安藤悟
静岡県静岡市出身。株式会社エストリンクスの創業者・代表取締役。 Webマーケティング業界歴10年超。「地方から全国に」をモットーに、SEMを活用して、静岡県のお客さんの全国進出を支援した実績あり。 得意な業界は主に、生活関連サービス(買い取り・住まいトラブル)など。
いまの検索エンジンはユーザーの検索意図を理解し、彼らの課題解決につながるコンテンツでなければ上位表示ができません。しかし、ユーザーの検索意図はどのように調べ、コンテンツ制作に反映するとよいのでしょうか?
この記事では、ユーザーの検索意図を分析・理解するための調べ方を解説します。
検索意図とは?
検索意図とは、検索エンジンを使用したユーザーが、なぜそのキーワードを検索したかという目的や深層心理という意味です。検索意図はユーザーインテントとも呼びます。
ここでは、なぜ検索意図が重要か、そして検索意図の基本的な考え方を解説します。
エストリンクスでは、検索意図について、検索の動機と感情に分類して考えます。そして、「なぜ、そのキーワードで検索したか?」「そのキーワードで検索した結果、どうなるのがユーザーにとって幸せか?」といったことを考えて企画構成案に着手します。
検索意図が重要な理由
いまのSEOにおいて検索意図が重要視される理由は、Googleのアルゴリズムの進化によるものです。
もともと、Googleの検索エンジンは検索意図を的確にとらえたコンテンツを優先すると明言していました。かつてのGoogleはキーワードそのもの、あるいは、後述するサジェストキーワードや共起語を頼りに検索意図を把握していましたが、これは検索エンジンの精度が低かっただけに過ぎません。
今のGoogleはまるで人間のようにキーワードの意味を文脈から理解して検索意図を把握できます。キーワードの意味を文脈から判断する2018年のBERTアップデートはその代表的な例です。
Googleハックの視点ではなく、常に検索意図を捉えてコンテンツ制作に臨むと、SEOが中長期的に資産になります。なお、キーワードをどのように理解するか、Google公式の『検索アルゴリズムの仕組み』のページをご覧いただくと詳しく理解できるはずです。
検索意図の分類
ユーザーの検索意図をどのように大別するか覚えておきましょう。
検索意図の分類は大きく3つのクエリタイプ(クエリ:ユーザーから見た検索キーワードの意味)に分類できます。
検索クエリの種類 | 検索クエリの意味 | 検索クエリの例 |
インフォメーショナルクエリ | 言葉の意味や問題解決方法が検索意図 | 「SEOとは」「腕立て伏せ 方法」 |
トランザクショナルクエリ | 商品やサービスの利用、取引行動が検索意図 | 「メンズ コート 購入」「靴 通販」「試験 日程」 |
ナビゲーショナルクエリ | 特定のWebサイトへ行くのが検索意図 | 「Amazon」「楽天」「YouTube」「Twitter」「エストリンクス」 |
また、クエリタイプを4つに分類する考え方もあります。検索意図を把握するうえではKnowクエリ・Doクエリ・Buyクエリ・Goクエリのほうが重要かもしれません。
- Knowクエリ…検索キーワードについて知りたい
- Doクエリ…実際にやりたい、検索キーワードのコツを知りたい
- Buyクエリ…商品を購入したい
- Goクエリ…お店や場所へ行きたい
検索意図を分類するときは前提となる3分類を理解しつつ、4つに分類されたクエリタイプを理解しておきましょう。
ユーザーの検索意図の調べ方
キーワードに対する検索意図の調べ方を紹介します。
実際にそのキーワードで検索するユーザーに心理状態や考えていること聞ければ一番いいのですが、SEOで上位表示を目指すために、
- キーワードから検索意図を調べる方法
- 検索エンジンから検索意図を調べる方法
これらの切り口から検索意図を調べる方法を紹介します。
キーワードから調べる方法
自サイトが選定したキーワードで検索したとき、上位表示されている競合サイトのコンテンツの強さを分析しましょう。
サジェストキーワードを用いた調査
サジェストキーワードによるキーワード調査は、かなり古い時代のSEOから使われている定番の検索意図の分析手法です。
サジェストキーワードは、基本的に検索したユーザーの数、つまりユーザーの関心に応じて表示されます。
たとえば、キーワード「検索意図」では抽象的なニーズになりがちですが、キーワード「検索意図 調べ方」になると、「検索意図の調べ方を知りたいのだろう」と仮説を立てやすくなるのです。
サジェストキーワードは顕在化したユーザーニーズを考えるうえで非常に役立ちます。ただし、2016年頃のサジェスト網羅や1サジェスト1記事では、SEOで思うような成果が出ません。検索意図の把握や同じ検索意図のサジェストキーワードのグルーピングに努めましょう。
共起語を用いた調査
共起語分析もSEOで検索意図を考えるときに古くから使われてきました。
共起語とはキーワードと一緒に連想される言葉で、SEOにおいてはコンテンツ制作前に検索意図を把握する目的で使います。
たとえば、「富士山」だったら「日本一高い山」「静岡県」などをイメージすると思います。このように、対策するキーワードを説明するとき、一緒に出てくるのが共起語です。
後述するツールを使い、キーワード「記事作成」で共起語を検索してみました。
画像引用元:共起語検索ツール
細かなキーワードまでは読みづらいので文字にしますが、「副業」「報酬」「ブログ」などの共起語が出てきました。
このことから、「主な検索ユーザーは副業で報酬を得たいライターではないだろうか」と、検索意図の仮説立案ができます。
