3776井出ちよの出演作品『富士消失』上映決定!
監督・島田元が語る見どころ【mitecoまつり2017】

  • posted.2017/06/28
  • 安藤悟
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3776井出ちよの出演作品『富士消失』上映決定! 監督・島田元が語る見どころ【mitecoまつり2017】

最近、ありがたいことに「mitecoで3776の情報がわかって助かる」というお声をいただく機会が増えました。どうも、編集部の安藤です。

先日お伝えした通り、9月30日(土)に開催する「mitecoまつり2017」で、3776(井出ちよのさん)の出演が決定しました。さらに当日は『LOCO DD 日本全国どこでもアイドル』から、3776出演の映画『富士消失』も当日夜の東京公開に先駆けて上映が決定 会場はサールナートホール1Fホールです。

『LOCO DD 日本全国どこでもアイドル』は、3組の地方アイドルを3篇のドキュメンタリーとして切り取ったオムニバス映画。シネマート新宿(東京)でmitecoまつり2017と同日のレイトショーより、2週間限定上映が始まります(詳しい開始時間等は後日、公式サイトにて発表)。

そこで、3776出演『富士消失』の映画監督、島田元さんから本作の背景から見どころを伺ってみました。

なぜ映画『LOCO DD 日本全国どこでもアイドル』を企画したの?

fujishoshistu_01当時、中学2年生の井出ちよのさん。わずか2年前だが幼い印象。(映画『富士消失』より)

まずは、島田さんの簡単なプロフィールとともに今回の映画を撮影した経緯です。

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島田元

京都府出身。1959年生まれの58歳。大学時代、映画サークルで監督を務めた8ミリの自主映画『リトル・ウィング(81)』がぴあフィルムフェスティバル82に入選。映画の道を志すことになる。1990年代に若松孝二監督などの現場に照明助手として参加し、ビデオシネマの脚本を手がけ、商業作品の世界で働きはじめた。自身の作品『一日スパイまどか(05、BS-i短篇ドラマ)』が、渋谷の映画館で上映されたときが思い出深いとのこと。

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安藤

なぜ『LOCO DD 日本全国どこでもアイドル』という企画を立ち上げたのでしょうか?
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島田

関西テレビやBS-i(現BS-TBS)でドラマの監督をしたり、最近では個人事業でライブ・イベント・結婚式の撮影を請け負っていたのですが、劇場用映画を作りたいという気持ちを抑えることができず、出発点に立ち戻って自主製作でやってやろうと思いました。
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安藤

今回はBoBA(田中要次)さん、大工原正樹さんと、3監督のオムニバス作品なんですね。
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島田

BoBAとは商業作品の現場で、大工原監督とは脚本家として出会いました。一昨年の暮れに声を掛けてオムニバスを撮ろうという話になり、今年の春に完成させました。

 

それぞれローカルアイドルが主役なのですが、BoBAは長野県ゆかりのオトメ☆コーポレーション、大工原監督は福岡県のFantaRhymeを誰かに押しつけられたわけではなく、自ら選びました。私の作品を含め、3本ともドキュメンタリーとドラマをミックスしています。

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安藤

なるほど。ローカルアイドルに対して、どのような印象がありますか?
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島田

3776もそうですけど、多くのローカルアイドルは個人が構想から現場まで一貫して手づくりしている。我々が自主映画を手がけるときと同じで、非常に親しみを覚えます。でも、芸能の原型ってそうでしょう。誰から言われたわけでもなく、なにかを見せたい、楽しませたいという人間の気持ちが自然に重なり合って、その上で創意工夫を重ねて、披露の場を作る。
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安藤

そうですね。やらされているアートやエンターテインメントだと、観客も魅力を感じにくいかもしれません。
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島田

いや、請負仕事のなかで力を発揮するのも大切です。でも、出発点としてのエンターテインメント本能みたいなのは忘れたくないですね。3776さんはとくに原型的なことをやっていて、だから俺には即興もリンクアイドルも全く自然に映るんですが、FantaRhymeプロデューサーのH(eichi)さんなんかも、地元福岡で音楽をやりたい人に手を差し伸べて一緒にやっていく世界を、個人レベルの信頼関係のなかで築いている。まったくの手づくりでね。

