「お茶×団子」の定番コンビに新しい魅力
目・舌・心で味わう町のお茶屋さん「T’s green」
静岡県の名産品として必ず登場する「お茶」。静岡出身の方にとっては食卓に欠かせない、幼い頃から場面を問わず飲んできた、親しみのある飲み物ではないでしょうか。
ちなみにみなさん、町にあるお茶屋さんを覗いたことはありますか？ 渋い暖簾のイメージやずらりと並ぶ銘柄の茶葉、古くから続く老舗というイメージをついつい持ちがちですよね。
静岡県・安倍川に、憩いの場として町の人々に愛されるお茶屋さん兼お団子屋さん「T’s green」があると聞き、お邪魔してきました。
カフェのような店構えのT’s greenへ
静岡駅から浜松方面へ一駅ほどに位置する、JR東海道本線・安倍川駅。駅から目的地であるT’s greenまでは徒歩約10分です。
東口と西口に分かれていますが、目的地までは西口から出て、住宅街を線路沿いにまっすぐ進んで行きます。天気の良い日には抜群に気持ちの良い、散歩に適した距離です。
線路沿いを静岡方面に歩き、前方にタンクが見えたら左手に曲がり直進、鎌田交差点を左に曲がってすぐ。のぼりがなんとも賑やか、茶のロゴがキュートなT’s greenに到着です。
お店に向かって左側には3台分の駐車スペースもあるので、車でのアクセスも安心。では早速、店内へお邪魔してみましょう。
店内の喫茶スペースには、カウンター3席にふたりがけのテーブルが３つほど。随所に手書きのPOPやメニュー案内が見られ、一つひとつにじっくり目を通せば、商品に対する愛情が伝わってきます。
いわゆる老舗のお茶屋さんとはかけ離れた、どちらかというとカフェに近い店構えなので、気軽に入店できました。
右手の壁にずらりと並んだお茶の数々には、すべて手書きの説明が施されています。「日替わり茶」で提供されるお茶を実際に購入して帰ることも可能です。気になるお茶の種類など、気軽に質問してみてくださいね。
開店当初は、お団子を食べつつお茶を選んで欲しかったという店長・神谷さん。しかし次第に「座ってゆっくりしたい」というお客さまからの声が増え、椅子を増やしてテーブルを設置し、今の形になったそうです。
お茶にまつわる商品のセレクトも多様で、希望をいえばギフトセットにも仕上げていただけます。今風なお茶のグッズから定番商品のようなものもあり、さまざまな世代の方への贈り物が選べそうだなと思いました。
老若男女の心を掴む甘味メニュー
店内をキョロキョロと、好奇心のままに見歩くのも楽しいお茶屋さんとしてのT’s greenの一面ですが、じつはそれだけじゃないんです。
テーブルの上に立てかけられたこのメニュー、目移りするほどに充実した甘味の品々が！ 私は例に漏れず優柔不断ぶりを発揮し、店長・神谷さんのオススメのメニューをお願いすることにしました。
「月の灯り」（税込1,050円）※お茶のおかわり自由
注目していただきたいのが、お茶！ おかわり！ 自由！（大事なことなので二度申し上げます）
見事にSNS映えが約束された、かわいらしい甘味のセットをいただきます。手前から塩あんこ・塩キャラメル・磯部・えごまと静岡茶・えごまと唐辛子の5種類のお団子。すべて揚げ団子です（スタンダードメニュー）。
本日の焼き菓子には煎茶のガトーショコラ、アイスクリームはキャラメル風味にほうじ茶のふくよかな香り、食感が楽しいパフ入り！ このセットをいただく間に、熱い・冷たい・甘い・しょっぱいという多様な味覚の変化を体感することができます。
そしておかわり自由のお茶・・・すべての味に適応するオールラウンダー選手であることを実感。気づけば「おかわりください！」とごくごくと、おいしく何杯もいただいていました。お茶ってこんなにおいしかったっけな・・・。
初めての方にもオススメ、贅沢甘味「エメラルド」（税込950円）
ちなみにこちらのお団子は、開店当初である3年半前からの定番メニューだそう。揚げたてだからこそ味わえる、カリッとした食感と音が楽しいひと口目から、その味わいに夢中になってしまいました。
モッチモチなんです、とにかくモッチモチ。初めて揚げ団子を食べたのですが、「秘密の粉でも使用されているのでは？！」と疑うほどに罪深い味わいを堪能しました。
お茶で県内を盛り上げるプロジェクトにも参加
茶米プロジェクト「和紅煎（わこうせん）」
SNSなどでもよく目にするメニュー「和紅煎」は、お茶を使ったメニューを提供し、県内を盛り上げるというプロジェクトに参加し考案したもの。11月から提供が始まったこのメニューは、市内の飲食店10店舗が連携して静岡茶を斬新にアレンジしたうちのひとつです。
ホワイトチョコレートを混ぜた緑茶と紅茶のソースに、香ばしいお団子をディップして食べるというなんとも贅沢なフォンデュに仕上がっています。
夏季限定：茶氷プロジェクト「駿河絢爛（するがけんらん）」
お次は夏ごろに話題をかっさらったこのメニュー、牧之原市産の抹茶や紅茶など5種類のお茶のかき氷と、揚げ団子をひとつのプレートに盛った「駿河絢爛」です。SNSをきっかけに、県外からのお客さまもぐっと増えたそう。シロップは、毎朝店内で手作りしています。
時期やメニューによっては売り切れてしまうこともあるそうで、事前に電話でお問い合わせすると確実です。
飲むだけでなく食べて楽しむこともできるとは、お茶の魅力は私たちが知っている以上に奥が深い・・・。今回は目と舌で味わう、お茶の良いところをぎゅっと凝縮したような甘味プレートをいただきましたが、何よりも子気味良い店長・神谷さんとの会話も、お茶をおいしく感じる理由のうちです。
入れ替わり立ち替わり地域の方が購入したり、お茶をされたりする様子が印象的だったT’s green。今まで知らなかったお茶の魅力を再度感じてみてください。
