いまウワサの絶景湖上郵便局へ行ってみた!
感動に出会う大井川鐵道沿線の旅【7話目】
この大井川鐵道沿線シリーズでは、すでに何度か登場している絶景の秘境駅・奥大井湖上駅。
じつは7月7日より、この秘境駅に臨時の“郵便局”が開設されているのです!
画像提供:STLアライアンス
駅に併設された「レイクコテージ奥大井」。郵便ポスト、無料配布のレターセット、スマートフォンから写真を出力するためのプリンターがあり、まとめて送付できるようになっています。
開設日は8月6日までの土日とあって、もう残りわずかとなっていますが、この機会に足を運んでおこうという人も多い模様。
とてもかわいらしい郵便ポスト。 画像提供:STLアライアンス
さまざまな企業や自治体が関わって実現したこの企画。話を伺いたい方も多かったため、今回はmiteco編集部の馬場葵と私の2班に分かれて取材してきました。まずは私より、この催しの全体像をお伝えしていきます。
旅の途中で手紙を送る=Surprise Trip Letter
新米ライターの馬場にとっては、はじめて見る井川線沿線の風景。かわいいフォルムの赤い電車をとても気に入ったよう。
馬場 | まるで湖の上を列車が浮かんでいるみたい。こんな光景が日本にあったんですね……。トロッコ列車もコトコト走る感じで、普段見ている列車とは全然印象が違う。 |
さてさて。そんな奥大井湖上駅。郵便局開設には大井川鐵道や川根本町はもとより日本郵便、旅行会社のtrippieceなど計10の団体が参画しています。
企画名はずばり「Surprise Trip Letter=STL」。参画している集合体を「STLアライアンス」として運営しているそうですが、企画を監修したのがお若いうえに有名な方で驚きました。
世界の絶景地を著書で紹介されている『死ぬまでに行きたい!世界の絶景』のプロデューサー詩歩さん。なんと、じつは静岡県浜松市出身なのです。
世界の絶景シリーズ「日本編」では、以前にmitecoでも掲載した寸又峡の吊り橋も取りあげています。
そうかそうか……。なんか、大井川鐵道関連企画のなかでも内容が若々しくて女性的だなと思っていたら、監修者がこの方だったのか。納得。
詩歩さんへのインタビュー内容は後日、馬場のほうからお伝えします。若くして著書を出版していますし、自然を媒体にしたクリエイティブを手掛けてきたとあって、普段どんな日常を送っているのかも気になりますね。
湖上駅から奥大井の魅力を伝えたい!
私からは川根本町役場観光商工課の村松由貴さんと、鈴木浩之さんにインタビューさせてもらいました。
左端が村松由貴さん、右から2番目の方が鈴木さん。
Takashi | 今回のイベントですが、どのような流れで決まったのでしょうか。ずいぶん多くの方が関わっているようですが……。 |
村松 | 最初は、本当になにげない話からでした。湖上駅で、なにかしたいねって。 |
鈴木 | そう。日本郵便で親しい人もいたので、いつしか郵便局になったっていうかね。 |
Takashi | そういえばカメラメーカーのCanonまで参画していますね。 |
鈴木 | スマホで撮影した画像を出力するのに、プリンターを提供してくれています。自分たちでも、ここまでいろんな方々に協力をあおぐことになると思わなかった。 |
スマホで撮影した湖上駅の絶景画像をプリントして、手紙に同封できる。
Takashi | 詩歩さんへの打診は、どういった経緯からでしたか? |
村松 | 有名な方なのでもともと存じあげていたのですが、以前、湖上駅を紹介してくださったことがあって。え〜っと、いつだったかな……。 |
調べてみたところ、たしかに著書で掲載されていました。実際にトロッコ列車で湖上駅を訪れ、とっておきの旅先として紹介してくれています。こりゃ嬉しい。
村松 | 写真を印刷するとか、直筆で手紙を書くとか。こんな時代だからこそ、そういったアナログな方法で、奥大井を満喫してほしいなと思って。単なる休憩所でしかなかった「奥大井レイクコテージ」も、これで人の拠りどころになるかと。 |
Takashi | 駅で降りて終わりではなく、この場所で少しゆっくりする時間もできますね。 |
鈴木 | オフレコなんだけど、手紙って話になったのが私の個人的希望もあったりして。 |
Takashi | と、おっしゃいますと? |
鈴木 | 死ぬまでに1度でいいからラブレターほしい! できればいま! |
Takashi | いや、それオフレコにするつもりありませんので。 |
鈴木 | え。いや困ったな。まあそれはいいとして、その先にまだ目的があるんだよね。 |
村松 | 奥大井湖上駅からさらに先まで、足を運んでくれる人が増えてくれたら嬉しいです。あまり知られていませんが、接岨峡温泉なんて泉質が抜群によくて、若返りの湯なんて呼ばれているんですよ。 |
鈴木 | そうそう。日帰り温泉もあるし超オススメ。 |
接岨峡温泉は井川線井川行き列車で、奥大井湖上駅の次に駅があります。湖上駅からもがんばれば徒歩でいける距離。
瞬間的に、脳内取材候補メモに追加した筆者でした。地元の方からの情報は本当に頼りになります。
まるで“スイス”な郵便局
開催期間も残りわずかとなったこの素敵なイベント。楽しみ方をもう1度おさらいします。
会場で無料配布されているオリジナルレターセット。
- 臨時郵便局にてレターセットを受け取る
- サプライズしたい相手に手紙をしたためる
- 湖上駅周辺で撮影した写真のプリントアウト
- 写真を同封し、かわいいポストに投函
このような流れ。馬場は両親に手紙を書いてみたようです。
雄大な山々と湖に抱かれた赤い列車と架橋。その風景はしばしば、スイスの登山鉄道に例えられることもあるそうです。そこでレターセットのデザインも海外風に制作し、郵便局にはスイス風の装飾を施したのだとか。
画像提供:STLアライアンス
レターセットには海外風のオリジナル切手を同封、オリジナルの消印も押印されます。ここでしたためた写真付きの手紙を受け取った相手は、海外から手紙が届いたと錯覚する、そんな仕掛けですね。
日本でここにしかないといっても過言ではないと思える絶景。「死ぬまでに」と言わず「いまこそ」行ってみましょう!