しぞ〜か看板“猫”図鑑!?
突然だが、mitecoの連載企画「しぞ〜か看板娘図鑑」の番外編として、「しぞ〜か看板“猫”図鑑」なんてどうだろう。漁港の看板猫、事務所の看板猫、駅長猫とか静岡の各地に看板猫がいるんじゃなかろうか。ということで勝手にスタート!
Vol.1として紹介するのは、villageにいる2匹の看板猫。気になる方は実際に行って愛でるが吉!
1匹目は「かりんとうちゃん(♀)」。クールビューティーな女の子。
2匹目は「あずきちゃん(♀)」。甘えん坊な女の子。
いずれも店先に捨てられていた子猫や、里子に出されていた猫を保護し看板猫として迎えた。
いまではすっかり人気者で、2匹に会いにくるファンも少なくないという。
villageの「癒し」は、庭だけでなく愛らしい看板猫による効果もあるに違いない。
villageの原動力
話題は戻り、そもそも、どうしてvillageがはじまったのか。そのきっかけを聞いた。
villageさん |
若いころ、アジア雑貨店で働いていたときに、買い付けでインドやタイに行ったことがあって。そこで物乞いの人たちに出会って、ショックを受けたことがきっかけでフェアトレードの商品を扱う店を始めたのね。
・・・そのときのショックは、いまでも宿題としてずっと心にある。フェアトレードは、生産者の顔が見えて「安心」、環境に沿った農法で作られていて、環境や生産者の健康や口にする人たちにも「安全」。
それでいておいしいから、純粋にいいものを紹介したいとも思って。雑貨も伝統的な技術を活かした手工芸品で、ぬくもりを感じられるようなものばかりなの。 |
フェアトレードの他にも、売上の一部が寄付金となるチャリティー商品や、掛川市内の福祉作業所製品などを扱うことで支援や応援につなげている。
こうした商品の背景にある生産者のことや想いを伝えることが情熱となり、12年ものあいだお店を続けられる原動力になっているのだそうだ。
villageさん |
応援っていうとおこがましいかな(笑)途上国であれ、障がい者であれ、個人であれ、ご縁のある人を大切に、頑張っている人を応援する形がいまのvillageのあり方になっているわね。 |
玄関を入って正面のこちらのコーナーでは、手づくりパウンドケーキや卵・乳製品不使用クッキーなど、福祉作業所で作られた焼菓子が並んでいる。
メニューとしてはドリンクのみのvillageでは、このコーナーから焼菓子を購入し、ドリンクと一緒に楽しむ方がよく見られるという。
雑貨販売物はフェアトレードや天然素材の布やボタン、紙、麻ひもなどが中心。そういった手芸素材はほぼ手づくりの1点もののため、好みのパーツとの出会いも楽しみのひとつだ。
「チャレンジショップ」の取り組み
——元々はお客さんだった人たちがここで出会って交流することによって、新しい自分にも出会ったり、創作や仕事をはじめたりすることがあってね。
villageでは、アーティストや新しく立ち上げたビジネスのファーストステージとして利用できる、空間提供=チャレンジショップが行なわれている。
ジャンルは、マッサージや整体、アクセサリー雑貨やイラストアート、占いやヒーリングなどさまざま。なかでもランチは人気で、月に2回〜3回ほど不定期に開催されている。こうしたチャレンジショップに出店することで、ファンを増やして独立していく方もいるという。
チャレンジショップの料金
・物販 売上の1割
・個室貸し切りは応相談。
※設備などは実際に見てお確かめください。 ※お気軽にご相談ください。
聞けば聞くほど魅力的なvillage。ぜひ実際に足を運んでその魅力にどっぷり浸かってみては・・・? そして、看板猫の「かりんとうちゃん」「あずきちゃん」に癒されてみては・・・。
次回、villageで出会ったチャレンジショップ出店中の、マクラメ編アクセサリー作家「はらだかなこ」さんのインタビュー。