リコーダーを吹き続けて「笛のおねえさん」へ
harukaの続けられる理由と伝えたいコト
こんにちは。今年、花粉症デビューをしたゆっけです。
みなさんはリコーダーにどんな印象をお持ちですか? 「小学生のときに習う楽器」「栗コーダーカルテット」「ピューと吹く! ジャガー」といったイメージでしょうか。いずれにせよ、「もう何年も触ってないから、名前自体を久々に聞いた」という方が多いのではないかと思います。
僕も小学生のころはバリバリ練習していた覚えがありますが、いまでは「とても懐かしい楽器」が一番しっくりくる表現です。それ以来リコーダーとは無縁の日々を過ごしてきた僕ですが、知人に観に行こうと誘われたとある演奏会。ある方のリコーダー演奏を聴いてから、「え、リコーダーってこんなに凄かったっけ?!」とリコーダーに惹かれてしまいました。
ある方とは、その名も「haruka」さんというアーティスト。音楽のまちとしても知られる浜松市の出身で、現在は「笛のおねえさん」の異名を持ちます。
haruka
浜松市出身磐田市在住。7年連続全日本リコーダーコンテスト出場。2009年高校生独奏部門全日本リコーダーコンテスト金賞。そして最高位に贈られる花村賞受賞。リコーダーコンテスト浜松予選元審査員。2010~2015年鈴木楽器製作所にて木製リコーダーの制作・設計に携わる。現在は「笛のおねえさん」としてリコーダー教室、ライブ活動、テレビ出演、ネット番組「はまみゅ」月曜MCと幅広く活動中。
Twitter:@haruka_recorder Instagram:haruka_amoroso
ちなみに単にリコーダーの演奏をするだけでなく、さまざまなジャンルやバンドサウンドへの融合も目指している方。ネットで有名な『千本桜』もharukaさんの手にかかればリコーダーでもカッコよくなっちゃうんです。
今回は2017年3月4日に静岡市内にあるジャズバー「Garden café life time」で行われた、「静岡大学吹奏楽団×haruka」のイベント終了後にharukaさんへインタビューさせていただきました。
イベントは、静岡を中心にさまざまなイベントをプロデュースしている服部光哲さん主催。イベント当日はテーブルを取り払って設置した席が満席になるほどの盛況ぶりでした。
※harukaさんは「haruka*(小文字の後ろにアスタリスク“*”)が正式ですが、本記事では「haruka」と表記させていただきます。あらかじめご了承ください。
harukaさんとリコーダーとの出逢い
ゆっけ | いやー! 圧巻の演奏会お疲れ様でした! 本当に感動しました! |
haruka* | ありがとうございます。 |
ゆっけ | harukaさんはいつからリコーダーを始めたんですか? |
haruka* | はじめてリコーダーに触れたのはきっとみなさんと同じで、小学校の授業からです。 |
ゆっけ | あ、入り口は普通なんですね。でも、学校の授業以外でもリコーダーにのめりこんでいくという方は少数だと思うんです。harukaさんがリコーダーにハマったきっかけはなんだったんでしょう? |
haruka* | 小学校5年生のときにリコーダーコンクールに参加したことですね。当時、わたしには特技という特技がなかったので、募集を知ったときに「リコーダーだったら自分でもできるかな?」と思って参加してみました。
そこからは、コンクールがあれば出場するような感じに。で、コンクールの度に「これで最後にしよう」と思うんですけど、演奏が終わったときの達成感にとりつかれたようになりまして・・・。 |
ゆっけ | コンクールに出場することでのめりこんでいったんですね。小学校以降はリコーダーに触れる機会もほとんどなくなるのが普通ですが、部活動や教室に通われていたんでしょうか? |
haruka* | 小学校を卒業してからは吹奏楽部に。もちろん、そこでは別の楽器をやっていたので、リコーダーは独学で練習をして演奏会やコンクールに出ていました。
とはいえ、仲間がいなかったわけではなく、中学生のときには4重奏(4人グループでの演奏)になったんです。でも、メンバーがだんだんと受験や部活で忙しくなり、ひとりまたひとりとやめていき、最終的に中3でひとりに・・・。
人がいなくなってしまったから、続けるには自分ひとりでやるしかなくなってしまって。 |
ゆっけ | そのころにはひとりになっても続けられるくらいのめり込んでいたんですね。 |
haruka* | そうですね。最終的に手が回らなくて吹奏楽部はやめてしまったんですけど、その分リコーダーとは徹底的に向き合うことができました。 |
経歴には「リコーダー職人」も・・・?
