1周年を迎えた「ラーメンやんぐ」
“好き”を追求した空間でこだわりの一杯を
いずっぱこ(正式名称、伊豆箱根鉄道)の「三島田町駅」の改札を出てすぐ、すかさず目に飛び込んでくる赤い看板には、「ラーメンやんぐ」が印象的な白のポップな文字が踊っています。
2017年8月26日にオープンをしてから、今年の夏で1周年を迎えた「ラーメンやんぐ」にお邪魔してきました。
店主の“好き”が詰まったラーメンやんぐ
「ラーメンやんぐ」の看板の元、間接照明が照らすウィンドウは、まるでセレクトショップかと見紛うかのような店構え。ガラスに映り込む三島田町の駅前の景色も含め、画になります。
開け放たれた扉から少し店内を覗き込むと、真っ先に目に入る店頭の展示物の数々・・・思わず目を引かれる雑貨や洋服のディスプレイですが、聞けば店主の高梨さんの好みがガツンと詰まったお店だそう。
ラーメン屋さんのイメージを覆すような、こだわりを感じさせる風景に、店先からワクワクが止まりません。
期間限定の展示のされる店内へ
店内に入って右手には券売機があり、左の奥にはカウンター席が9つ並んでいます。
すでに店先からお客さんの心を鷲掴みにするであろうディスプレイは期間限定で、店主・高梨さんのセレクトした商品を展示されているそうです。
ちなみにお伺いした8月末は、「ポートランド展(8月いっぱいで終了)」を実施されており、高梨さんが休暇の際に訪れたアメリカ西海岸・ポートランドで出会った素敵なものたちが並んでいました。カウンターの後ろ、店内の壁面にもセンスの光る小物が並びます。
9月以降も展示物は入れ替わり、毎回訪れるのが楽しみになりそうな企画を数々ご用意されているそうです。
見たいものや聞きたいことがたくさんありすぎて、ようやく券売機にたどり着いたかと思えば、選択肢が多い!嬉しい悲鳴ですが、これは困った・・・目移りしてなかなか決められそうにありません。
券売機の左上の壁面に、ベースとなる6種類のラーメンの説明があるので、初めての方はこちらを見ながら思う存分迷ってください。
“楽しい”と“面白い”を追求するラーメンを実食!
生搾りレモンラーメン900円(税込)
どれもおいしそう、どれも食べたい・・・優柔不断な私は、店主・高梨さんに助け舟を出してまずは1杯目をいただきます。
Kajo |
なんとも目に鮮やか、インパクトがすごい! SNS上のハッシュタグの多さに納得です。 |
高梨 |
ハッシュタグ、嬉しいんですよね。全部いいねしちゃう! |
自然と頰がほころぶ1杯を前にまずはひと口スープをいただくと、レモンの爽やかな香りが鼻を抜け、ベースとなる塩スープのコクと旨味が酸味をまろやかに包んでいるのを感じます。
Kajo |
初めての感覚です、おいしい・・・おお、めちゃくちゃレモンですね! |
高梨 |
スープにはレモンが1個、トッピングには半分使用しているので、約1.5個分のレモンが入っていますよ。レモンが2個入った、レモン増しのメニューもあります。 |
低温で4時間、スチームを当てながらじっくり仕込まれ、噛むたびに肉の旨味が存在感を訴えるチャーシュー、歯ごたえを残した食べ応えのある筍、ふんだんにレモンが使用されたスープと相性の良い、歯ざわりの良いフレッシュな刻みオニオン。ビジュアルだけでなく、味のバランスまで考え抜かれた逸品です。
尊い!
Kajo |
もう1杯、ください・・・! |
魔法のラーメン950円(税込)
そしていただいちゃいました、もう1杯。ベースの鶏白湯(煮込み時間はなんと16時間!)に、貝柱の出汁を使った塩ダレを使用した「魔法のラーメン」です。
Kajo |
なぜ“魔法”なのですか? |
高梨 |
本当においしいものとはなんだろう、食べた後も心地のいいラーメンを作りたかったんですよね。いく度となく試作を繰り返し、納得のいく味に出来上がったときに、「これは魔法でしかない!」と思ったんです。 |
タレやスープ、油の調整に至るまでそれぞれに何度試作をしたか数え切れないという「魔法のラーメン」ですが、丁寧に作り上げられていらっしゃることが、ひと口ひと口から身体に沁みていくようでした。
あっという間に2杯を完食。心と体が、心地いい満足感でいっぱいです。胃がひとつしかないことが悔やまれます。
駆け抜け、迎えた1周年
「ラーメンやんぐ」の店名ですが、高梨さんが20代を過ごしたバンド「ヤング」と、育ての親である清水町のラーメン店「ろたす」に敬意を表した結果、「ヤング+ろたす=やんぐ」のイメージが生まれたという由来があるそうです。
ご自身の好みを追求した内装に仕立てられた、気持ちの良い風が吹き抜けるお店には、店主・高梨さんのブレない心意気が生きています。
カフェのように過ごされる女性のお客様や、ご近所のおじいちゃん・おばあちゃん、学生さんからファミリーの皆さんまで幅広い年齢層の方が訪れるという「ラーメンやんぐ」。
「制作側の人間だと思います」と語られる高梨さんのセンスが生み出した空間と、丁寧な歴史の元に生まれた1杯1杯のラーメンに、さまざまな世代の方が惹かれる理由を、見つけた気がしました。