いまのSEOにおいて、共起語はキーワードというよりは文脈を理解するために使うべきです。そのため、キーワード「副業」「報酬」を入れるのではなく、「副業でどのくらい稼げるか?」などの視点で検索意図の把握に努めましょう。
「SEOや検索意図の分析に共起語が重要なのはわかったけど、どうやって調べるの?」と思った方に向け、共起語分析用のツールは後ほどご紹介します。
Googleの検索画面から検索意図を調べる方法
Googleの検索エンジンは、ユーザーが使いやすいよう日々進化しています。そこで、検索エンジンの検索画面から検索意図を調べる方法を紹介します。
バーティカル検索による調査
バーティカル検索とは、Googleの検索窓の下に表示される検索機能です。
キーワードによって、バーティカル検索の順番が変わるのはご存知ですか?ここからはクエリタイプごとに検索意図を調べる方法を紹介します。
Goクエリの調査方法
バーティカル検索の視点で検索意図を考えるとき、Goクエリを調べる方法を見てみましょう。
「すべて⇒地図⇒画像⇒ショッピング⇒ニュース」の順に表示されます。
Goクエリのコンテンツの企画・記事作成時は、「記事を読んだユーザーが目的地にたどり着けるか?」という視点を持ちましょう。
「そもそも行き先が思いつかないので探している」というユーザーの検索意図が隠れているのがGoクエリです。目的地にたどり着けるかに加え、「そもそも、その店舗・施設に行きたくなる記事か?」という考え方があるとなおよいでしょう。
Doクエリの調査方法
バーティカル検索の視点で見ると、Doクエリは「すべて」のあとに、「画像」または「動画」が表示されます。
「釣り糸 結び方 コツ」ですが、「画像」が左側に表示されました。
次に、「ジョギング 走り方 コツ」は、「動画」が左側に表示されました。
やり方やコツを知りたい人の多くは、文字だけでなく画像や動画で情報を探しているとGoogleは判断しています。
そのため、バーティカル検索で「画像」または「動画」が優先表示されたら、Doクエリの可能性が非常に高いです。
Doクエリのコンテンツの企画・記事作成時は、「ユーザーに最適な説明ができるか?」という視点でユーザーに検索意図を考えましょう。
Buyクエリの調査方法
Buyクエリは「ショッピング」が優先的に表示されます。例を見てみましょう。
「ショッピング」が表示されるので検索意図はわかりやすいと思います。
Buyクエリのコンテンツの企画・記事作成時は、「ユーザーの購入の意思決定を支援できるか?」という視点を持ちましょう。
Buyクエリを検索すると、商品を購入するときに見た目を気にする人も多いとGoogleが判断しているからか、「画像」が左に来るクエリも多数ありました。
Knowクエリの調査方法
Knowクエリの場合、バーティカル検索の表示順はバラバラです。
おそらく検索結果を見るとさまざまな記事が表示されていると思います。
Knowクエリでは、ユーザーの「知りたい」に答える記事コンテンツが上位表示されやすいです。バーティカル検索機能は、あくまで検索意図を想像する補助ツールとして考えるとよいでしょう。
ユニバーサル検索による調査
ユニバーサル検索とは、Googleの検索結果に表示される画像・動画・地図・ニュースなど、いわゆる検索ランキングのページ以外の情報を指します。
PC画面で「M-1グランプリ」について検索すると、番組についての概要説明や関連動画が表示されます。
キーワード「SEO おすすめ 本」では、書籍の一覧が表示されました。
また、検索結果に地図が表示されるケースも増えました。
「静岡 SEO」と検索すると、なぜか眼科や総合病院に挟まれていますが、エストリンクスがGoogle MAP上のWebマーケティング会社で1位になりました。
このように、ユニバーサル検索を見ると、検索クエリごとの検索意図をくみ取ることもできます。ユーザーはどんな情報を求めているか、Googleの判断から検索意図を分析する判断材料になるはずです。なお、地図が上位表示されるキーワードはローカルSEO(MEO)に取り組むのもよいでしょう。
検索意図に沿ったSEOに強いコンテンツ制作のコツ
Googleが考えるユーザーの検索意図に応えるコンテンツ制作のコツを、Webマーケティング会社の立場からお伝えします。
検索意図の重複が起きていないか確認する
まずは対策したいキーワードについて、すでに社内で記事を作成していないか確認しましょう。
パッと見たときにキーワードが違うと「まだ作っていない」と感じるかもしれません。しかし、実は同じようなテーマを扱っていると、2つのコンテンツのせいで評価が分散されて検索順位がつきにくくなることがあります。
検索ニーズを徹底的にリサーチする
検索ニーズを徹底的にリサーチしましょう。
上記のバーティカル検索やユニバーサル検索に加え、上位に表示されているサイトの競合調査をします。
かつては、検索順位の1~10位の記事の見出しで使われているキーワードを全部埋め込めばよいという時代がありました。そのため、検索ニーズの調査を1~10位の網羅だと考えている方もいるかもしれません。
しかし、いまのGoogleは検索結果の多様性を重視しており、キーワードによってはさまざまな検索意図が複雑に入り組んでいます。たとえば、1~10位が以下のような検索結果になっているキーワードも少なくありません。
このほかにも、
- Goクエリ・Buyクエリのように複数の検索クエリに応える記事が混在
- 男性向け・女性向けとそれぞれの記事が混在
- 自分がやりたい・やっている人を知りたい記事が混在
このように検索意図が入り混じったキーワードは多数存在します。
いま、あなたが届けたい情報はどんなユーザーに読まれることを想定していますか?
