台風時の富士登山、舐めると死ぬ!
下山で知った自然の猛威と階段のありがたみ
どうも、編集部の山口です。この記事で初めましての方もいるかもしれません。
僕は、
こいつです。
さて、これまで富士登山は未経験。というか、登山未経験者しかいない編集部ですが、ショップでいっぱしの装備を揃えて店員さんのアドバイスも聞き、さらにインターネットで登山の豆知識を仕入れて、経験ある知人からも体験談を語ってもらいました。
前日までの準備としては、これはもう万全を期したといっても過言ではないでしょう。
もともと、運動が苦手なタイプではありません(中学まで)。どちらかというと、運動はできるほうだったといえます(中学まで)。今では、どうしようもない堕落したボディになりましたが・・・。
登山前に喜々としてそば食ってる僕
たしかに、富士山は日本一高い山ですが、僕からしたら小さいころから毎日眺めていた山です。そういう意味では近所の山といっても差し支えありません。
なんにせよ
正直、舐めてました。
で、どうなったか、というのは登山編でお読みいただければと思います。
富士山登頂の夢は叶うのか!?登山未経験の3人がヒット祈願で富士山へ
本来あったはずの「登頂編」
さて、今回の企画では、我々miteco編集部が3人で登ったこともあって、それぞれ1記事ずつ担当する予定でした。
で、僕の担当は「登頂編」。
ご来光を拝んで、鳥居を見て富士山の最標高の記念碑の前で撮影した写真を載せる・・・。
みたいなやつですが、
なくなりました(泣)
詳しい理由は次に書きますが、まずはこの悔しさを消化させてください。
富士山登頂した際に、多くの人がやる定番中の定番を8合目でやります。
うおおおお!すげぇえええ!
めっちゃふくらんでる!
・・・
・・・
くそう!
登頂しなかった理由は高山病だけでなく・・・
というわけで、前の記事でも説明しましたが・・・。
安藤社長が高山病になり、救護の人から「8合目で休んで引き返すように」と指導を受けたため、我々の富士山登頂は果たせなくなりました。
しかし、登頂しなかった理由はそれだけではありません。じつはこの日、8月21日から22日にかけて、日本列島に台風が接近中でした。
しかも3つ(苦笑)
山小屋の方によれば、富士山のように標高の高い場所は普段住んでいるところよりも天候の変化の影響を受けやすく、「台風が近づいているとなればすぐに引き返したほうが身のためだ」とのことでした。
できれば登頂したかったですが、自身の身の危険が迫っているとなれば仕方ありません。編集部で話し合い、富士登頂はまたの機会として、今回は8合目でリタイアすることに決めました。
となれば、
そもそも台風来てるし、ご来光も絶対拝めないよね。
こりゃ、とにかくぐっすり眠ってから下山しよう。
強風の中下山なんて体力いるし、ね!
そんなことを考えている間に、すでに寝ている安藤社長(高山病)
見事に未明(午前2:45)に山小屋のひとに起こされました。
・・・さて、下山だ。
ちなみにこのときの天気図といえば
ご覧のとおり、台風が接近中。3つの台風のうちひとつはすでに低気圧に変わっていたようです。
知らなかったわけではないんです。でも、台風直撃は22日の午後だったということもあって、
いけるんじゃないか?
って、希望的観測をもとに登っていたわけです。
でも、冷静に考えてください(特に過去の僕)。
こんなに低気圧が日本を制圧している状況で、人類なんかが敵うわけがない。
あとで知ったんですが、「富士登山オフィシャルサイト」というのがありまして、そこが運営しているTwitterでは、
「経験者のため言いますが、台風の時の富士登山は、本当に命の危険が伴います」
とツイートしておりました(私が「ポテトチップスの袋が膨らんでてスゲー!」とか言っている間に)。
このときの富士山、絶対ヤバい状態です。
It is dangerous.(Mt.fuji)
oh my god….
