富士山登頂の夢は叶うのか!?
登山未経験の3人がヒット祈願で富士山へ
バス車内にてある映像をみています。こんにちは、miteco編集長の吉松です。
なんの映像かといえば、「富士登山の心得」について。登山のマナーや山小屋での注意点、よくあるピンチなどの情報がどんどん流れていく・・・。
じつはいま、miteco編集部3名(僕、安藤、山口)※で、富士登山に向かっています。
なぜかといえば、mitecoのスタートを前に、富士山の山頂からご来光を拝んでヒット祈願をしたいから。さらには編集部全員が登山未経験なので大きな挑戦でもありまして、この富士登山にはいろんな意味が込められているんです。
※青パンツ⇒僕、ベージュパンツ⇒安藤、黄パンツ⇒山口
挑戦するのは富士宮ルート
富士山には、山頂へとつながる4つのルートがあります。
それぞれ登山口の標高や山頂までの距離、登山にかかる時間などに大きな差があるんですが、僕たちが挑戦するのは静岡県富士宮市にある「富士宮ルート」。mitecoオフィス(静岡市駿河区)から登山口までの距離が近い、というだけの理由で決めました。
4つのルートのうち、富士宮ルートは登山口の標高がもっとも高く、山頂への距離が一番短いです(コースタイムの標準は登りで5時間くらい)。だから初心者にもそれなりにやさしいルートだといわれています。
プランとしては9合目の山小屋で1泊してから、翌朝のご来光を拝む流れ。9合目までの時間は標準で3時間~4時間らしいです。とりあえず今日は9合目を目指して、きばっていきます。
富士山5合目で腹ごしらえ
僕たちを乗せたバス※が富士宮口5合目に到着しました。
※夏季登山シーズンは、「マイカー規制」というのがかかっていて、指定の駐車場から5合目まで有料のシャトルバスが運行しています。
5合目には売店、公衆トイレ、食堂などを備えた大きな施設があります。ここでもいろいろ楽しめそうですが、全員がお腹を空かせていたので食堂へ。
近所の公民館みたいな雰囲気。メニューはざっと20種類くらいはあります。
吉松
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いろいろあって迷いますね~。なに食べますか? |
安藤
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せっかくだし富士山カレーかな~。 |
ということで、名物の「富士山カレー」。名前からなんとなくの予想はしていましたが、思ったより荘厳です。
安藤
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うまい。なんというか富士山の味がする。 |
吉松
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富士山の味か~。 |
腹ごしらえを済ましたところで、出発前の記念写真を1枚。最初の写真と一緒に見えるかもしれませんが、これはNGショットです。眩しかったので目を開けるのに必死。
富士山への大挑戦がはじまる
ついに富士山への挑戦がスタート。じつは5合目に着いたとき、かなり天気が悪かったんですが、もう随分と晴れています。
登山道は意外と平坦な道が続いていて、サクサク登れる。空気も澄みきっていて、かなり気持ちいい。
あっという間に6合目に到着。距離でいえば90mでした。富士登山ってわりとつらくないかも。
6合目にある山小屋「雲海荘」にて。
吉松
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あそこが頂上ですかね~。さすがに遠いですね。 |
山口
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あそこまで行くのか・・・。 |
雲海荘 | (隣にいたスタッフさん)あ、ちがいますよ~。あれは8合目です。頂上はもっと先ですよ。 |
吉松
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え? |
富士宮ルートの本番はここからだった
ちょっと気が遠くなりましたが、まだまだ元気。6合目から7合目に向けて出発します。
キメ顔をする余裕もありますが、いつのまにか岩道が増えてきたような・・・? 周辺にはゴツゴツした岩ばかり。足をとられることも多くなってきました。
しかも傾斜まで急になってきて、これはしんどい。ここまでほとんど休みなくきていましたが、さすがに休憩します。
山口
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人生でこんなにうまい水は飲んだことない。 |
吉松
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まじでうまそうですね・・・。ちなみに体調はどうですか? |
山口
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俺は大丈夫だけど、この方はどうかな。 |
安藤
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えーとね。じつをいうと最初からかなりきつい。足腰にもきてる。 |
吉松
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無理だけはしないように・・・。 |
さっきまでこんなに笑顔でしたが、徐々に身体にきている様子。まだ7合目にもついてないけど大丈夫かな。
編集部に暗雲が漂う
それにしても6合目からが長すぎる。どうやら6合目から元祖7合目までは、500m近くもあるとか(途中に新7合目という経由地点もある)。下山中のおじさんから聞きました。
ここが第一関門か。
コツコツと登っていって、やっとのことで新七合目に到着。ただこのあたりから、3人のスピードにバラつきが出ていました。先頭に僕、次に山口、最後に安藤という順番です。
吉松
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スピードを合わせられるといいんですが、合わせようとすると、よりきつくなりますね。これ、なんでしょうか。 |
山口
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理由はわかんないけど、気持ちはすげえわかります。自分のペースで登ったほうがいいかも。 |