情報を届けたいユーザーの検索意図に絞って企画しましょう。
検索意図を網羅するためのキーワード確認は重要です。ただし、キーワードを使った記事だけでは検索意図を満たしたとは言えません。どんな文脈でキーワードが使われているか、ユーザー視点から考えてみましょう。
5W1Hに沿って企画構成案を作成する
SEOで上位表示される記事の企画構成案を目指すなら5W1Hのフレームワークを活用しましょう。よいコンテンツは、ユーザーに伝わるコミュニケーションを意識した文章や記事が基本だからです。
- Who…誰が
- When…いつ
- Where…どこで
- What…何を
- Why…なぜ
- How…どのように
5W1Hは、相手に正しく情報を伝達することを目的とします。5W1Hが不足していると、何度もやりとりしたり説明の意図が分からなかったりと、受け手はストレスを感じたりします。
おそらく、円滑なコミュニケーションのためにメールや資料作成のときは5W1Hを説明に盛り込んでいる方は多いと思います。
上記をインターネット検索に置き換えてみましょう。
5W1Hが不完全な記事は、ユーザーに別のページやキーワードを再検索させる手間を生みます。そのため、検索意図に沿ったよい記事とは言えません。
Googleはあくまで相対的な評価で検索順位を決定しています。いまの検索1位の記事でさえユーザー満足度を100点満点で満たしているとは限りません。5W1Hの切り口で補強してあげると検索意図を満たしやすく、SEO的にも効果が出やすいです。
Googleは、記事中でのイベント数や滞在時間、サイト内回遊などを通じて、記事の満足度をスコア化していると考えられます。5W1Hでひとつの検索意図を満たし、詳細な説明になる場合は別ページを作成して遷移してもらうなどをして、SEOに取り組みましょう。
検索意図のズレがないかを複数名で確認する
企画構成案を作ったあとや記事を書いたあとなど、都度記事を見直し、当初と検索意図のズレがないかを複数名で確認しましょう。
5W1Hのフレームワークを使っても、一人の視点や発想では限界があります。ほかに、お客様と接する機会がないポジションの人が企画や記事を作成すると、うまくユーザーの声を反映できていないことも少なくありません。
自分の論理構成でユーザーが納得するか、企画や記事をアップロードする前に複数名でチェックすると順位向上が見込める記事に仕上がりやすいです。
営業・カスタマーサポート担当など、自社でお客様に接する担当社員さんに読んでもらうのもよいでしょう。実際に施策する検索キーワードについてお悩みのお客様に読んでいただければ理想です。
公開した記事も見直してリライトする
公開した記事は検索順位の反応を確認し、記事中の説明に過不足がないか確認し、リライトしましょう。抜け漏れがないように作ったつもりでも、実はユーザーが求める情報に足りなかったり過度な情報だったりすることもあるからです。
Google Analytics(解析ツール)を見ると、ユーザーの滞在時間やサイト内回遊などの効果測定ができます。また、最新バージョンのGoogle Analytics 4ではイベント数も計測できるため、「記事を読んだユーザーの行動喚起を促せたか?」という視点を持ちましょう。
さらに、情報が古い記事をGoogleは評価していません。また、検索クエリによってはユーザーの検索ニーズが変わっていることもあります。もし、過去に公開した記事の評価が下がっている場合、検索意図自体が変化している可能性があるのでリライトを検討しましょう。
まとめ
検索意図の概要や調べ方、SEOに強いコンテンツの作り方をお伝えしました。
検索意図の理解はユーザー分析であり、SEOひいてはマーケティングの成果に大きな影響を与えます。検索意図を深く理解したコンテンツを制作し、ユーザー行動を促しましょう。