なぜ、3776に白羽の矢が立ったのか?

fujishoshistu_02ドキュメンタリーではライブの模様も撮影されている。(映画『富士消失』より)

『LOCO DD 日本全国どこでもアイドル』は、3人の監督が選んだローカルアイドルに焦点を当てた映画作品。島田さんが3776を選んだ理由は“表現力”だと言います

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安藤

各監督の好みで主役のアイドルが決まったとのことですが、なぜ島田さんは3776を選んだのでしょうか?
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島田

キャンディーズのころからアイドル音楽は好きで、3776や前身のTEAM MIIの音楽もYouTubeで聴いていて、「いいなぁ、面白いなぁ」と思っていました。それで3776初のフルアルバムが出たってんで買って聴いたら、これが素晴らしい。

 

すでにオムニバス映画自体の構想はあったので、出演の交渉も念頭においてタワーレコード渋谷店でのリリースイベントのミニライブに行きました。まあ、基本は楽しみだったからですけど。

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安藤

となると、ちよのさんのソロですよね。実際にライブを観て、どんな印象でしたか?
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島田

かわいらしいのはもちろん、表現力が素晴らしい。本人が意図しないところまでも含めた表現力です。
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安藤

表現力ですか。
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島田

その日はアルバムの評判もあって、ものすごい数のお客さんが集まったんです。それに若干キョドってる感じさえ、魅力になっていました。

 

表情、たたずまい、動きに、井出ちよのさんならではの持ち味が万華鏡のように次々と新しい面を見せてくれる面白さですね。そのなかのどういう面を映画に活かすかという創作心を刺激してくれる。しかも場を染める力があるのは、スター性だと思いました。

 

あと、喋っているのを聞いて、この子は役者に必要な賢さを持っていると感じました。与えられた役割のなかで素直に自分を出してくれそうで・・・これは小手先ではない「大きな賢さ」です。

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安藤

ベタ褒めですね! それで出演交渉に?
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島田

映画に織り込むドラマの内容も、例のフルアルバム『3776を聴かない理由があるとすれば』のジャケットをヒントに思いつき、プロデューサーの石田彰さんに企画内容をあらすじ共々メールしてからお会いして、スムーズに出演OKをいただきました。

 

ちよのさん、石田さん、ちよのさんの幼いころのお写真の提供などで協力してくださったご家族の方には、本当に感謝しています。

3776を撮影したときの印象は?

fujishoshistu_03異世界に投げ出されるという設定。ぶっ飛んだ設定は3776らしい?(映画『富士消失』より)

ちよのさんの高い表現力に惚れ込んだ島田さん。映画撮影時、監督の目から見てちよのさんはどのように映ったのでしょうか?

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安藤

撮影した印象はどうでしたか?
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島田

ちよのさんははじめての映画現場で、しかも早撮りだったので、戸惑いもあったようです。その戸惑いぶりが、見知らぬ世界に投げ出されたという物語とマッチして魅力的でした。試写会で観た人が、「どうしてあんなに魅力的に撮れるのか」と言ってくれましたが、それは撮ってるほうよりもちよのさん自身の手柄だと思います。いや、撮ってるほうもちょっとあるか。
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安藤

見知らぬ世界に飛ばされるという発想に驚きました。ところで、石田さんも映画のドラマシーンに出演していましたね。“アノ”出演にはビックリしました。
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島田

お会いしたときにある格好をしていただきたいと思ったからですが、バッチリ決まっていますよ。
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安藤

たしかに、登場した瞬間は「これ、石田さん?」と驚きましたが、かっこよかったです! 反対に、作中で苦労したシーンはありますか?
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島田

ドキュメンタリーの撮影中、私ひとりで出向いたときがあるのですが、ある交通機関の出口からちよのさんと石田さんが出てくるシーンに苦労しました。
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安藤