安藤
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もうスピードを上げられないから、先に進んでもらっていいよ。 |
相談した結果、とりあえずは自分のペースで登ることになりました。
再出発。相変わらず傾斜が急な岩道が続きます。というか、さらにひどくなってきた気がする。たとえるなら、ゴツゴツしたすべり台を逆走している感じです。
でも、きついばっかりが富士登山ではありませんでした。登るにつれて視界はパーっと開けて、自然たっぷりの景色が広がります。真っ青な空と海、鮮やかな緑、上にも下にもある雲。心も身体もふっと軽くなる。
そして元祖七合目に到着! 標高3,000mを超えました。
ほっとひと息ついているうちに山口と安藤も到着。ここまでわりと時間がかかっていたので、日が落ちる前に登りきりたい、とすぐに出発することにしたんですが――。
吉松
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・・・どうしました? |
安藤
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動悸が激しくなってきたんだよね・・・。これが運動してるからなのか、高山病の前ぶれなのかわかんないけど。 |
吉松
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高山病※・・・。顔色も多少悪くなってますし、きつかったら下山を考えても。 ※高山病:身体の中の酸素が足りなくなっておこる症候群。動悸や頭痛、吐き気などを伴う。重症化すると死にいたることも。 |
安藤
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そんなに調子悪くないし、とりあえず様子みたいから先に登ってて。やばかったら電話するよ。 |
正直かなり心配ですが、さほど調子は悪くないということで、先を目指すことにします。
たった数分で味わった天国と地獄
8合目の直前まで来ましたが、目の前に広がるのは道じゃなくて、もはや岩だけ。足もかなり疲れてきていて、体力的に結構きついです。根性だけで登っている感じ。
岩をみるのがイヤになってきたので、息抜きをしようと周りを見渡してみたら――。
影富士・・・! しかも虹まで出ています。
贅沢すぎる。感動的。いま富士登山で一番テンションが上がっています。誰からかわかりませんが、頑張れって言ってもらえてる気もする。
いや、ちょっと待った。あれはなんだ。
ヘリコプター? ふと思い出したけど、そういえば安藤は大丈夫かな・・・。まさかレスキューに来たんじゃ・・・。
すぐにでも連絡したかったんですが、道は狭いわ後ろは詰まってきたわで、とりあえず8合目へ。
(プルルル、プルルル、プルルル)
電話だ。
山口
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あ、もしもし。いまどこにいる? あ、8合目ね。あのさ、社長(安藤)がダメになった。 |
吉松
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ダメになった・・・? |
山口
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高山病にかかった。救護の人がたまたま見回りしてて、調子が悪そうな人がいるから声をかけて・・・って流れみたい。 |
高山病で富士登山は断念
安藤が8合目を目前にして高山病になりました。
電話を受けてから数分後、焦った様子の救護班が8合目に。すぐに山小屋の横に設置されている診療所へ入っていきました(さっきのヘリコプターは無関係だった模様)。中では「高山病になった人がいてね、いまから連れてくるから!」とか言っていた気がします。
少しすると救護班とともに、山口とぐったりした安藤が到着。安藤は間もなく診療所に連れていかれます。僕は宿泊予約していた山小屋にキャンセルを入れ、8合目の山小屋さんに急きょ泊めてもらえないかお願いをしました。
そのあと救護班が声をかけてきまして。
救護班 |
君はさっきの安藤さんと一緒のグループかな。 |
吉松
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はい、そうです。 |
救護班 |
安藤さんね、とりあえず下りないと治らないから、翌朝のできるだけ早いうちに下山してください。今日のところは8合目で少し休みましょう。 |
吉松
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・・・はい。わかりました。 |
破れた富士山登頂への夢
専門家のストップが入り、編集部の挑戦はあっけなく終わりました。ご来光を拝んでヒット祈願をしたかったところですが、それよりもひとりの安全のほうが大事です。ただ救護の人がこんなことを言っていました。
救護班 |
登頂できないのは残念だと思うけど、8合目の標高は3,250mでね。みなさんはすでに日本一の高さにいるんですよ。 |
吉松
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え、そうなんですか。 |
救護班 |
みなさんは富士山未経験だそうですね。はじめてでここまで来れたら十分ですよ。 |
安藤を助けてくれた上に、僕たちを励ましてくれるなんて。救護班の人ありがとうございます・・・。
ちなみにあとで調べてみたところ、日本で2番目に高い山は山梨県の北岳(きただけ)で標高は3,193m。たしかに僕らは日本一の高さにいたようです。
8合目の夜。僕たちをさらに励ましてくれたのは、山小屋からみえる夜景でした。安藤は寝込んでいたので、山口とふたりで「登れなかったですね」と話しながら。
この富士登山はmitecoのヒット祈願を兼ねた、編集部3人による大きな挑戦でした。残念ながら失敗に終わりましたが、日本一の高さには到達したので健闘したほうでしょうか。
まあ、なんにせよ、一筋縄ではいかないということです。この富士登山のようにさまざまな困難が待っているんだと、富士山がそう伝えてくれたように思います。これはこれでいい教訓です。
・・・リベンジ? ふたりは乗り気ですが、僕は体力的にしんどかったので。そうですね・・・前向きに考えておきます。
富士登山続編はこちらから
⇒第2弾(山口)
⇒第3弾(安藤)