ストーリーを感じる幻想的なアート作品たち
「生と死」が混在するえかきクリエイターKOTA
こんにちは。先日、初夏の八ヶ岳トレイルを満喫してきたゆっけです。
みなさん、アートはお好きですか? じつは僕、大の現代アート好きでして。美術館はもちろん、日本各地で行われている芸術祭にもちょくちょく足を運んでいます。そんなアート好きな僕の心を掴んで離さないアーティストのひとりが「KOTA」。
KOTA
1986年生まれ。静岡県静岡市出身在住。Quolia代表。デザイナー・えかき。ライブペインティング、ウェブデザイン、パンフレット、ロゴの作成など幅広い分野で活動中。
KOTAが手掛けたフリーペーパー表紙絵。
僕とKOTAは学生時代からの友人ですが、彼の描くストーリーを感じる幻想的な作品に惹かれ、友人でありながらもすっかりファンです。
今回は彼のアトリエで話を伺ってきました。どんなキッカケで絵を描くことになったのか、どんな想いで絵を描いているのか、アイデアの源泉はどこにあるのか、いちファンとして知らなかったことを聞いてみます・・・。
『6(む)かえる』
絵を描くきっかけは「あるテレビ番組のオープニング」
『box summer』
ゆっけ | そもそもKOTAが絵を描くきっかけって? |
KOTA | 4才くらいのときに『なるほど!ザ・ワールド※』をよく観ていて。この番組にはオープニングで魚の絵が出てくるんだけど、じつはその絵を描いている外国人アーティストが日本平に来たときがあって、親が連れてってくれたんだよね。「床いっぱいに置かれた紙に絵を描く」というワークショップをやらせてもらったんだ。 |
ゆっけ | そんな方が日本平に! ワークショップは楽しかった? |
KOTA | それはもう! そのワークショップがすごく楽しくて、すぐあとにはラッセンの展覧会にも連れてってもらったんだけど、その日以来、「ラッセンになる!」と周りに言っていたみたい(笑)それがキッカケで4才くらいから「えかきになりたい!」と思っていたかな。 |
ゆっけ | 両親はKOTAをえかきにさせるように完全に誘導してるよね(笑) |
KOTA | いま思えばそうだね。小学生の卒業アルバムにも将来の夢に「えかき」って書いてあったから。 |
※なるほど!ザ・ワールド:フジテレビ系列で放送された紀行クイズ番組。1981年10月6日から1996年3月26日まで放送。
『blue』 この作品の根底にあるのは「生」と「死」だそう。
鹿をモチーフに用いているのは小さいころに行ったサファリパークの思い出
『garbera』
ゆっけ | 昔からKOTAは鹿がモチーフの作品を多く描いてる印象を受けるんだけど、いろんな動物がいるなかでどうして鹿の作品が多いんだろう? |
KOTA | 小さいころに行ったサファリパークに片方の角がない鹿がいて、それがものすごく衝撃的だったんだよね。 |
ゆっけ | なるほど。たしかに子供心にも刺さるものがあるね。 |
KOTA | はじめて自分のために描いた絵がコレなんだけど。髪の毛が半分あって半分ない男の子がいるでしょ? 片方の角がない鹿からのインスピレーションで、そこから生と死のイメージが湧いて。 |
『pictura』 KOTAがはじめて自分のために描いた絵。
ゆっけ | KOTAの作品を観ていて、明るい作品と暗い作品の対象的な作品が多いと感じていたけど、まさか「生」と「死」が根底にあったなんて思わなかったな。 |
KOTA | 昔から「生」と「死」に凄く興味があって。専門学生時代には、描いていた絵はみんなに「キレイな絵だけど暗いね」って言われていたね。 |
ゆっけ | たしかにKOTA自身のために描く作品は「死」への関心が作品にすごく表れていると思う。逆に依頼されて描いているものは「生」が色濃く出てるよね。 |
KOTA | 根底に死への興味があったからね。「死ってなんだろう?」って考えてる事も多かった。でも暗いだけでは・・・とも思っていて。常に「明日死んでもいい」と思えるくらい、1日でも多く楽しく生きたいと意識しているよ。 |
窓に描いたウィンドウアート。
ライブペイント『いぶき』 ライブペインティングも鹿のモチーフ!
ライブペイント『santa-october-』
KOTAは不定期でクラブイベントや映画祭など、さまざまな場所でライブペインティングもおこなっています。ライブペインティングはどんな想いで取り組んでいるのか、さらに「えかき」としてのモチベーションのつくり方について彼の核心に迫ってみました。
ライブペイント『eros Tanatos』
ゆっけ | KOTAはライブペインティングにも取り組んでいるけれど、そこで大切にしていることってある? |
KOTA | 描いてるときは楽しいから、「この楽しい気持ちが見てる人にも伝わればいいな」って思うよ。 |
ゆっけ | それはバッチリ伝わってくる(笑)作品は伝えたいメッセージを込めながら描いてるの? |
KOTA | 「絵に対してこう思ってほしいんだ!」っていうのはないけど、観てくれた人のなかで行動や気持ちのなにかが変わってくれたら嬉しいね。
いいほうだったらもちろん嬉しいし、悪いほうだったらゴメンナサイだし・・・。「作品がひとりの人間のなにかを変えた」って思うのは楽しい。 |
ゆっけ | KOTAの作品からはストーリーを感じるし、僕はいつも脳内トリップさせてもらってます(笑)「えかき」としての展望というか今後は? |
KOTA | こもって絵を描いていたいかな。誰のためでもなく、個展をするでもなく、ただ絵を描きたいから描く。
10年20年経ったら、ようやく自分のなかから出てくるなにかがあるのかなと思っていて。それができたら夢が叶ったなって思う。 |
ライブペイント『notitle』 静岡カンヌウィークにて。
ライブペイント『moon』
撮影中に即興でライブペインティングをしてくれました。
KOTAの活動名義である「Quolia」という言葉は、「クオリティ」を意味するラテン語。これに紐づいたインタビューで彼の口から出た、
「赤いリンゴの赤さとか、干したての毛布の匂いとか、なんとなくみんな同じ感覚で持っているよね。それと同じように絵やデザインも創り手と受手がちょっとでもリンクしてくれたらって思ってるんだ」
という言葉が印象的でした。
ひとつの作品でも受け止め方は十人十色。KOTAの作品に限らず、正解がなく無限の可能性を秘めているところがアートの素晴らしさだと思います。
みなさんも機会があればアートに触れてみてください。もしかすると、いままで感じたことのない感情や気持ちが湧き出てきて、行動が変わるかもしれません。
即興で完成した作品がこちら。KOTAの代名詞である力強い鹿を描いてくれました。
KOTAさんの各種情報先
個人HP:http://kota-yamamoto.org/
QuoliaHP:http://quolia.org/