それは、どんなところで?
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島田

まず到着時間がズレてしまい、出口自体が変更になりました。そして、カメラを構えてから気付いたのですが、出口がふたつある。時間がないから石田さんへの連絡も間に合いそうになく、ヤマカンでカメラを向けました。

 

結果的にふたりともカメラを向けたほうの出口から出ていらしたのでよかったんですが、ヒヤヒヤしました。でも、そんな緊張感もドキュメンタリーらしく、雰囲気はよく出ていると思いますよ。

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安藤

なるほど。では、本作の見どころを教えてください。
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島田

ドキュメンタリーとドラマのちよのさんの違いや、逆に重なる部分を楽しんで欲しいですね。
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安藤

ドラマも突飛な世界観のようでいて、ちよのさんや3776の世界観とリンクしている印象を受けました。
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島田

あと、作り手側としては、共演の大村波彦さんがピストルを手で回す動きの流れでガンベルトに仕舞う場面を観てあげて欲しいです。

 

あれはちょっとしたワザなんですよ。回す以上に、スムーズに仕舞うのが難しいんです。でも大村さんは手もとを見ずにセリフを言いながらこなしている。訓練されたわけで、映画にはそんなちょっとした部分に役者の苦労があります。

オムニバス作品ならではの豊かな発見をしてほしい

fujishoshistu_04ドラマパートから抜粋。実際にちよのさんは学生ですが制服は珍しい気がします。(映画『富士消失』より)

映画のコンセプトはスター映画3本立て。娯楽や情報のつまみ食いができるネット全盛の時代だからこそ、オムニバス作品ならではの“ついで”によって生まれる、豊かな発見を望んでいるそうです。

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安藤

島田さんの映画『富士消失』では、どんなテーマや狙いがありますか?
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島田

作品のテーマは個々のお客さんが発見するものだと思うので、自ら語りたくありません。ただ『LOCO DD 日本全国どこでもアイドル』というひとつの作品を作り上げるうえで、自分たちなりのスター映画3本立てを作ろうという狙いはありました。
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安藤

3本立てですか。
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島田

日本映画華やかなりしころは、日活アクションにせよ東宝青春映画にせよ、お目当てのスターの映画が2本立てで楽しめたじゃないですか。それがまた名画座に落ちると3本立てになって、たまたま一緒にやっていたもののほうに魅せられたりする。たとえば、裕次郎を観に行って宍戸錠に惚れて帰るなど、2本立て・3本立てが大きな枠組みでの作品体験として、機能していたわけです。
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安藤

「mitecoまつり2017」も、いろいろなコミュニティの人たちが別のコミュニティに出会うことで、化学反応が起きるのではないかと考えています。
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島田

いまはネットで娯楽や情報が溢れかえっているとはいえ、それらがつまみ食いできるせいで、多くの人が最初から興味のあるものしか受け入れようとしない傾向にあると思うんです。かえって自分たちの受け入れる幅を狭くしている。

 

映画館で、「ついでにこれも観ていくか・・・」みたいなことから得られる豊かな発見がなくなってしまった。そういう豊かさを自分たちのレベルで復活させたいですね。

 

だから今回、「mitecoまつり2017」で『富士消失』を観て、もしちょっとでも気に入ってくださったなら機会を見つけて映画全篇を観ていただきたいですね。上映していただけることがその入口になれば幸いです。

mitecoまつり2017は鋭意準備中!

9月30日(土)、3776のライブと映画『富士消失』がまとめて観られるのはmitecoまつり2017ならでは。当日の封切を前にフライングで映画を観たい人も、3776のライブが楽しみな人も、ぜひサールナートホールへお越しください!

ちなみに、7月10日まで本作の宣伝費・上映関連費をクラウドファンディングで募っているとのこと。僕も映画公開に向けて応援でひと口入れました。

主演を務める井出ちよのさんについて

協賛

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静岡シネ・ギャラリー

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