イベント中はリコーダーの紹介や説明もしてくれる親切なharukaさん。じつはリコーダーの仕組みにもすっごく詳しいんです。
ゆっけ | MCで、「リコーダー職人もやっていました!」と話されていましたが、どうして演奏だけでなく、作るほうにも興味がわいたんでしょうか? |
haruka* | じつは工業高校の出身で建築科だったんです。 |
ゆっけ | 工業高校出身なんですか!? 見えないですね。 |
haruka* | よく言われます(笑)
卒業後は「就職したい」という漠然とした思いがあったんですけど、いざ就活になったときに、応募先の企業は建築系の募集が女性ひとりのみだったんです。選考にも落ちてしまって・・・。 |
ゆっけ | ひとり! 狭き門なんですね。 |
haruka* | そんななかで見つけたのが鈴木楽器※という楽器メーカーさんの求人でした。ここはリコーダーを作っているメーカーさんだったのですごく興味があったんですが、募集していたのは違う職種で・・・。
でも私が高校2年生のとき、鈴木楽器のリコーダーでコンクールで優勝をしたことがあって、このメーカーさんのリコーダーが大好きだったんです。「そんな素敵なリコーダーをつくることに携われたら・・・」と、想いを伝えさせていただく機会がありまして。
結果的にそれで、採用していただくことができました。 |
ゆっけ | それまでのリコーダーキャリアとharukaさんの努力の賜物ですね。 |
haruka* | それから5年間、木製リコーダーを彫ったり、小学校で使うリコーダーの設計をしたり、図面を書いたりしていました。
そのほかには製作したリコーダーの営業で各地を回ったり、小学生への導入講習をしたりもしていましたね。 |
※鈴木楽器製作所:浜松に本社を置く楽器メーカー。鍵盤ハーモニカやリコーダーをはじめとした、音楽教育向けの楽器を主に製造・販売している。
「笛のおねえさん」のこれからは?
ゆっけ | 「笛のおねえさん」ってとってもキャッチーな名前ですよね。笛のおねえさんとして今後どんな活動を? |
haruka* | 笛のおねえさんって「うたのおねえさん」からのインスパイアなんです(笑) |
ゆっけ | そうですか(笑)とても健全な印象を受けます。 |
haruka* | これにはきちんと意味もあって。リコーダーってみんな学ばなければいけない楽器だけど、苦手な子もすごく多いんです。
それで、リコーダーとの出逢い方がここを分ける一因じゃないかと思っているんですね。だから、リコーダーを少しでも好きになってもらえるようなキッカケを作っていきたいなあ、と思っています。
今後も奏者としての活動はしていきますが、披露するだけではなく、これからリコーダーを始める子供たちと一緒に学んでいきたいので、いろんな場所でリコーダー教室ができればいいですね。 |
ゆっけ | これからリコーダーを始める子供たちがharukaさんの演奏を聴いたら、子供たちの夢も広がりそうですよね。 |
haruka* | そうなってくれれば嬉しいですね。私に出逢ってくれた人たちには音楽を好きになってほしいですし、リコーダーを通して少しでも希望が芽生えるような活動をしていきたいと思っています。 |
ゆっけ | 今後のご活躍にも期待しています! 最後の質問ですが、ずばり! harukaさんが思うリコーダーの魅力ってなんでしょう? |
haruka* | なぜリコーダーが教育楽器に選ばれているのかにつながるんですけど、子供から、おじいちゃんおばあちゃんまで、誰でも気軽に始められるところがリコーダーの一番の魅力だと思います。 |
ゆっけ | 小学生が全員習うことになっていますもんね。 |
haruka* | はい。音は誰でも鳴らせるんですが、だからこその難しさもあって。練習していかないとその難しさに出会えないんですけど・・・奏者としてはそこに惹かれます。 |
ゆっけ | 構造はシンプルでも、harukaさんの演奏を聴いていると、リコーダーは本当に奥が深いんだなあと感じました。
MCでもリコーダーの種類や奏法の説明をしてくれていましたが、思わず「へぇー!」と声が出てしまうほど勉強になりました。楽しかったです。 |
haruka* | 誰もが演奏したことのある楽器で、小学生からプロまでとユーザーの幅が広い楽器って珍しいと思うんです。みんなが経験してきた楽器だからこそ、ギャップを見せやすいので「こんな音が出るんだ!」と驚きや感動も大きいと思います。
もちろん、練習して努力を重ねるほど技術や音の質は向上していきますが、ちょっとした手軽さと奥深さが両立した楽器なので、驚かれても「全然、みんなできるよ」と胸を張って言えるのも好きな部分ですね。 |
長らく触っていなかったリコーダーを引っ張り出してみませんか?
誰もが一度は触れたことのある楽器、リコーダー。harukaさんの演奏を聴いて、シンプルな作りながらも、奏法ひとつでさまざまな顔を魅せてくれる奥深い楽器だと気づかされました。
もし自宅のクローゼットや物置にリコーダーが眠っているようでしたら、そこから引っ張り出してリコーダーを吹いてみてはいかがでしょうか? もしかしたら、大人になったいまだからこそ感じる、特別な感覚に出逢えるかもしれません。
そんな風に思わせられるほどに素晴らしい演奏をする「笛のおねえさん」。じつは次回の演奏会も決まっています。取材時と同じ場所なんですが、駅チカでとってもおしゃれなスペース! お時間のある方、ぜひぜひ足を運んでみてくださいね!
第2回「haruka ︎×くらしまバンドコラボ演奏会」
- 日程:2017年5月13日(土)
- 場所:浮月楼内 Garden cafe life time
- 時間:12:00~
- チケット:3,000円
※チケットの問い合わせはharukaさんのFacebookへ!