岳南電車がリアル『A列車で行こう』に!?
10周年を迎えた「JAZZ TRAIN」に乗ってきた!
「全部の駅から富士山が望める!」という静岡県富士市が誇るローカル鉄道、岳南電車。
今年で10周年の「岳南電車JAZZ TRAIN」に乗車してきました! メディアでは工場夜景と富士山で取り上げられることの多い岳南電車ですが、JAZZ TRAINも人気なんです。
でもその電車の中って、いったいどうなってるの? 興味津々の初体験。元富士市民のスギノが、中の様子をリポートします!
1便がA列車、2便目がB列車と呼ばれるJAZZ TRAIN
静岡で最高気温38℃を記録した2017年8月26日(土)17時10分ごろ。私スギノは、静岡県富士市の岳南電車「吉原駅」に到着しました。JAZZ TRAINの旗が西日を浴びてきらめくホームでは、17時17分発「JAZZ TRAIN A列車」の発車準備が着々と進められています。
ちなみにこの日の夜、18時47分発の列車がB列車。有名なスイングジャズの名曲『A列車で行こう』にかけて、A列車、B列車と名付けられているそうです。
スタッフの裕介さん。トロンボーン奏者ですが、今回は指の怪我のため、演奏はお休みです。
こちらがヘッドマークを付けた専用列車! 発車を待つあいだ、ここで少し岳南電車とJAZZ TRAINのお話をしましょう。
岳南電車の歴史とJAZZ TRAIN
岳南電車は、「岳鉄」の呼び名で富士市民に愛されているローカル鉄道。田子の浦港にある吉原駅から岳南江尾駅までの10駅を走る、全長9.2㎞、片道20分の短い路線です。
毎月第2第4土曜日には、岳南鉄道線の工場夜景を最高のシチュエーションで楽しめる夜汽車の旅、「夜景電車」が運行されるのも魅力のひとつ。
季節やイベントごとに変わるヘッドマークも人気のひとつ。
単線で建物スレスレを走る場所もあり、スリルとワクワク感がたまらない。
岳南鉄道創業60周年を記念して2008年、ビール列車にJazzの生演奏を付けた「JAZZ TRAIN」が始まりました。
その後、時代の移り変わりにより赤字営業となった岳南鉄道は、2013年に「岳南電車」へと生まれ変わります。
社名が変わっても毎年7月の始まりに2本、8月の終わりに2本が運航され、今年10周年を迎えました。JAZZ TRAINは、富士市夏の風物詩のひとつになっています。
いよいよ、岳南電車JAZZ TRAIN A列車が出発!
さて、そろそろスギノも列車に乗り込むこととしましょうか。吉原駅から発車し、終点の岳南江尾駅で20分間の休憩。そして再び吉原駅に戻る、合計60分の列車の旅となります。
指定席に用意されていたのは生ビール! おいしい地ビールが飲み放題です。でもこの日、静岡市で開催されたmitecoライターミーティングのあと、車で富士まで直行したスギノはお酒が飲めません。
コンビニで購入した茹でピー(茹でた落花生。富士宮の名物)とノンアルコール飲料を持ち込みます。うーん、残念! でも――。
友人がごちそうを用意してくれていました! JAZZ TRAINはビール以外の飲食物であれば、自由に持ち込めるシステムです。
おぉ! 隣のテーブルでは、お寿司が並んでいますね! お座敷列車のようです。さあ、いよいよ列車の発車とともに『A列車で行こう』の演奏が始まります。
「河野豊とAトレインJAZZ楽団」が列車先頭でスイングを始めました。河野さんは演奏者であり、富士市でJazzを志す若者たちの指導者でもあります。
2両編成の列車では、後ろの車両まで安定した音楽を届けるのが難しく、10年間試行錯誤を重ねたそうです。ある年にはかつてないほどの大雨で線路が沈没し、演奏途中で運航不能になるトラブルも。バンドの苦労話の大きさに歴史を感じました。
そんな話を常連さんに聞きながら、列車の加速と一緒に、お客さんの盛り上がり速度も上がってきましたよ!
若い人も、あまり若くない人も、はじめましてのお隣さん同士がすっかり仲良く出来上がっています! ローカルマジック万歳! 音楽とビールとJAZZ TRAINがあれば、みんな友達になれるのですね。
折り返し地点「岳南江尾駅」でのお楽しみ
折り返し地点の「岳南江尾駅」に到着すると、10分間の休憩が入ります。ここで楽団のみなさんと記念撮影をしつつ、間近で演奏を聴けるサービスがありました。
夕暮れのプラットホームでのJAZZセッション。シチュエーションがこれまた絵になります。誰もがどこかで聞いたことがある曲を演奏してくれるので、「JAZZってよく分からない感じがする」という人も自然に楽しめる。そんな心遣いが嬉しいです。
サックス奏者の中川さん。これぞJAZZって感じですね。かっこいい!
ちなみにミニイベントの「お楽しみ抽選会」も、この駅でおこなわれます。乗車券を持って、当選番号を見に行きましょう! 私は10番、10番。
なんと、限定記念缶バッチ当選です! ビールが飲めなくても来てよかった。一緒に乗車した友人も、ご当地ビールや酎ハイが当たって大喜びです。
帰り道はセンチメンタル。美しい景色と思い出と一緒に出発
お楽しみの時間が終わり、岳南江尾駅から折り返したJAZZ TRAINは、夕暮れ前の工場地帯を走ります。JAZZと車窓を楽しみながらも、残り少ない時間が名残惜しいです。
あちこちで、「もう一往復したいね」「JAZZとお酒と電車、こういうのっていいね」そんな呟きが聞こえてきました。港から本日最後の富士山が見えると、そろそろ終点。降車です。
みなさんお疲れさまでした。そしてありがとうございました!
富士市の夏の終わりを告げる風物詩、それがJAZZ TRAIN
河野さんは8月のJAZZ TRAINが終わると「今年の夏も終わったな。」という気持ちになるそうです。
そんな夏の風物詩、中の様子はいかがでしたか? このワクワク感を、ぜひみなさんにも1度体験していただきたいと思います。
では来年の夏、岳南電車のJAZZ TRAINでお会いしましょう!