自然の猛威を舐めると死ぬ
ともあれ、8合目で山小屋の人から「台風が接近してきており、まだ風も雨も強くない今のうちに下山してください」というお達しとともに未明に起こされた我々。4:00くらいには辺りが明るくなってくるため、それに合わせて下山開始してくれとのことでした。
午前4時前。外に出て下山準備中。 ※オレンジのリュックカバーが僕、右側の青いカッパが安藤社長
富士山を降りないことには自身に近づく危険から逃れることはできません。起きたからにはとっとと降りよう。
そう決心して、ゴツゴツした岩肌を降りていきます。
登山中にはその景色から「すっげぇ!」を連呼した僕ですが、もうそんなセリフは出ません。
とにかく、風が強すぎます。
実際、自然を舐めてると死にます。
ロープや岩にしがみつかないと吹き飛ばされそうになるほどの強風でした。下山中の方はみんな身を屈めるようにしながらロープをつかみながら一歩一歩降りていきます・・・。
ちなみにこの時の風速
僕たちが下山中、いったいどれくらいの風が吹いていたのか気になり、調べてみました。
富士山の場所ごとの計測値はさすがにありませんでしたが、気象庁のWEBサイトでは、付近にある河口湖の3km上空地点の風速が公表されていました。
風速19~21m/sでした。
これ、まともに立っていられないくらいの数値らしいです。例えるならば台風が来たとき、「外に出て傘が骨ごと折れた」という経験をお持ちの方も多いはず。
下山中、常時あの状態です。
突風が吹くとその場に踏みとどまることで精一杯でした。なんせ、富士山はコースから外れれば断崖絶壁のようなところもあります。
僕の人生でここまで命の危機だと感じたのは、自転車で自動車にはねられたとき以来です。
ちなみに、下山中の怖さを仲間と共有しようにも、数mの距離しか離れていないにもかかわらず強風でまったく声が届きませんでした。
3人揃っての下山ですが、山荘の前で小休憩する以外はほぼ無言で降りざるを得ません。
その間、僕のリュックカバーは吹き飛ぶ(ちゃんと回収しました)わ、吉松編集長は突風で吹き飛びそうになる(ちゃんと生きてます)わ、やたらといろいろなものが飛びがちでした。
mitecoもこれくらい飛翔できるとよいのですが・・・。
階段は人のために作られたものだった
こうしてなんとか8合目から無事に5合目、シャトルバス乗り場まで下山を達成した僕たち。これまで、強風に耐え抜きながら岩場や砂場を降りてきたこともあり、膝や足の裏がミシミシときしんでいました。
富士宮口は5合目の登山道へ入る際に、コンクリートの階段を上っていくわけですが、この階段を再び目にしたとき、吉松編集長は、
「階段は人が上り下りをするために作られたものなんですね・・・」
と、つぶやきました。
僕も同じことを思いました。
久能山東照宮では、あまりの階段の段数に文句も垂れました
が!
そもそも階段があること自体、山にあるいは過去の先人たちに感謝しなくてはならんということを知りました。
登山中にとった登山道。ゴツゴツした岩場は想像以上に体力が奪われます。
こちらは僕が文句を言っていた久能山東照宮の階段です。成形されている階段、すばらしい!
1159段の先にある絶景!出世祈願のパワースポット「久能山東照宮」
天気には要注意! 体調や装備だけでなく気象条件も考慮しよう
富士山に登るときには装備や体調を整えたり、登り方を覚えたりすることも大切です。
でも、天気によって大自然の性格や見た目が、大きく変わってしまうことも忘れてはなりません。強風や雨が降ると、富士登山も途端に難易度が上昇します。
というか、
間違っても台風が近づいているのに登るのはやめましょう。
ご来光も拝めなければ、登頂すらも断念しなければならなくなるかもしれません。
せっかく登ってきたのに途中でリタイアになるのは結構つらいですよ!
僕から皆様にお伝えできるのは、とにかく「山を舐めてるとロクな目にあわない」ということでした。
今後とも、miteco編集部をどうぞよろしくお願いします。
九死に一生を得た気分で食べたカレー。これまでに食べたカレーのなかで一番おいしかったです。