「雨降り 喫茶と民藝」で見つけた
誰かの日常に寄り添う一杯のチャイ

  • posted.2019/02/22
  • kajo
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「雨降り 喫茶と民藝」で見つけた 誰かの日常に寄り添う一杯のチャイ

暖かい日が増えてきましたが、まだ夜には凛とした空気の冷たさを指先や頬から感じます。

空気が澄みわたり夕陽が美しい今の季節、みなさんにとってこの時期の「一番おいしい飲みもの」ってなんですか?

伊豆箱根鉄道「三島田町駅」の改札口正面に位置する、玄関先にさまざまな種類の植物が並ぶ建物の2階。本日の目的地である「雨降り 喫茶と民藝」です。

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植物が出迎える玄関先

店主の功刀皓旦(くぬぎひろあき)さんがご自身の地元・三島で、旅をした先々の民藝品を並べるカフェをオープンしたのは2016年の1月。今年で3年目を迎える雨降りにて、冬のはじまりのある日、人々の日常に寄り添う一杯に出会いました。

「雨降り 喫茶と民藝」へ

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店内一番奥の窓際席

ガラス扉を開けて急な階段をゆっくりと登っていくと、三方から光を取り込む窓が開放的な、どこか懐かしさを含んだ雰囲気が漂う店内へ。少し小雨のぱらつく朝から日の光が優しく差し込む昼下がりを過ごしてみると、空間がまるで呼吸をするかのように、空模様に合わせて表情を変えゆくことに気づきます。

カウンター席含め10席ほどの店内では、一つひとつが特別席。どこに座るか迷いどころです。

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窓際に掛けられたかばん製品の数々

壁や棚に並ぶ品々や装飾が訴える、確立されたアイデンティティを眺めているだけで、胸がワクワクします。

窓から外を覗くと広がっているのは、人々の日常を切り取った光景。駅前ということもあり車通りは多いはずなのですが、店内には静かな空気が流れ、とても穏やかな気持ちになります。まるで、店主・ひろさんのとっておきの場所にご招待いただいたかのような感覚です。

丁寧な手仕事から生まれる「チャイ」

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おしながきには店主からのしっかりとした説明が

さて、お店のオススメはチャイとのことですが、チャイのほかにも珈琲・三島産無農薬栽培の茶葉を使用したお茶各種・自家製シロップのジュースなど、魅力的な飲み物がいっぱい。

みかん風味の和風パスタ、ホットサンドなどのお食事メニューや、チャイに合うブラウニー、あんみつなどの甘味メニューも用意されています。

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ホットサンド 450円

おしながきの各ページのメニュー欄には、店主・ひろさんからの説明がしっかりと入っているので、じっくり悩んでくださいね。

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手元を眺めるのも楽しい

まずは「インドのお茶」より、芯のある言葉で綴られた1杯「甘さそのままのスタンダードチャイ」をいただきます。

少し背の高いカウンターから覗く、ひろさんの横顔は真剣そのもの。彼の手によって丁寧に生み出される飲みものが、誰かにとってこの冬の特別な1杯になる予感がします。

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材料の半数以上の割合を生姜が占める雨降りのチャイ。ベースとなる「マサラ」は、自身のご友人でもある仕入れ元のインドのスパイス屋にて、独自の割合で調合されたものだそうです。

チャイには丹那牛乳を使用し、スパイスは半年に一度インドに買いに行かれています。なんと昨夏にはひろさんも現地で調合作業をされたのだとか。

ご自身の目と舌で、信頼したものを提供されているんですね。

image11「甘さそのままのスタンダードチャイ」 600円

温かみのある風合いのカップを手のひらで包めば、優しく立ち上る湯気にスパイスのキリッとした甘やかな香りが広がります。スパイスの香りごとすすっていくと、次第に身体の芯が確かな熱を持ちじんわりと温まってくるのを感じ、ほっと一息。

face2Kajo うわぁ~おいしい。思わず吐息と感嘆が同時に漏れてしまう一杯ですね。
face1ひろ ふふ、嬉しいです。Kajoさんのは、カルダモン多めですよ。お客さんによってスパイスの配合を変えたりしています。

1杯目はおいしさのあまりごくごくと飲んでしまったので、次は丁寧に飲もうと心に誓い2杯目は余裕を持ってじっくりと味わいました。

※カルダモン:ショウガ科のスパイスで、花のようなアロマにピリリとした辛さが特徴。

雨降りで知る、国内外の手しごと

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個性の光る、芯のある作品の数々

抜群の雰囲気が際立つ店内には、あれもこれもと手にとってじっくり見てみたくなる品々。染物や陶器に文房具から手作りのジャムまで、幅広いラインナップが並んでいます。

face2Kajo 並んでいる商品や内装品は、一見すると派手ではないのに力強い存在感がありますね。
face1ひろ 内装に関しては木工の制作をしている兄と僕で仕上げました。店内の品物は、タイやラオス、インドで出会ったものだったり、国内の作家さんの作品だったりといろいろです。

アジアへの買いつけにはバックパックで行かれるというひろさん。彼が選ぶ旅先で出会った手しごとの数々は、まるで宝箱を見せてもらっているかのようにワクワクするものばかりです。

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インドでは生活に欠かせない飲みものといわれるチャイ。海外の風をまとったひろさんが丁寧につくるチャイを通して、遠い異国の風景が目に浮かぶようです。

誰かの日常を想像しながら飲む楽しみや、ありふれた1日の隙間に自分で自分をハッピーにするチャンスを与えてくれるカフェ、雨降り。「思い思いに過ごしてもらえたら」と話される店主・ひろさんの引き出しの多さや、本質的な部分を見つめる視点に、会話も弾みます。

雨降りのチャイと同じく、人の手で丁寧に作り上げられたものたちが並ぶ店内は、冬の日でも特別にあたたかく、日常を愛するヒントをこっそりと教えてもらえたような気がしました。

雨降り 喫茶と民藝

住所:静岡県三島市北田町3-55 2F
電話番号:090-7696-7520
営業時間:水・木 11:00~21:00 / 金・土 11:00~23:00 / 日 8:00〜23:00(8:00〜10:30モーニングあり)
※予約制で菜食ランチあり
定休日:月曜日、火曜日