「なぜ、カッパが目薬を持ってるの?」
佐久間のゆるキャラ、さくまるくんって?
浜松市のゆるキャラといえば、ゆるキャラグランプリも獲得した「出世大名家康くん」が有名です。しかし浜松の奥座敷・佐久間のゆるキャラ、カッパの「さくまるくん」もかわいいと話題(?)のキャラクター。
でもなんで佐久間でカッパなんでしょうか。しかも“カッパの目薬”という謎めいたものを首からぶら下げて……。これらの疑問を解決するために、浜松市竜区観光協会佐久間支部にお話を伺ってみました。
さくまるくんのプロフィール
まずは、さくまるくんのプロフィールを見てみましょう。
さくまるくん
- 誕生日:2011年9月30日
- 住まい:静岡県浜松市天竜区佐久間
- 持ち物:目薬
- よく食べる食べ物:おそば、とじくり(佐久間の郷土菓子)
- 仕事と将来の夢:佐久間の地域PRを通じて、日本中に笑顔を広めたい
佐久間の観光大使的なポジションのゆるキャラといった感じでしょうか。彼の人物(?)像をもう少し詳しく深堀りするために、さくまるくんに詳しい方へお話を聞くことにしました。
どうして、佐久間でカッパなの? 目薬はなに?
浜松市竜区観光協会佐久間支部の担当者はムラセさん。優しい声色のお父さん・・・というイメージの人でした。
安藤 | どうして佐久間のゆるキャラがカッパで、目薬を持っているのでしょうか? |
ムラセさん | さくまるくんのモデルは、古くから佐久間に伝わる民話集『さくま昔ばなし』にある「カッパのくれた目薬」のカッパです。数十年前に佐久間の民話を集めて本にもしたんですが、佐久間に住んでいる人ならみんな知っている話です。 |
安藤 | さくまるくんは、その第1話に登場する「カッパのくれた目薬」のカッパがモデルだといいます。これは、どんなお話なのでしょうか? |
ムラセさん | 「カッパのくれた目薬」は、町医者の見龍さんが飼っていた馬に悪さをしたカッパが、町の人たちに捕まったときに改心して“白梅散”という目薬の作り方を教えるというお話です。この目薬は、大正時代はじめごろまで作られていたみたいです。 |
なお、見龍さんは明治時代にいた実在のお医者さんだそうです。もしかしたら、本当にカッパと出会い、目薬の作り方を教わったのかもしれません。
さくまるくんの誕生日と佐久間の偶然の一致!?
ちなみにふと気になって、さくまるくんの誕生日である9月30日と佐久間の結びつきを調べてみると、なんと1956年のこの日、佐久間村(現:佐久間町)が廃止されています。もしかすると誕生日の理由は……と思いムラセさんに尋ねてみたところ、意外な答えが返ってきました。
安藤 |
どうして、さくまるくんは9月30日生まれなんですか? |
ムラセさん | じつは、さくまるくんがうちにやってきたのが9月30日だったんです。初めて出会った日をそのまま誕生日にしてしまいました。 |
安藤 |
そうなんですね(笑)この話、記事にしても大丈夫ですか・・・? |
ムラセさん | どうぞどうぞ。 |
どうやら、誕生日の決め方はゆるいみたいです。
でも、優しい口調で“さくまるくんと初めて出会った日”と話すあたり、さくまるくんへの愛をムラセさんから感じますね。
ゆるキャラのゆるい目標とムラセさんの佐久間への愛
さくまるくんは2015年のゆるキャラグランプリで、エントリーした1,727体中560位(ご当地部門は1,092体中368位)でした。全国にたくさんのライバルがいることを考えると、十分に健闘したのではと思いますが、少し低い気も……。
でもムラセさんは、「ゆるキャラグランプリで、1位になることが夢じゃないんですよ」と言います。いったいどういうことなのか。最後に、これからのムラセさんの目標とさくまるくんのこれからを聞いてみました。
安藤 | さくまるくんとムラセさんの目標を教えてください。 |
ムラセさん | 佐久間は中山間地域にある村で、少子高齢化が進んでいます。町が注目を集めても若者の人口流出は食い止めるのは難しいですが、小さな町がにぎわえば問題解決につながるかもしれません。だから、さくまるくんといっしょに佐久間をPRしたいんです。 |
“ゆるい”エピソードから生まれたさくまるくんと、やわらかな雰囲気のムラセさんですが、佐久間への愛はズシリとした重みを感じます。今度のお休みは、さくまるくんのふるさとへ足を運んでみてはいかがでしょうか?